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教育としての学力テスト結果公表


全国学力・学習状況調査、通称学力テストは、文部科学省によって毎年小学校6年生と中学校3年生を対象に実施されている。平成25年度の調査結果に関しては、市町村教育委員会が各学校ごとの結果を公表することのないようにと文部科学省で規定されていた。しかしながら、昨年10月8日、大阪市教育委員会は学校管理規則を改正し、委員会が認めた小規模校・特別支援学校などを除く、全市立小中学校で学校別の調査結果を公表することを、非公表にした校長を処分の検討対象とすることで、事実上義務化した。

それに対して、一度ルールを逸脱していると指摘した文部科学省も、11月29日、市町村教育委員会による学校名を明らかにした調査結果の公表も可能とするとして、市町村教育委員会による個々の校名を明らかにした結果の公表を認める考えを示した。

なぜ文部科学省は方針転換をしたのだろうか。文部科学省が今年7月に実施した学力テストの結果の公表に関するアンケート調査によると、都道府県教育委員会、都道府県知事を除く、市町村教育委員会・町村長・学校・保護者の半数以上の人が、従来どおり、学校だけが公表できるようにし、教育委員会は公表できないようにするのが適当だと考えている。  

しかしながら、保護者のうち教育委員会も公表できるようにするのが適当と考える人は44.5%で、教育委員会は公表できないようにするの51.9%より幾らか少ないだけなので、結果公表の需要があるのも確かである。もしかしたら、大阪市では公表できるようにした方いいという人が多かったかもしれない。

学校別に学力結果の公表を行うとなれば、様々な懸念があるだろう。 今回筆者が注目したのが、なぜ大阪市教育委員会は各学校と対話することによって公開を促すという選択をしなかったのだろうか、というところだ。

文部科学省は、市町村教育委員会に公開の判断を任せることで、各市町村の地域性・特性などを尊重する姿勢を示した。しかしながら、大阪市教育委員会は、学校ごとの自主的な判断を認めない意向を示している。さらに、ほぼ強制ともいえる方法で、各校長に結果の公表を促しているのである。

市教育委員会と学校には、協力しなければならない場面が、これからも多々出てくるのではないだろうか。それなのに、今回のような強引なことが積み重なれば、信頼関係に悪影響が出はしないかと気がかりである。もう一つ、気になっている点がある。今回の教育委員会のやり方が、果たして子どもあるいは彼らを導く周囲の大人の目にどう映ったかである。子どもたちは、教科書の中に書いてあることよりも、むしろ自分たちの生活の中、自分たちの手本となる大人たちの姿からもよく学ぶのではないか。今回の強引なやり方は、教育として子どもたちにどのようなメッセージを送ったのだろうか。

どちらも児童生徒のために力を尽くしていることには変わりないのであるから、その児童生徒のためにも、信頼関係のもとに協力する姿勢を見せてほしい。

参考サイト

・『文部科学省HP:学習状況調査の概要』
(URL:http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku-chousa/zenkoku/07032809.htm)

・『文部科学省HP:(参考資料1 全国学力・学習状況調査の結果公表の取扱いに関する…)』
(URL:http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/098/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2013/10/09/1338025_2.pdf)

・『大阪市HP:平成25年度「全国学力・学習状況調査」「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」における学校別の調査結果の公表について』
(URL:http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/kyoiku/0000238600.html)

・『文部科学省HP:平成26年度全国学力・学習状況調査の実施について(通知)』
(URL:http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku-chousa/zenkoku/1342021.htm)

・『文部科学省HP:平成25年7月 全国学力・学習状況調査の結果公表の取扱いに関するアンケート結果』
(URL:http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/098/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2013/10/21/1340623_1_1.pdf)


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