「おもろい学生おりまっせ！」は、大阪市立大学で活動している個性溢れる大学生を取り上げ、紹介していくコーナーです。「大阪市大に存在する興味深い学生の素顔に迫り、大学生同士の興味・関心を誘発させること」をコンセプトにしています。
記念すべき第1回は、理学部物理学科修士一回の粟根美由紀さんに取材させて頂きました。自称アイドルな彼女の素顔に迫ります。
原動力は「好きだから」
―大学生活では何に力を入れましたか？
研究と「にゃんちゅう」ですね。研究と言っても、まだ理論の基礎を勉強している段階ですけど。高校生の時から数学と物理が好きで、物理学を専攻して大学院に行きたいとその頃から思っていました。でも何を血迷ったのか、物理学科ではなく、物質化学科に入学しちゃったんですよね(笑)。そこでは物理と化学を勉強するんですけど、嫌いな化学が更に嫌いになっちゃって…(泣)。
大学院に進む時にはちゃんと物理学専門の研究室に進学しました。簡単に言えば電子相関や量子についての勉強をしています。まだまだ分からないことだらけで、面白くない時もあるけれど、計算するのは大好きだし、「楽しい」と思える時も同じくらいにはあります。院に進んだのも、「ただ好きだから」という本当に単純な理由なんです。院で特に研究したい事があったわけでもなく、これから先、研究者になるつもりもありません。
―なるほど。では、「にゃんちゅう」について教えて下さい。
「にゃんちゅう」は、2010年の6月に同じ物質化学科の友人、かなえにゃんちゅう (森山佳苗。以下、かなえ) と2人で結成したアイドルユニットです。かなえはもう就職して社会人として働いているけれど、その一方で「にゃんちゅう」としても活動しています。練習する時間は減りましたが、まだまだ健在です。
実は、元々私はアイドルにはあまり興味がなかったんですよ。でもかなえが大のアイドル好きで、その影響を受けて私も好きになりました。そのアイドル好きが高じて、「自分らでもやってみよう」という想いになり、「にゃんちゅう」が生まれました。
由来は「キモかっこいい」
―名前の由来は？
「にゃんちゅう」の名前の由来ですが、NHKのキャラクター「にゃんちゅう」から取りました。(にゃんちゅう：NHK教育テレビに登場する猫と鼠をモチーフにした人形のキャラクター)
そもそも私達のコンセプトは「キモかっこいい」なんです。あのにゃんちゅうは声がすっごいキモいけど、それを恥じることなく全国放送で堂々と立ちふるまっている姿が、キモいのにかっこいいなって思うんです。
私達もキモいけど、それを前面に出すことで見てくれた人が楽しい気持ちになってくれたらいいし、みんなにキモいことは恥ずかしい事じゃないんだよと伝えたいです。何より、素の自分を外に出す事がとても気持ちいいし、楽しいんです。
―実際にキモいと言われた事はありますか？そう思われなければ、そのメッセージが伝わりにくいのでは…
…言われたことはないです(笑)。みなさん、きっと気を遣って言わないだけだと思います！でも確かにそうですね。自称アイドルってだけでキモいと思うんですが、キモくなくならないようにキモい要素を出そうとはしています(笑)。MCの時の喋り方だとかで。「にゃんちゅう」としては、可愛いと言われるよりもキモいと言われた方がいいんですよね。普段は恥ずかしがり屋でもじもじしている二人ですが、ステージの上ではキモい部分もひっくるめて、かっこよく強くありたいんです。
「市大 にゃんちゅう」で検索！
―普段はどんな活動をしていますか？
基本的に練習とライブ、それから動画投稿ですね。練習と言っても二人ですから、普段は自主練を重ねて、たまに二人で合わせるくらいです。ライブには2種類あって、自分たちで行うゲリラライブと、心優しい第三者からの依頼によるイベントライブです。
ゲリラライブは、長居公園などの路上でやります。あまり人が集まらなくて寂しい思いもしましたが(笑)。実際にあったライブの依頼としては、イベントに華やかさを取り入れたいという希望や、楽器の演奏会を子供向けにしたいので、音楽に合わせて踊って欲しいというものもありました。大抵が知人からの依頼で、ボランティアみたいなものでした。今のところ、3か月に1度の頻度でライブをしています。
たまに行う動画投稿は主にYouTubeです。「市大 にゃんちゅう」で検索を掛けてもらえると出てきます。ぜひ見て下さい。お揃いの衣装が「にゃんちゅう」の制服です♪
―アイドル活動を続ける中で、苦労したことはありますか？
にゃんちゅうは完全に自分たちだけでやっているので、モチベーションの維持が大変でした。例えば、私が院試の勉強をしている間は全く活動できず、モチベーションも下がりました。院試後に銀杏祭があったこともあり、かなえと励まし合って乗り切りました。ライブをもっと頻繁にできれば、その楽しさからモチベーションを維持しやすいのではないかと思います。
それから、ライブの準備、機材のセットや衣装などを全部自分たちで準備するのが大変でした。スタッフさんが欲しいなぁなどと甘えたことも考えていました(笑)
目指すは市大アイドルグループの立ち上げ
―目標があれば教えて下さい。
市大に私達以外のアイドルグループを作る事です！具体的な目標としては、2013年の3月までに５人程増やしてグループを発足させたいです。週１でMTGをして、みんなで練習もして、撮影した動画をネットに投稿したりして。ライブは２カ月に１度やりたいです。その為に現在メンバーを募集中なんです。
新規メンバー募集のチラシ (クリックで拡大)
アイドル志望の人の条件として、女性であること、人前で楽しむのが好き、市大を盛り上げたい、そんな人を募集しています。もちろん、支えてくれるスタッフの方も募集していますよ♪
興味を持ってくれる人がいれば、ichidai.idol@gmail.com まで連絡して欲しいです！活動当初はメンバーを増やそうという気持ちはありませんでした。自分たちが楽しいからやる、それだけでしたから。でも、かなえがもうすぐ卒業するという話をしていた時に「にゃんちゅう」がなくなってしまう事を実感し、残したいなと。ただ、私達は「にゃんちゅう」を継続させたいわけではなく、市大でのアイドル活動を続けさせたいんです。
ステージに立って歌って喋って踊っていると、普段の自分から抜け出して、はじけられるんです。普段隠してしまっている自分をさらけ出すことができるんです。それがとても楽しくて、気持ち良くて。それが私の感じるアイドルをやる最大の魅力ですね。個人的な目標としては、「にゃんちゅう」のような明るい自分を普段も保ち続ける事です。
アイドルの日常
―よく行くお店はどこですか？
普段よく行く飲食店は「名彩亭」です。いっぱい種類があって、おいしいし、量が多いのでよく食べる私にはちょうどいいです(笑)。特にチャーハンをよく食べますね。
あと、「竹馬」にもよく行きます。そこのおっちゃんとおばちゃんがなんかいい感じで。おすすめはチキン南蛮かな。居酒屋はあんまりこだわりがなくて、チェーン店によく入ります。大学付近よりも地元の神戸で飲むことの方が多いですね。「シェリー」には「アイスの日」によく行きます。バニラやチョコなどの甘い系を好んで食べます。
―休日は何をしていますか？
休日には天王寺や堀江に服を見に行ったり、一人カラオケしたり、DVDを借りてきたり。最近見たのは「時をかける少女」。一番好きなのは「バックトゥザフューチャー」です。何度か見てやっと理解できるくらいの話の複雑さが好きで、よく三部作をまとめて見てます。
テレビはあまり見ないので、周りに比べて知らないことが多くて、たまに情報格差を感じます(笑)。特に好きなアイドルグループはモー娘。です。昔のより今の方が好きです。テレビは見ないけど、好きなものはネットでちゃんとチェックしてます♪
―市大生にメッセージを。
市大生は全体的に大人しいイメージがあります。自分の持ってるキモさを前面に出して、もっとかっこよく、アクティブになって欲しいです。
次は銀杏祭でライブをします。11月3日と4日に83Kにて。カフェもするので、ぜひ遊びに来てください。キモいけどよろしくお願いします（笑)
―手元に20万円があったら何に使いますか？
ライブの為の機材を買います！主に音響機器で、プレーヤーやスピーカー、マイクなど。それできっと20万くらい行くと思います(笑)
―自分が一番大切だと思う感情は？
難しいですね…。一番増えて欲しいのは「楽しさ」ですが。…「悔しさ」、ですかね。
ライブをやっている時は楽しいけれど、終わった後で悔しい部分はたくさんあるんです。MCの喋りだとか、踊りだとか、いろんな部分で。もっとこうできたんじゃないかって。そしてその悔しさをばねに次の活動をもっと良くしていく。次への活力になる悔しさはとても大切だと思います。
―大学生活をやり直すとしたら何をしますか？
1回生の時からアイドル活動をします。もっと計画的に動いて、頻繁に活動したいです。支出するだけでなく、収入も得れるようなシステムを作り、大きなホールを借りて、大きなライブをして、メンバーも増やして、ボックスも借りて…。そんな大学生活にしたいですね。
写真＝粟根美由紀さん
イベント要項
にゃんちゅうによるアイドルカフェ＠銀杏祭
日程：１１月３日（土）、４日（日）
場所：旧教養地区８号館８３K
イベント内容：アイドルカフェ、ライブ
にゃんちゅうからの募集要項
新規メンバー募集について
アイドル志望：人前で楽しむことが好きな市大生女子
スタッフ志望：市大生なら男女問わず
連絡先：ichidai.idol@gmail.com
Twitter:@ichidai_idol
From Editor
かつてステージ上で見た躍動感溢れるアイドルは、緊張のせいか、戸惑いながら自己紹介をしてくれた。大人しくて人見知りだけど、会話を重ねるとよく話してくれる、そんな「普通」の女性という第一印象を受け、そこにアイドルの面影はあまり見受けられなかった。しかし、彼女と「にゃんちゅう」について話している内に、彼女のアイドル活動に対する熱意とその楽しさが彼女の熱弁からひしひしと伝わってきた。
「楽しい、とにかく楽しいんです。」
そう語る彼女は院生とは思えないほど若々しく、そして躍動感を感じさせた。大人しい性格の中にも、一際熱く燃えている意志があり、その思いは学部を卒業した後も燻 (くすぶ) ることなく保たれ続けている。当人が言っていた「キモさ」は、残念ながら感じることができなかったが、彼女は良い意味で「普通」であり、大衆に受け入れられやすいのではないだろうか。
たとえミスコンのような華やかさがなかったとしても、自分をさらけ出す勇気と、「キモさ」をプラスに変えるポジティブ思考、そしてアイドル活動に懸ける情熱が、大衆の心を打つ日はそう遠くないのかもしれない。
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