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「もっと便利にならないものか 大学までの交通機関」 温故知新 旧市大新聞を訪ねて vol.7


Hijicho大阪市立大学新聞が誕生する60年以上前から発行されていた「市大新聞」の掲載記事をHijichoの手で復活させていくこのコーナー。

本学では、自宅から通学している学生の多くが、JR阪和線または大阪市営地下鉄御堂筋線を利用しているだろう。今回は、1956年 (昭和31年) 5月25日発行の「市大新聞 第84号」から「もっと便利にならないものか 大学までの交通機関」を取り上げる。

※ 斜体文字が旧市大新聞からの引用。掲載にあたり、一部修正を加えてある。

もっと便利にならないものか 大学までの交通機関

無理か急行停車 全三輌でラッシュ緩和
阪和線は杉本校舎に通学している学生約二千五百人と教職員約五百人が利用している。今年の三月までは商経法文の専門課程だけで人数が少なかったのであまり問題にならなかったが最近では学生間で色々問題になってきている。天王寺‐杉本町間の電車が遅すぎる。もっと早くならないものか。踏切を渡らないでもよいように、改札口を駅の裏に作ってくれないだろうか等々である。

天王寺‐杉本町間の普通電車は十三分かかっている。もしも杉本町駅が急行停車駅になると七分ですむとのことである。このことに関して天王寺鉄道管理局の輸送係長は次のように述べている。普通電車で二〇分で行ける範囲は急行を停車しないことにしている。天王寺‐金岡 (現・堺市駅) 間は十六分でいけるのだが乗客数が多いので例外として認めているのである。今のところ杉本町の乗客数が金岡より多いとは認められていないので急行を停車させるわけにはいかない。金岡では急行に乗れば八分で天王寺まで行けるので乗客がどうしてもこれに殺到するのだが杉本町に停車することになると本当に殺人電車ということになるであろう。

見通しつかぬ地下鉄延長
地下鉄一号線 (現・御堂筋線) は今西田辺まで来ている。将来的には杉本町まで伸びることになっているがそれはいつのことであろうか。西田辺から杉本までの距離二・七三キロであるがこれに要する金額は約三十六億八千万円と見積もられている。大阪市の高速鉄道路線 (いわゆる地下鉄) の十カ年計画によるところの西田辺‐杉本町間の公示だけでなく一号線の南方垂水‐梅田間、三号線 (現・四つ橋線) の花園町‐玉出間、四号線 (現・中央線) の大阪港‐森之宮間、五号線 (現・千日前線) の野田‐今里間が予定されているのである。これに要する総工費は二百五十二億であるから市の側も慎重にならざるを得ないだろう。

高速度鉄道延長計画について、交通局建設係長は次のように語っている。市交通局では、大阪市の発展に対応して、この十カ年計画を立てているのであるが、このうち既定計画として実行に移され様とするのは今のとこ岸の里‐玉出間のみで、その他のものについては、どこを真先にやるかということは、ほとんど見通すことは出来ない。西田辺‐我孫子の延長計画も、十カ年計画の中にはあるが、いつ頃までに完成されるかは、わからない。唯長居あたりまでは案外早く着工することになろう。

温故知新
画像=大阪市内交通図 (市大新聞 第84号掲載) (クリックして拡大)

現在の阪和線と地下鉄御堂筋線

この記事は、約60年前の大学までの交通機関の実態について論じたものだ。現在の阪和線、御堂筋線の運行形態や杉本町駅・あびこ駅までの所要時間を見てみよう。

阪和線
1956年当時と同じく、杉本町駅は普通電車のみの停車で、天王寺駅‐杉本町駅間の所要時間も大きく変わってはいない (下記参照) 。運行形態は、天王寺駅発鳳駅方面行きの普通電車が、平日の7時台は6本、8時台は8本、9時台は6本運転されている。日中時間帯は、天王寺駅‐鳳駅間で1時間あたり4本の普通電車が運転されている。

大阪駅・天王寺駅から杉本町駅までの所要時間
(※ 所要時間の一例として、1限目に間に合う列車を取り上げる。)

・大阪駅 08:07発
↓ (大阪環状線内回り経由)
・天王寺駅 08:29着
(乗り換え)
・天王寺駅 08:33発

・杉本町駅 08:45着

所要時間 38分

※あくまで目安である。大阪環状線での乗車列車、天王寺駅での乗り換え時間、鶴ケ丘駅での快速の通過待ちなどで、所要時間は前後する。

参照:西日本旅客鉄道・鉄道のご案内
(http://www.jr-odekake.net/railroad/#eki)

地下鉄御堂筋線
この記事が書かれた1956年当時、御堂筋線は梅田‐西田辺間でしか開通していなかった。その後、1960年 (昭和35年) に西田辺駅‐あびこ駅間が開業。1987年 (昭和62年) にあびこ‐なかもず駅間が開業し全通する。

現在の運転形態は、2つの運転系統があり、千里中央駅‐なかもず駅間の直通列車と新大阪駅‐天王寺駅間 (朝夕の一部と深夜帯は中津駅やあびこ駅、新金岡駅で折り返す) 折り返し列車が原則として交互に運転される。それぞれ朝は約4分、日中は約8分、夕方は約5分、夜は約10分間隔で運転される。天王寺駅発あびこ駅方面行きの電車が、平日の7時台は9本、8時台は14本、9時台は18本運転されている。

梅田駅・天王寺駅からあびこ駅までの所要時間
(※ 所要時間の一例として、1限目に間に合う列車を取り上げる。)

・梅田駅 08:04発

・天王寺駅 08:20発

・あびこ駅 08:28着

所要時間 24分

※ あくまで目安である。梅田駅でどちらの運転系統に乗るかによって所要時間は前後する。

参照:大阪市交通局 地下鉄時刻表 御堂筋線
(http://kensaku.kotsu.city.osaka.lg.jp/subway/dia/rosen/roseneki1_1.html)

ダイヤの比較は上記の通りだ。所要時間 (あびこ駅から杉本キャンパスまでの移動時間を15分、杉本町駅から杉本キャンパスまでの移動時間を5分と想定した場合) に関してそれほど大きな違いはないが、運転本数に関しては御堂筋線のほうに分があると言える。しかしながら、阪和線・御堂筋線以外の路線も利用する場合は、その路線などとの兼ね合いもあるため、どちらの方が利便性がよいかは一概には判断できないところだ。 なので、自身が利用する他の交通機関との連絡、定期券の料金など、様々な点から総合的な判断を行なって、どちらを利用するか選ぶのが賢明だろう。

阪和線に関する問題 〜阪和線遅延問題〜
この記事では、杉本町駅への急行停車を望む声について掲載されていた。現在でも、杉本町駅に快速電車が停車するようになれば、学生を始めとする利用者の利便性の向上につながるだろう。実際、杉本町駅の1日あたりの平均利用者数は8,953人であり注1、阪和線の普通列車のみ停車する駅では利用者数が最も多い。しかしながら、他の停車駅との兼ね合いや、杉本町駅のホームは6両編成までしか対応ができないため、8両編成の快速を停車できるようにするためにはホームを延長する必要があるなど、快速停車の実現は難しいというのが実状だろう。

むしろ現状では、頻繁に発生する阪和線の遅延の方が、学生にとっては大きな問題だ。実際HijichoのTwitterアカウントでも、阪和線で大幅な遅延が発生した場合、それに関する情報を発信している。

なぜ遅延することが多いのか、阪和線内での事故や故障も原因だが、阪和線を走る列車には他のJR路線に直通する列車が多く、他の路線の遅延が阪和線内に持ち込まれやすいというのも大きな原因である。例えば、大阪環状線に遅延が発生すると、関空快速・紀州路快速や特急はるか、特急くろしおなどの大阪環状線を走る阪和線直通電車が遅れ、その遅れが阪和線内に持ち込まれる。さらに阪和線の過密ダイヤも相まって遅延が長引いてしまうのだ。

(注1) 参照:平成24年度大阪府統計年鑑 (平成25年3月刊行) 第9章 運輸及び通信
(http://www.pref.osaka.jp/toukei/nenkan/tn2012-index.html)

学生にできる対応策は?
このような阪和線の遅延問題に対して、学生はどのように対処していくべきなのか。遅延に関する情報をなるべく早くキャッチし、遅延の影響を回避できるように行動するのが良いだろう。例えば、Yahoo Japanが提供している「Yahoo Japan 路線情報 (http://transit.loco.yahoo.co.jp/traininfo/top) 」では、運行情報メール設定をすると、自身が登録した路線に遅延が発生した場合、路線の運行情報がメールで送られてくる。他にも「JR西日本 近畿エリア運行情報 (http://trafficinfo.westjr.co.jp/kinki.html)」や「NAVITAIME 運行状況/混雑状況 (http://www.navitime.co.jp/train/)」など様々なWebサイトで運行情報は提供されている。事前に遅延に関する情報をキャッチして、早めに家を出たり、振替輸送を利用するなどの行動を取り、遅延の影響を最小限に抑えるようにしよう。遅延の影響を受けてどうしても講義等に遅れてしまう場合には、遅延証明書をもらい提出するようにしよう。

文責

鶴木貴詩 (Hijicho)


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