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教授が語る夢  理学部・石原秀樹教授


市大の様々な分野の教授にインタビューをし、個人的な夢や思想を聞くことで教授自身のことを深く追究していくコーナーです。

第1回目は理学部物理学科の石原秀樹氏。この世の様々な現象を解き明かしていく物理の中でも、一般相対性理論に基づいて宇宙の分野を研究している宇宙物理・重力研究室に所属されています。そんな石原教授に色々伺ってきました。

石原教授のプロフィールはこちら (大阪市立大学ホームページより)

ふとアイデアが浮かぶ時が『至福の時』

—いつも物理のことを考えているのですか
平日は毎日大学に来て、主に院生や学部生の相手をするかたわら、研究をしています。土日は大学には来ませんが、論文発表のための準備を自宅ですることは多々ありますね。ただ、四六時中物理のことを考えている訳ではなくて、やはり普段の生活、家庭の事が基盤となっていています。『今日の晩御飯なんだろうな』とか良く考えてますよ。(笑)

—分からない問題にぶつかると日常を忘れる?
分からない問題は、ずっとそれだけを考えているのではなくて、頭のどこか片隅に置いておくんです。そうして他人の話を聞いていて何かと結びついたり、寝る前、お風呂に入っている時、起きた時など、ふと新しいアイディアが浮かぶ時がある。このときが『至福の時』ですね。

宇宙の果てには何があるのか

—どうして物理学者になったのですか
小学生の頃は野球選手になりたかったのですが、中学生の頃から物理とか宇宙のことに興味を持つようになって、将来はそれを研究する人になれたらいいなと思っていました。今は子供の頃からやりたかった「宇宙はどうやって始まったのか」とか「宇宙に果てはあるのか」を最終的には明らかにしていきたいです。

—宇宙の謎を解き明かしていっているのですね
宇宙に関係した面白い事はいっぱいあるわけですよ。何にでも面白いと思う人と、どんな問題でもつまらないと言っている人、色んな人がいますが、僕はどちらかと言うとどんなことでも面白いと思う人でして、やりたいことがいっぱいあるんですね。

その中でも、大学院生の時に思いついたアイディアがあって、それを研究論文という形までまとめたいと思っています。それは時空に関する事で、「テトラポット理論」と名前まで付けています。

—「テトラポット理論」とは
最近は宇宙は4次元以上の高次元だと考えられているが、逆に低次元なのではないか、という解釈のものです。テトラポットの表面を間近で見ていると2次元のようだが、全体を見ると3次元になっている。つまり2次元が泡々になっていて3次元のように見えているのではないか、というアイデアです。

—つまり…?
宇宙の中にあるお星さまだとか、銀河だとか、そういうものがどう関係しているか、という研究もあるし、どういう舞台の上に現象が起こっているのかという研究もある。今言った「テトラポット理論」は舞台の研究です。私の研究は時間や空間に関することで、まさにそれですね。

院生の頃はそうなっていると言うことを示すために、何をしたらいいのか分からなかった。なにかいいアイディアがあれば、もうちょっと客観的に表現したいと思っています。

研究とは趣味の客観化

—研究というのは趣味のようなものですか
趣味かそうでないかは紙一重な部分もありますが、自然は単純ではなく、皆が問題だと思うところ以外にも問題があるわけです。別の観点から見たら面白いこともあるので、個々人が「何が問題であるか」を考えることが大切だと思います。

それで、何が面白いと思うかは個人の価値観なんです。別の観点・価値観から見ると新しい問題になるということがあって、そこが面白く、魅力的です。自分が面白いと思っても皆はそうは思わないことを研究していても、それは個人的な趣味になります。

—研究を趣味にとどめないためには
面白さを説明したらみんなが面白いと思ってもらえる事を見つけるのが目標ですね。初めの見つけるところは趣味的なものだと思います。それを趣味で終わらすか、客観化するのか、が問題です。そのために論文に書いて研究会で発表しています。

研究者から見た大阪市立大学

—市大は好きですか
非常に好きですよ。市大にずっといる方は他大学と相対化するのが難しいでしょうが、僕は色々なところをめぐってきているんです。広島大学で博士の学位を取り、京都大学基礎物理学研究所で1年、名古屋大学に1年、そして京都に戻ってきて8年、東京工業大学にいって、その後ここにきました。その中でも市大は非常に良いと思います。真面目だし、優秀な学生がいるというところが素晴らしいですね。

—研究の環境は
研究をする面でも自由にできますね。他の大学では自由にできないと言うわけではないのですが、例えば京大であったら、日本の物理を担っていかなければならないというプレッシャーから、自分のやりたいことをやっていられないわけです。市大はそういうことから比較的自由なので、色んな観点でできる。

物理の研究は自分ひとりではなかなか進まないものです。他人と議論をしていく中で研究が進む。ここは議論する同僚、優秀な学生がたくさんいるので、研究が活発です。ここら辺の若手は全国的に見ても非常に活躍していますよ。

「助けられ上手」になりなさい

—市大生に向けて言いたいことは
「助けられ上手」になりなさい。自分の努力には限りがあるじゃないですか。受験勉強だと自分だけの力で頑張らないといけないんですが、最先端の研究をしていると、自分一人でできたことというのはあまり財産にならない。自分だけで考えて分かる、というのが素晴らしいかと言うとそんなことは別に大した事ではないんです。
問題を進める時に、自分で一人でやろうなんて考えないで、自分が分からないことを他人に話して一緒に考える。一人ではできないことが、他人とやるとできる。そのほうがずっといい。そしてずっと良い状態が続く。

—では「助けられ上手」になるためには
自分がある程度(知識, やる気, 徳を)もっていないといけない。魅力的でないといけないんです。研究においても、面白そうだと思ってくれるから助けてくれるわけですね。魅力的な事を発信する。そうすると助けてもらえるものです。でも助けてもらうためには恥ずかしいこともあるんですよね。自分の弱点や弱みをさらけ出す必要があるわけですから。でも結果的にはそっちのほうがずっと良い。一人で出来て偉いねと頭をなでてもらうのはもう
やめなさい、と言うことです。

取材後記

聞き手が物理学科に所属しているということもあり、会話が専門的でかつ内輪なものになりがちでしたが、それでも万人に対して共通するようなメッセージを最後に頂けてとても有意義なものになりました。

石原教授は本当に物理や宇宙がお好きのようで、いきいきとしていらっしゃいました。研究がそのまま自分の夢を叶える状況である石原教授が羨ましいです。また、お話の中に出てきた「助けられ上手になる」ことは人生においてとても重要だと感じました。

教授が語る夢バックナンバー

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文責

水野佑充子 (Hijicho)


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