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自分へのご褒美にちょっと贅沢旅はいかが? ~バースデイきっぷで四国旅行~


 読者の皆さんは、JR線のフリー切符といえば何を思い浮かべるだろうか。有名どころであれば、青春18きっぷが出てくるだろう。しかしこの切符は、JR線の普通や快速列車にしか乗車することができない、特急列車や新幹線に乗るには別途乗車区間の乗車券が必要、といった制約が大きいものとなっている。そのため、移動に時間がかかってしまう、乗り心地が良くないなど、なかなか快適な旅にするのが難しい。せっかくの旅行なのだから快適な旅にしたいと思うのはごく自然なことである。

 そこで今回は、誕生日祝いにどこか旅行に行きたいと考えている読者必見の、お得な切符の情報をお届けする。

 

・バースデイきっぷとは

バースデイきっぷ

 今回紹介するのは、JR四国が発売している「バースデイきっぷ」という切符だ。この切符は、JR四国と土佐くろしお鉄道の全線(寝台特急サンライズ瀬戸は除く)、JR四国バスの路線バス(高速バスは除く)が3日間乗り放題となる切符である。利用者の誕生日が利用開始日と同じ月であるときに利用可能となる(例えば4月1日生まれの人の場合、3月31日~4月2日という使い方はできないが、4月30日~5月2日という使い方はできる)。値段は1人10280円(税込)で、同じ旅行行程をとるのであれば同行者3人まで同じ値段で利用することができる。

 この切符の最大の利点は、青春18きっぷと違って特急列車を利用できる点である。さらに座席指定を受ければ、普通車指定席やグリーン車指定席も利用可能なのだ。普通列車よりも速くて乗り心地の良い特急列車を利用して、快適に四国を旅行することができる。

 また青春18きっぷのように使える期間が決まっているわけではない。誕生月であれば、正月でもゴールデンウィークでもお盆でも、もちろん平日でも使うことができる。指定席などの座席指定は利用日の1月前からだが、この切符はいつでも発売されているため、早い時期から旅行の計画を立てることも可能だ。

 

切符の名前

青春18きっぷ

バースデイきっぷ

利用可能範囲

JR全線(宮島航路も含む)

JR四国の全線

土佐くろしお鉄道の全線

JR四国バスの路線バス(高速バスは除く)

発売形態

5枚綴り11850円(税込)

(1枚あたり2370円)

1人10280円(税込)

有効期間3日間

同一行程の場合は3人まで同一料金で利用可

特急列車の利用

不可

利用する場合は別途乗車券・特急券が必要

普通車自由席に乗車可

座席指定を受ければ普通車指定席・グリーン車指定席も利用可

利用可能時期

春休み、夏休み、冬休み期間等指定されている

誕生日月であれば指定なし

 

・四国までの交通手段はどうするのか

 この切符の問題点として、出発地から四国に行くまでと四国から出発地へと帰るまでの交通手段は、利用者の自己負担であるという点がある。つまり往路と復路でどの交通機関を使うかによって、旅の快適さや費用が変わってくるのだ。ここでは大阪と四国を結ぶ各交通手段について紹介する。大阪側の出発到着地点は難波、四国側の出発到着地点はバースデイきっぷ利用可能範囲内の主要駅とし、学割等は用いないものとする。

 

1. 新幹線かJR線を利用する

 新大阪駅から新幹線を利用して岡山駅まで行き、岡山駅からはJR線を使い、児島駅からバースデイきっぷを利用し始め、瀬戸大橋を渡って四国に出入りするルートである。利点は、列車の本数が多く、割と自由な時間に出発できる、天候の影響を受けにくい、といった点。欠点は費用がそれなりにかかるなどの点がある。運賃は片道約6500円、所要時間は2時間弱である。

 また、青春18きっぷが使える期間であればそれを利用するという手もある。こちらは、上述した新幹線利用よりも費用が抑えられるが、時間が大きくかかる。運賃は片道2370円、所要時間は4時間程である。

2. 高速バスを利用する

 大阪駅、難波駅、天王寺駅などの、大阪市内各地のターミナル駅と四国各地を結ぶ高速バスが多数運行されている。これを利用して四国に出入りするルートである。利点は、乗り換えなどの手間があまりかからない、天候の影響を受けにくい、などの点。欠点は比較的移動にかかる時間が多い、道路状況などによって定刻通り到着しないことがある、などの点がある。例えば大阪駅・難波駅と高松駅を結ぶ高速バスを利用した場合、運賃は片道3900円、所要時間は3時間半弱である。

3. フェリーを利用する

 関西と四国の間にはフェリー航路がいくつか設定されている。それらを利用して四国に出入りするルートである。利点は、他の交通機関と比べて比較的安い点がある。欠点は、天候の影響を受けやすい、中心部から港まで離れていることが多く、乗り換えなどの手間が増えたり、時間が余計にかかってしまう、などの点がある。例えば和歌山と徳島を結ぶ南海フェリーを利用して難波と徳島駅の間を利用する場合、運賃は南海電鉄の企画切符「とくしま好きっぷ2000」を使って片道2210円、所要時間は4時間10分程である。

4. 飛行機を利用する

 四国の各地には空港があり、伊丹空港や関西空港と結ぶ便も設定されている。それを利用して四国に出入りするルートである。利点は、長距離をあまり時間をかけずに移動できる点がある。欠点は、比較的費用が大きくなりやすい、天候の影響を受けやすい、空港から中心部まで行くのに余計に費用や時間がかかる、などの点がある。例えば、伊丹空港から松山空港まで飛行機を利用した場合、所要時間は最短2時間半程である。飛行機利用の場合の運賃は、航空券の早期予約による割引などで大きく変動するため、ここでは明記しない。また大手航空会社の便だけでなく、格安航空会社 (LCC) の便が設定されている区間もあるため、こちらを利用することで費用を抑えることも可能である。

 以上4つの主な交通機関を紹介した。旅の出発・終了地点や時間、予算などによってどれが最適の手段であるかは大きく変化するため、どのルートで四国に出入りするのか、十分に考慮する必要がある。

 

・実際に使ってみた

 では実際にバースデイきっぷを使った事例を紹介したい。筆者は9月11日(金)から13日(日)にかけて、四国を旅行した。その際、バースデイきっぷを利用したので、その模様を紹介する。

 

1日目

南海電鉄難波駅から旅行スタート。DSC_96717時02分難波発の南海線急行・和歌山市行に乗車し、和歌山市駅で和歌山港駅行の普通列車に乗り換え、8時15分和歌山港駅に到着。DSC_96778時30分和歌山港発の南海フェリーで四国へ渡り、徳島市営バスに乗り継いで11時10分徳島駅に到着。DSC_9688徳島駅からバースデイきっぷの利用を開始し、11時31分発の特急うずしお12号に乗車。12時34分高松駅に到着し、同駅にて昼食に讃岐うどんを食す。高松市内を観光した後、琴平電鉄で琴平に向かい金刀比羅宮に参拝。DSC_9726琴平温泉にて宿泊。

2日目

DSC_9736JR琴平駅から8時06分発の特急南風1号に乗車し、9時38分高知駅に到着。DSC_9753高知市内を観光後、高知駅11時39分発の特急南風3号に乗車し、12時47分窪川駅に到着。DSC_975814時14分窪川駅発の快速しまんトロッコ1号に乗車する。DSC_9770同列車は貨車の荷台を改造して作られた客室から、雄大な四万十川の流れや同川の名物である沈下橋の風景を楽しむことを目的とした観光列車である。DSC_980216時49分宇和島駅に到着。市内のホテルにて宿泊。

3日目

DSC_9810開城時刻に合わせて現存12天守の一つがある宇和島城に登る。9時49分宇和島駅発の特急宇和海8号に乗車し、10時35分伊予大洲駅に到着。DSC_981810時51分伊予大洲駅発の伊予灘ものがたり (双海編) に乗車する。DSC_9836同列車はJR四国が誇る観光列車で、穏やかな伊予灘の眺めや添乗員の愉快な沿線案内を楽しみながら、沿線の季節の幸をふんだんに用いて調理されたおいしい料理(別料金、別途予約が必要)を車中でいただくことができる。DSC_986713時12分に松山駅に到着。松山市内観光後、16時28分松山駅発の特急いしづち26号に乗車し、18時54分高松駅に到着。19時30分高松駅前バスターミナルから高速バスに乗車し、22時54分大阪シティエアターミナル(OCAT)に到着。

 

 では普通にこのルートを旅した場合と比べて、どれだけオトクになったのか計算してみる。条件は当該列車にグリーン車が連結されていない場合を除いてグリーン車指定席を利用し、特急料金は通常期で計算する。正規運賃は学割等を用いないものとする。

 今回の旅でバースデイきっぷの適用範囲内となる料金は以下のとおりとなる。

 

徳島駅→高松駅 乗車券1460円 指定席特急券1700円

琴平駅→宇和島駅 乗車券 4910円

琴平駅→高知駅 指定席特急券+グリーン車料金 4580円

高知駅→窪川駅 指定席特急券+グリーン車料金 2460円

窪川駅→宇和島駅 指定席料金 520円

宇和島駅→高松駅 運賃 5240円

宇和島駅→伊予大洲駅 指定席特急券+グリーン車料金 1800円

伊予大洲駅→松山駅 グリーン車料金 980円

松山駅→高松駅 指定席特急券+グリーン車料金 4910円

 

以上を合計すると28560円となり、バースデイきっぷを利用すると18280円もオトクになる。実際四国を一周するだけでも乗車券だけで10000円を超えてくるので、このきっぷのオトクさは相当なものだろう。

 

・バースデイきっぷを購入するには

 残念ながらバースデイきっぷは、ほとんどの場合最寄りの駅や旅行代理店で簡単に購入できるきっぷではない。発売場所がJR四国の駅のみどりの窓口、JR四国の旅行代理店であるワープ支店、駅ワーププラザ及び四国内の主な旅行会社に限られているからだ。しかし関西にはこのきっぷを発売している場所が1か所ある。大阪駅の北にJR西日本の本社ビルがあり、その東隣の共栄ビル3階にワープ梅田支店がある。ここではJR線のきっぷや宿泊券、JR四国ツアー主催の旅行商品などを販売しており、バースデイきっぷも購入可能だ。またバースデイきっぷで座席指定を受けたい場合、JR西日本のみどりの窓口では取り扱ってくれないが、ここでなら座席指定を受けることができる。バースデイきっぷを利用したいと考えている読者の方は、こちらの店舗を利用されることをオススメする。なお購入の際には自分の誕生日を証明するもの(保険証や運転免許証等)を持参する必要がある。

 ここまでJR四国のオトクな切符「バースデイきっぷ」について紹介してきたが、読者の方の中には「誕生日月ではないけれど、四国をオトクに旅したい」と考えている方もいるかも知れない。そんな方に「四国グリーン紀行」という切符を紹介しておく。こちらの切符は利用条件がバースデイきっぷとほぼ同じで、有効期間が4日間に拡大され、値段が20570円(税込)となっている。利用条件においてバースデイきっぷと異なるのは、誕生月でなくても利用できる点である。バースデイきっぷの倍の値段となっており、ややオトク感は薄れるが、有効期間が4日間に拡大されているので、よりゆっくりと四国を旅することができる。こちらの利用も検討すると良いだろう。

 このきっぷの紹介が読者の楽しい旅の一助になれば幸いである。

 

参考ホームページ

 JR四国ツアー バースデイきっぷ

文責・写真

 北村健太 (Hijicho)


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