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学生はいつまで「部外者」なのか 〜2部廃止問題から〜


大阪市立大学の2部 (夜間課程) が廃止される際、学内外で1万人以上の反対署名を集めるなど社会を巻き込むほどの運動が起こった注1なぜ反対運動が起きたのか。2部廃止を巡り展開された運動から、現在の市大の状況を見る。

2部廃止の影響

2部廃止の決定に至るまでの間に、大学側は「現役学生に影響は無い」として学生らへの説明はなかった。注2。大阪府立大学では学部再編問題の際も同様の対応だった。たしかにカリキュラムや学費など制度上の変更は無い。しかし「変更が無い」からといって「影響は無い」のだろうか。

2部廃止に関して言えば、現役学生には後輩がいなくなるし、母校が無くなるのである。また、市大の2部は経済的に困難を抱える学生らの貴重な選択肢にもなっていた。後輩達の進路がひとつ確実に減っている。大学の先輩である筆者としては他人事とは思えない。

市大は公立の総合大学という全国でも数少ない大学であり、その夜間課程は経済上の理由で進学を諦めざるを得ない人達の数少ない教育機会であった。市大にしか果たせない役割を担っていたと言える。2部の廃止によって、それらの人達の教育機会を奪ってしまい、有為な人材の育成を放棄してしまったのではないだろうか。

学生はいつまで「部外者」なのか

もっとも、社会を巻き込むほどの大きな反対運動になった最大の原因は、大学から学生への相談や説明が無かったことだろう。学生は大学の主要な構成員であるにも関わらず、事実上の「部外者」として扱われたのである。2部廃止に限らず、自転車駐輪の有料化や保護者への成績通知の際も、一方的な通知のみで大学からの説明は無かった。このときは反対運動は起こらなかったが、今後も相談や説明が無いまま重大な決定を行うのであれば、何らかの反対運動が起きてもおかしくない。

2部廃止の際は、民放テレビのアナウンサーが「市大はいつからこんな冷たい大学になったのか」と批判するなど、市大は学生からの信頼だけでなく、社会的な信頼も大きく損なったのではないだろうか。

2部廃止反対運動を牽引してきた「大阪市立大学二部廃止問題を考える会」では、「学生を無視したやり方を大学に繰り返させないために、また2部を存続・復活させるためにも全学生を代表する学生自治会のような組織をつくっていくことが必要なんじゃないかと思います」とブログ上で述べている。

しかし未だに「学生を無視したやり方」を市大は繰り返しているように思える。これについては学生側にも責任はあると思われる。現状、学生自身が望まなければ、大学側から自発的な相談や説明をするとは思えない。にも関わらず自転車駐輪の有料化や保護者への成績通知の際にも、疑問を呈する学生はいたものの、具体的な改善策には結びついていない。

「具体案を提示できないなら批判するな」と言っているわけではない。しかし「誰か」が具体案を考えなければならないし、考えた後に実行しなければならない。当たり前のことながら、非常に複雑な問題を「個人」で行うのは難しい。したがって「みんな」で行う場や技術が必要となる。

大学運営にコミットするようになれば、当然相応の責任も伴う。大学へ要求だけすればいいという立場ではなくなる。しかしその責任を背負ってこそ大学の構成員足り得る。大学という場の主役のひとりとして、そろそろ「部外者」から卒業すべきではないか。

注釈

注1:大阪市立大学二部廃止問題を考える会「陳情、会派要請にいってきました」2009年6月20日
URL:http://osakaitidai.blog36.fc2.com/blog-entry-83.html

注2:当時の大阪市立大学ホームページ上での発表「学部第2部の学生募集の停止について」(※キャッシュです。)
URL:http://web.archive.org/web/20120406164124/http://www.osaka-cu.ac.jp/news/20081125090832/admission.html

また、当時の経緯については、こちらのブログで確認できます。
「大阪市立大学二部廃止問題を考える会」
URL:http://osakaitidai.blog36.fc2.com/

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文責

近藤龍志 (Hijicho 2013年卒)


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