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教職員と学生がつくるオープンキャンパス 文学部の取り組み


文学部はオープンキャンパスでの学生企画を8月8日、9日に行った。この企画は5年前から教職員と学生が共同で運営。その中心を担っているのが、大阪市立大学文学部・文学研究科教育促進支援機構 (以下、支援機構) の学生スタッフだ。

彼らが立案・運営している企画も少なくない。他の学部では催されていないようなユニークな企画で高校生にも好評だった。市大の中でもとりわけ先進的な取り組みを行っている。

オープンキャンパス終了後、今回の学生企画のリーダーを務めた田村悠さん (文学部3回生) にお話を伺った。

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写真=田村悠さん

高校生との「双方向コミュニケーション」

―企画を行った目的を教えてください

高校生はオープンキャンパスに来たとしても、資料をもらうだけで、実際の大学のことをあまり実感できずに帰ってしまうことが多いと思います。そんな高校生のために、少しでも力になれればと思い、オープンキャンパスに来ないとわからない雰囲気を高校生に感じ取ってもらうという理念を立てて、企画を行いました。だから、企画内容も高校生と学生が双方向にコミュニケーションできるようなものを中心に考えました。具体的には、教材の展示、文学部生が使用する施設を回る学内ツアー (「学内ツアー回っていいとも!」)、高校生が学生と直接話せるフリートークコーナー (「市大文学部の○○な話」)、学生のプレゼンテーションを受けてのワークショップなどです。担当をしたワークショップ企画では、「なぜ?と思うことが大切だ」という学問の一端を、ディスカッションを通じて体験してもらいました。大学生の勉強について体験してもらったり、大学生活がどんな感じかを少しはイメージしてもらうことができたのではないかと思います。

―どのように準備を行ったのですか?

5月のゴールデンウィーク明けから本格的に準備を始めました。ミーティングを毎週金曜日の3限と土日の10:00~15:00に週1,2回行い、企画・運営に関わる企画は24人のスタッフで考ました。そのうちおよそ半分を1回生が占めています。4月下旬に行った1回生対象の説明会、入学式や1回生が参加する文学部キャンプという企画の際に宣伝したことで、多くの1回生に参加してもらうことができたと思います。また、当日着ていたポロシャツの色が黄色と水色の2色に分けていました。これは、黄色は準備段階から関わってきた中核を担うメンバー、水色は当日のみのスタッフという意味で、学生側の目印となるようにもしていました。

Twitterを利用

―学生企画の立案・運営はどのように行いましたか?

最初は、メンバーの名前を覚えて1人1人を把握することが大変でしたが、最後にはみんな仲良くなれたので良かったです。このイベントは文学部の企画の一環なので、大学が高校生に宣伝してくれたこともあり、広報における苦労はそこまで多くはなかったです。その中で工夫した点は、文学部オープンキャンパス用のTwitterを導入したことです。当日までの企画の進捗状況に加え、高校生にオープンキャンパス当日の情報を流すのに役立ちました。どの企画が混んでいるか、どこでどんな企画をやっているのかという情報をリアルタイムで流せたのは良かったと思います。

―オープンキャンパスの学生企画全体を通して、今回の企画の内容、運営に点数をつけるなら?

個人としては1回生の頃から参加していますが、リーダーを務めるという経験は初めてでした。不安もたくさんありましたが、成功に導けたと実感しています。ただ、今振り返ると、理念づくりに時間がかかり過ぎてしまい、実際の企画を考える段階に入るのが遅くなってしまいました。事前のリハーサルが十分にできないまま本番を迎えてしまったかもしれません。ですがもちろん良かった点もあります。1日目が終了してすぐに反省会を2時間半ほど行い、そこで得られた改善点を2日目の運営に生かせました。理念として挙げていた高校生との双方向コミュニケーションも達成できたと思います。参加者に感想を聞いたわけではないですが、自己評価として点数をつけるなら、100点満点で90点ですね。少なくとも大学の試験でいうところの「A」(8割以上) は取れたのではないかと思っています。

また、学生スタッフの方々にもお話を伺った。

自分も成長できる

高林真理子さん (文学部1回生)
当日スタッフ・フリートーク担当

―どんなフリートークになりましたか?
フリートーク企画は、オープンキャンパスに来てくれた高校生が現役の文学部生と話せる企画です。高校生からは様々な声が聞かれました。受験生からの「偏差値が上がらない」といった勉強面での不安から、「大学生活はどのような感じか」「サークルは?」などといった入学後の疑問まで、様々な相談がありました。私はまだゼミについての質問などは答えられないので、先輩に力を借りましたが、受験期の悩みなどの相談にはうまく答えられたと思います。

―スタッフになったきっかけは?

全文学部生が所属している支援機構のメーリングリストで、オープンキャンパスのことを知りました。企画スタッフとして以前からオープンキャンパスに関わっている友達を見て、また大学に貢献したいと思っていたこともあり、参加を決めました。企画は自分の予定が合わなかったため、当日のみお手伝いをさせてもらいました。スタッフになったことで、文学部の知り合いが増えたし、たくさんの先輩や高校生と話せて良い思い出になりました。高校生から勉強させられることも多く、刺激を受けました。来年も参加したいです。市大の文学部は学生中心で雰囲気が良いと思っています。私も雰囲気の良さで志望を決めたので、後輩にもそう感じてもらいたいです。

堀内美紗子さん・矢倉有紗さん・中原沙綾さん (文学部1回生)
企画スタッフ・フリートーク企画担当

―スタッフになったきっかけは?
矢倉さん:オープンキャンパスに興味があり、入ってやってみたいと思ったからです。
堀内さん:実は高校生の頃、参加者として参加していました。大学生になって、提供する側になりたいと思ったからです。

―企画を考える上で苦労したことは?
堀内さん:企画スタッフの中で3~5人ずつに分かれました。私達はフリートーク担当です。
矢倉さん:5月くらいから、約3ヶ月かけて準備しました。
中原さん:週2で全体のミーティングに加えて、企画ごとのミーティングもありました。
堀内さん:テスト期間中も活動し、忙しかったです。

中原さん:企画の内容はいろいろ考えても、結局違う方向に行ってしまったりして、大変でした。
堀内さん:1回生が3人しかいなかったので、探り探りで頑張りました。

―2日間を終えてどうでしたか?
全員:大成功でした!
矢倉さん:来年も関わっていきたいと思います。
堀内さん:より成長できそうなので。

学生生活をより充実させるために

大山大樹さん (文学研究科M2 フランス語フランス文学専修)
オブザーバー

―スタッフになったきっかけは?

僕は,過去に数回オープンキャンパスのスタッフをしました。その経験から、正式スタッフではなく,オブザーバーとして参加しました。経験者としてアドバイスをするつもりでしたが、自分のほうが学ばせてもらうばかりでした。

―大山さんは、支援機構でどのような活動をされてきたのですか。

僕は,5年前に支援機構の学生スタッフとして活動しはじめました。最初に、留学生との交流会を企画し、続いて、文学部新入生歓迎キャンプを企画しました。文学部新入生歓迎キャンプは、初年度は参加者が48人でしたが、今年は120人以上が参加してくれました。キャンプを始めたキッカケは,2つあります。まず、時間割の作り方や履修登録、授業の抽選のシステムなどを知らない1回生に、しっかりと時間割を作成してもらって,学生生活をより充実したものにしてほしかったからです。加えて、大学生活を充実したものにするのに欠かせない友だちを作る機会を提供したかったからです。大阪以外の地域から来る人の多くは友人・知人が1人もいないので、不安でいっぱいだと思います。そんな不安をキャンプで払拭してもらえればと思い、キャンプを企画しました。

他には、オープンキャンパスでの学生企画や文学部案内の作成があります。オープンキャンパスは、5年前にフリートーク企画からはじまり、年々新しい企画が生まれています。文学部案内は、初めは手作りのフリーペーパーを作成するつもりだったのですが、先生方が一緒にやろうと声を掛けてくださって、公式の文学部案内も作成することになりました。いまは後輩たちが主体となってこれらの企画を盛り上げています。僕は経験者として、アドバイス等を少しさせていただいています。

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写真=今年のオープンキャンパスで配布された文学部の案内冊子
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写真=学生スタッフの皆さん

これからのオープンキャンパス

文学部の支援機構以外にも、学生企画を行っている学部はある。例えば経済学部では、学部の説明会中に、学生が市大生の学生生活や受験の体験談、神戸大学との違いなどのテーマでトークライブを行っていた。この企画もゼミの幹事会などのメンバーが集まり、5月下旬ごろから準備したものだという。その一方、工学部ではまだまだ学生が十分に関わっているとは言えない状態であり、教室で開いている研究紹介企画には高校生があまり訪れていないなどの問題点もある。また、自分の所属している学部が、オープンキャンパスでどのようなことをしているか知らない市大生も多いことだろう。このようにオープンキャンパスに学生が携わることは、学生にとっても、高校生にとっても有意義なものとなる。学生は企画を考案・運営する力がつく上、達成感・やりがいを感じられる。高校生に対しては、現役の大学生とコミュニケーションを取ることで、より具体的に大学生活をイメージすることに貢献できる。今後、このような学生主体の取り組みがさらに広がっていくことが、市大を盛り上げ、その魅力を引き出すことにもつながるだろう。

文責

島田隼人 (Hijicho)

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