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独占!!「シダイセイ」直撃インタヴュー M78星雲調査報告 〜温故知新 旧市大新聞を訪ねて vol.8〜


Hijicho大阪市立大学新聞が誕生する60年以上前から発行されていた「市大新聞」の掲載記事をHijichoの手で復活させていくこのコーナー。今回は、1977年(昭和52年)2月25日に発行された「市大新聞」第509号より「独占!!『シダイセイ』直撃インタヴュー M78星雲調査報告」を取り上げる。この記事では、1977年 (昭和52年) 当時の市大の様子がシニカルに描かれている。当時の学生生活の様子がありありと伝わってくる歴史的意義のある記事だ。

※ 斜体文字が旧市大新聞からの引用。

幻しの地平、遥か無限 (夢幻?) 光年の地に降り立った私は、「幻しだ、幻しなのだこれは。いや、これは悪夢なのだ」と叫ぶ。幻地 (市大?) には、姿形の定まらぬ、奇態な動物の群れ。彼等は何者か?

「キミタチハ、ナニモノデアルカ?」
「ワレワレハ、”シダイセイ”デアル」
「”シダイセイ”トハ、ナンタルカ?」
「シルカ!」
「キミタチハ、キミタチガナンデアルカヲシラヌワケカ?ハテ、ソレハイカナルコトゾ」
「シルカ!」
「スルト、キミタチハ、タダ、”シダイセイ”デアッテ、”シダイセイ”トハナンタルカハシラナイトイウコトナノダナ?」
「ソウダ!」

彼等、”市大生”は、幻地 (市大キャンパス) でこのように語った。私は、あやかしの言葉に惑わされ、幻地を彷徨った。”外界”との入り口らしき場所には、ジェラルミン製の武器を持った異様な動物がたむろし、出入りする”市大生”に鋭いマナザシを向け、時折り、狂った様にコン棒 (何という、原始的な殺害用具であるか!!) を、”市大生”に浴びせる。

彼等より年令の高そうな、腕章を付けた動物 (前述の動物と同一種であることと見受けられる) が、その手助けをする。”市大生”に訊ねたところ、武装している方が”キドウタイ”というもので、腕章を付けている方は”ショクイン”というものだ、という返事である。また、”シフク”というものもいて同じ類のものらしい。

私は、さらに、「生協」というところに行く。「生協」には”市大生”が呑気そうに食事をしている。出入り口の騒がしさとは別類のものである。ヘルメットを被った”市大生”がビラを手渡しているが、多くの”市大生”は知らん顔である。一人の”市大生”に、どうして受け取らないのか?と訊ねたところ、

「ヨクワカラナイカラ」という。
「ドウシテワカラナイノカ?」というと、
「ヤヤコシイ」からという。
「ドウシテ、ヤヤコシイノカ?」と訊ねると、
「イッパイ、”セクト”トカ”ソシキ”ガアッテ、フクザツデ、ドレガドウナットンノカワカラヘンネン」という。

確かに、私も十枚近くのビラを渡されたが、どうなっているのか、この幻地に状況を知らないもので、さっぱりと分からない。

壁には隈なく各種のビラなどが貼ってある。一つ一つ読んでいくのは、とうてい不可能であると、私は考え、種類だけを見る。何と百種にも及ぶそれらは、厚い層となり、肌触りもゴワゴワと、いかにもいかめしい。これだけの数に及ぶと、”市大生”にもよく分かりかねるものだろう。

キャンパスの芝草のいたる所には、”タテカン”が林立している。”タテカン”と”ビラ”は同じものであることが少なくないようである。因みに、その材質を調べたところ、ベニヤ板・ノリ・紙・墨汁 (赤・黒) ・釘、というものである。”タテカン”を見て行くものも少ないようである。

さて、私がこの幻地 (市大) を探検したところでは、実に摩訶不思議な、「外界」とは確実にその世界を異にする、場であるようだ。かのような幻地に生息する”市大生”を理解するには、数年以上に渡る調査を必要とするであろう。

以上で、幻地 (市大) の調査報告とする。

(M78星雲調査員 K)

解説

用語
・「セクト」とは、元来英語で宗教的あるいは思想的に信条や主義を同じくする者の集団、「分派」や「宗派」を意味する語彙。学生運動における各新左翼党派は「セクト」と呼ばれた。

・「タテカン」とは、「立て看板」のこと。キャンパスの芝地に、タテカンを立てて主義・主張の発信を行なっていたようだ。

文責

 
鶴木貴詩 (Hijicho)


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