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連載コラム ◇ 大学生活の新しい選択肢。自分が「海外インターン」を選んだ理由。


今回より数回にわたって記事を投稿してくれるのは、本学法学部4回生の古川浩康さん。
今年の4月に始まり10月までの間、アイセックを通じてインドの現地アパレル企業にて海外インターンシップを行っている。
海外インターンを通しての知見や考え、また他の海外機会にはない醍醐味をお伝えいただく。

過去の記事一覧
第2回 – なぜ「インターン」か
第3回 – 海外で働く困難
第4回 – 困難に打ち勝つ努力とインドに残せた結果
第5回 – 帰国後の活動とインターンの総括

海外インターンという選択

皆様は「学生が海外に行く」と聞いたら、どのような形態を想像するでしょうか。最近の海外熱の高まりによって「行きたい」もしくは「既に行った」という方も沢山いるかもしれませんが、大学生が海外に行く場合
・友達と短期旅行
・留学
・バックパック
おそらくこの3つくらいの選択肢を考える人がほとんどではないでしょうか。しかし、自分は今「インターンシップ」という形でインドに来ています。それも日本の就職活動にありがちな数日だけの職場体験ではなく、約半年間という長期で給料をもらいながらフルタイム (週6日、1日9時間) で働いています。インドなので当然周囲に日本人はおらず、インド人400人の会社の中で自分が唯一の日本人スタッフ。皆さんは想像できるでしょうか。

今回から数回連載という形でHijichoさんに記事を投稿させてもらえることになっているので、

(1) 背景として、自分がどのような問題意識を持っているのか
(2) なぜ「インターン」という手段を選んだのか
(3) 具体的にどのような仕事をしているのか
(4) どのような困難があり、どのように乗り越えてきたのか

などについて、今後書いていければと思います。今回は初回ということで、まずはインターン参加の背景となった自分の問題意識について書いていきます。

優秀な海外の大学生

最初に、世界の学生が一般的な日本人学生と比べてどの程度優秀なのかご存知の人は、この記事を読んでくださっている方の中でどれくらい居るでしょうか。よほど海外経験が豊富な方以外は知らないと思うので、まずはここから説明しています。もちろん「優秀」という言葉ほど曖昧なものはないので、一応以下のようにざっくりと自分なりの定義を。

・意識面:自分の人生において達成したいことなど、VISIONを明確に持っているか
・能力面:それを達成できる (と思われる) だけの能力を現時点で持っているか

上記2つについて、まずは日本の学生について考えてみます。もし自分が「あなたの人生において達成したいことは何ですか?」というようなことを日本人学生に聞いてまわったとしたら、どこまでしっかりとした答えが返ってくるでしょう。少なくともこれまでの4年間で自分が関わってきた大学生の9割近くは、聞かれてすぐに明確な答えを返すことはできませんでした。

これは今の若者が高校の時点で「~大学に入る!」というように大学に入ることが目的になってしまっていることや、大学に入ると就職活動が始まるまでは遊び、就職活動ではまたも「~社に入る」ことが目的になってしまっていることなどが影響しているのかもしれません。

このように将来へのビジョンがはっきりしていないせいか、日本の学生で大学時代に自分の能力を高めようとする人も少ないです。実際日本の大学の中に本気で勉強させるようなところは海外に比べて少なく、受験時代に1日10時間以上勉強してきたような学生でも一度大学に入学するとテスト直前以外は遊びとアルバイトに没頭するようになるケースが多いことは皆さんの周囲でも良く聞かれることではないでしょうか。

国際会議での衝撃

では、海外の大学生はどうでしょう。自分は3年生になる直前の春休みに、所属している非営利活動組織のつてで台湾に国際会議に行きました。自分にとって初めての海外でアジア中から200人ほどの大学生が集まってくる場に参加できることをとても楽しみにしたのですが、参加した自分は想像に比べて余りにも優秀な海外の同年代の学生達にとても驚いきました。

以下、例をあげながら説明しましょう。


写真左から2番目が古川です
バングラデシュ人大学生 (写真左端)
将来の目標 : 自らの手でバングラから世界企業を創ること、それをもって雇用を創出すること
現在力を入れていること : 大学でマネジメント (特に起業について) 専攻。近々自分の力を試すべく、ビジネス系海外インターンシップ参加予定
使用可能言語 : 4言語=ベンガル語、英語、中国語、ヒンディー語

マレーシア人大学生 (写真右から2人目)
将来の目標 : 次世代を担える人材を輩出する教育機関の創設
現在力を入れていること: 大学で教育(発展科学系)を専攻。リーダーシップを磨くべく、アイセックマレーシアのPresident就任
使用可能言語 : 6言語=マレー語、英語、フランス語、中国語、+出身地の少数言語×2

この写真に写っている学生を例に挙げると上記のようになります。注意していただきたいのですが、彼らは集まった人達の中で飛びぬけて優秀だったわけではありません。自分が参加した国際会議の「日本人以外」はこのような優秀な若者がごろごろ来ていました。彼らは英語はもちろん3~4ヶ国語話せることなど当然で、かつ自分が将来成し遂げたいことをしっかり持っています。「~社英語公用語化!」「これからは英語が話せないと何もできない!」などというような言葉がメディアに踊る日本とはそもそも居るレベルも目指す場所も残念ながら全く異なります。

さらに、海外の大学生は目標に向けて日夜勉強に課外活動に励んでいました。この国際会議の中で台湾人学生や香港人学生とも沢山仲良くなったのですが、自分は彼らに聞いた生活のストイックさに驚きました。


写真=台湾・香港・中国人学生が集合
彼らは平日は9時から17時ごろまで授業があるのですが、それが終わると大学内の施設を使って毎日日付が変わるころまで勉強し、休日はボランティアやNPOの活動に勤しみます。特に試験前になると「起きている時間はほとんど勉強」だそうで、その生活たるや寝る時間など取っていられないそうです。これは大抵の大学生にとって大学から成績優秀者に与えられる奨学金が非常に大事になってくることや、就職時に大学時代に勉強や課外活動にどこまで真摯に打ち込んできたかがシビアに問われることが影響しているそうです。彼らは大学内でも互いに競争しながら凄まじい努力を重ねていました。

日本でここまで勉強するのは、一部の難関資格志望者を除けば高校3年生や浪人生くらいではないでしょうか。日本の大学生は大学に受かったことに安心し遊び始めることから、大学時代を「モラトリアム」と呼んだりすることもありますが、他の国の大学生にとって大学は紛れもなく「厳しい自己研鑽の場」であり、また「激しい競争に晒されている戦場」でもあるようです。以上は自分が見聞きしたことに過ぎませんが、日本の大学生が危機感を感じるのに十分ではないでしょうか。

日本学生はどう戦う

自分は今の大学生が10年後、20年後の国を支えていくのだと考えています。では今の大学生が国を支えていく時になったら、自分たち日本人はこのような優秀な外国人と競争していけるのだろうか、と自分は彼らと話すたび疑問に思いました。そして、台湾から帰ってきて、新学期が始まってもこの思いは消えませんでした。

ふと自分を振り返ってみれば、課外活動は頑張っているものの、彼らと比べて英語ですら使うのに苦労しており、大学の勉強がいつしか単位取得のためになってしまうこともあるなど、優秀な外国人学生との差を考えて落ち込むこともありました。「本当に自分たちはこのままでいいのか」、「自分たちはもっと何かしなければいけないことがあるのではないか」—。国際会議で感じた驚きや疑問が自分の中で焦りにも似た感情に変わってきつつあったのが昨年の秋ごろです。

そうしたことを考える中で、自分は最終的に休学して半年間海外インターンシップに単身参加することを選びました。そこでなぜ自分が「海外インターンシップ」という選択をしたのかについては、次回の記事に書こうと思います。

文責

古川浩康さん (法学部2008年入学)

筆者の関連サイト

筆者のブログが掲載されているサイト「アイセック 海外インターンシップBlog」
(http://www.mentor-diamond.jp/blog/aiesec/)
Twitter「@fullbeee」
(http://twitter.com/#!/fullbeee)

(Twitterアカウントへのリンクに誤りがありましたが、9月27日に訂正しました。ご指摘くださった市大生の方にお礼申し上げます。)

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