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「理工学部の巻 市大の表情 悩みは同じ設備不足」温故知新 旧市大新聞を訪ねて vol.5


Hijicho大阪市立大学新聞が誕生する60年以上前から発行されていた「市大新聞」の掲載記事をHijichoの手で復活させていくこのコーナー。今回は、1957年11月1日発行の「市大新聞 第111号」より「市大の表情 悩みは同じ設備不足 理工学部の巻」を取り上げる。

※ 斜体文字が旧市大新聞からの引用。掲載にあたり、一部修正や注釈を加えてある。

うすぎたない階段を昇って行くと「プーン」と鼻をつく薬品の臭いがする。どの廊下を見ても電動機や硫酸便やモルモットの飼育棚がずらり又どの研究室をのぞいても実験器具と本が人の通るすき間もないぐらいぎっしりと立並んでいる。そして曇り切った窓から下界のデコボコ道を眺めながら教授も助手も学生も真剣になって試験管をながめ、顕微鏡に目をつけ計器の目盛板を読んでいる。地下室にあるうすぐらい実験室では科学者の卵たちが薬品や器具の不十分を嘆きながら、それでもコツコツと実験の結果をノートに記入している。元扇町商業の校舎三階建の古ぼけた校舎の屋上にモルタルばりの四階をつぎたし、そこで大阪市大理工学部は生声をあげた。

何んと云っても数千百の教職員学生をかかえた大家族では、こんなちっぽけな古ぼけた校舎では当底充分な研究をすることが出来ずここでも貧乏大学そのものが浮きぼりにされている。

しかしながら九州大学から就任された某教授の語るところによれば、「ここの学生ほど真剣に朝から晩まで研究に没頭している学生を私は今だかつて見たことはない」という話である。

なるほど図書館は部室が非常にせまいというせいもあろうが、何時行っても真理探究の徒でいっぱいである。

ある学生の話によると重要な図書など何時行っても貸出中で、予約者が三人も四人も居ることがわかり、仕方なく無理をして高い金でその本を買ったと言う。(後略)

この記事は、今から55年前の理工学部 (当時は理学と工学は一つであった) の実態を書いている。うすぎたない階段、薬品の臭い、曇り切った窓、薄暗い実験室…当時の研究環境は決して良い環境とはいえないが、そんな中でも泥臭く研究に没頭する学生の姿が目に浮かぶ。そんな当時の学生や研究者達に尊敬の念を覚える。

現在の理学部の実状

現在の理学部にとって最も大きなニュースの一つといえば、理学部新棟の建設だろう。理学部新棟が建設され、夏期休暇中に一部の研究室が新棟に引越し作業を行なっていた。早速Hijichoでは、理学部新棟を探検してみた。


理学部新棟

理学部新棟の講義室。全56席。既にこの教室を利用して集中講義も行われている。

講義室の机。8号館のものより一回り小さく、A4のファイルを開くと机がいっぱいに。

理学部新棟の最上階(7階)からの景色。
旧教養地区を望む。

理学部新棟内の実験室の様子

理学部新棟にいた学生に、理学部新棟についてどう思うかをインタビューしたところ、「綺麗になった」「眺めがいいし、明るくなった」「空調が素晴らしい」などの声があった。概ね環境がよくなったと感じているようだ。

またこの記事の最後には以下のようなことが書かれている。

「理工学部」と云う名称は一寸聞けば単に理学部と工学部を合せた学部という感じを受けるが、奥はそうではなく、一つの「崇高なる」建学の精神を表しているのだと云う。その建学の精神と云うのは、「学問を専門学科別に仕切ってしまわずに化学と機械、電機と物理と云った具合に学問の専門分野の交流と共同研究の基礎の上に立って、総合的な新しい科学研究の道を切り開く」と云うのだそうである。これは具体的には民科 (民主主義科学者協会) のメンバーが中心となり同学部内に確かに新しい研究の萌芽を生み出している様だ。残念ながら土木・建築の両学科から起った理・工分離の火の手は遂に決定にまで行ってしまったが、願わくばこの成果を今後も生かして行ってほしいものである。

誕生以来未だ日も浅い学部ではあるが、生物の朝山教授、化学の中塚教授をはじめ多くの優秀なる教授陣と若い優能なる研究陣が、日本の新しい科学の発展の原動力となっている事実は、単に市大の発展に止まらず、日本の科学の発展のためにも真に以てよろこばしい次第である。

From Editor

かつての理工学部が理学部と工学部に分かれて久しく、今となっては全く関係のないような気になっていないだろうか。市大の理系学生にはぜひ学問を専門学科別に仕切ってしまわずに化学と機械、電機と物理と云った具合に学問の専門分野の交流と共同研究の基礎の上に立って、総合的な新しい科学研究の道を切り開いていってほしい。

また、今回の取材を通して、過去の理工学部生の熱い精神を知ることができた。今、大学では理系分野の施設が次々と建てられている。これまでの市大は商学部など文系学部に特徴があるイメージがついていたが、今こそ市大理系学部の力を見せ付けるときであろう。筆者自身も理学部に所属しており、市大の理系学生として誇りに思う。学業へのやる気が一層増している。しかし、私は化学科なのだが、どうも化学科の研究室が新校舎に入ることはないらしい。さらに、化学科の研究室がある建物も耐震工事のみで建て替えは行わないという。どうにかならないものだろうか。

文責

田中優衣 (Hijicho)


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