5月17日に「特別区設置住民投票」 いわゆる大阪都構想 (注1) に関わる 住民投票 (注2) が実施された。府市大統合案も盛り込まれたこの大阪都構想。市大生も無関心ではいられなかったのではないだろうか。
即日開票された結果は、賛成 694,844票 反対 705,558票。反対が約1万票という僅差で賛成を上回った形となった。これにより、大阪市の存続が決定した。また、投票率は66.83%だった。これまで各地で行われてきた住民投票の中では、最大規模の有権者数となった。
今回Hijichoは、開票後1週間以内に杉本キャンパス内で学生に住民投票に関するインタビューを行った。なお、回答者については学部・回生・出身地・性別をそれぞれ明記している。
「今回の投票結果は賛成か反対かの0か100かしかなく、もったいないと感じた。もっと時間をかけてやればよかったのにとも思う。」 (法・1・大阪府・女性)
「結果が出て反対派が勝ったと分かった途端、橋下市長は全てを投げ出してしまった。今後いったいどうするのか不安だ。都構想についてはよく分からなかった。とりあえず反対した方が良いという風潮があったように思う。」 (工・2・大阪府・男性)
「住民投票は直接投票なので、今回の結果も一定の効果はあると思う。ただ、投票結果にほぼ差がない状態での決定で、民意がちゃんと反映されるのか疑問だ。」 (法・3・京都府・女性)
「今回僅差での投票結果であったことを受けて、投票に行くべきだという意識が高まった。何かもめるようなことが起こった場合、住民に民意を問うというのが本来のあり方であり、今後とも住民投票はやるべきだと思った。」 (工・1・奈良県・男性)
「メリットとデメリットがよく分からなかった。中国でも若者はあまり投票に行かないが、日本ほど問題視はされていないように思う。」 (経営学研究科・M1・中国・女性)
「都構想について、具体的なことはあまり説明されていなかったと思う。」 (理学研究科・M3・大阪市・女性)
「行政が良くなるから都構想については賛成だった。投票にはちゃんと行くべきだと思っていたが、今回の結果を見て、より行こうと思った。」 (経・1・大阪市・男性)
今回の「特別区設置住民投票」は、有権者を満20歳以上の大阪市民 (日本国籍を有する) に限定していた。しかし、大阪市民だけでなく、未成年や市外在住者、留学生も集まる市大においても、今回の住民投票への関心は高かったといえる。
賛成と反対の約1万票差は何を意味するのか。今回の住民投票によって、特別区設置は否定された。しかし、多くの有権者が何らかの形(特別区設置以外の形も含め)で大阪市の改革を嘱望していたことは間違いない。今回の結果は真摯に受け止めつつ、市民が何を求めているのか耳を傾け、今後も行政を運営してほしい。
※注1 大阪都構想……大阪市 (24区) を解体して特別区 (5区) を設置する統治機構改革。大阪市が担う事務のうち、広域行政は大阪府に移管する。制度案によると、公選制の区長、区議会を置く人口34万~69万人規模の5特別区が福祉、教育などの住民サービスを担い、成長戦略や産業政策は府に一元化する。
参考URL
「 0.8ポイント差 反対多数・・・大阪市存続 」
http://www.yomiuri.co.jp/feature/matome/20150518-OYT8T50022.html
(2015年5月23日アクセス)
※注2 住民投票……地方公共団体において行われる投票のうち、選挙及び解職又は解散の投票を除き、 個々の政策等について、地方公共団体がその可否又は選択肢を住民に示し、住民が投票により自らの意思を表明する方法。
参考URL
総務省 「地方公共団体における住民投票について」
http://www.soumu.go.jp/main_content/000087296.pdf
(2015年5月23日アクセス)
文責
大塚成美 (Hijicho)
丹下舜平 (Hijicho)
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