昨年の夏、学術情報総合センターのパソコンが更新され、Windowsに代わりMacが導入された。新しいパソコンは、以前より画面が大きくなり、性能も向上してより快適に利用できるようになった。しかし、Macを使ったことのない人の中には、Macと聞くだけで何となく敬遠してしまう人もいることだろう。実際、Macの操作はWindowsと異なるところがあり、普段Windowsしか利用しない人々が何も知らずにMacに触れると戸惑ってしまうことは避けられない。Hijichoでは、そんな人たちが気軽にMacを使えるよう、Macの使い方や知っておくと便利な機能を連載していく。学情のMacを前に、実際に試しながら読んで頂けば、より理解が深まること請け合いである。 第2回では、OS Xのアプリケーションと第1回より少し高度な基本操作について、そして、学情のMac上でWindowsを使う方法を紹介する。なお、記事中の説明は、前回の記事で紹介した知識を理解していること前提としている。まだ前回の記事を読んだことがないのであれば、そちらを先に読むことをおすすめする。
目録
凡例
キー ボタン (青)
OS Xのアプリケーションを使う
学情のMacには多くのアプリケーションがインストールされている。Windowsにおいてはスタート画面 (Windows 8) やスタートメニュー (Windows 7以前)、またはデスクトップからアプリケーションを起動するが、MacにおいてはDock (ドック) およびLaunchpadからアプリケーションを起動する。これから、DockおよびLaunchpadの使い方を紹介する。
Dockとは
よく使うアプリケーションやファイルなどをここに登録しておくことができる。登録したアプリケーションやファイルは、アイコンを (シングル) クリックするだけで素早く開くことができる。また、登録しているか否かにかかわらず、アプリケーションを起動するとここに表示される。起動しているアプリケーションのアイコンの下には、青色の印が表示される。なお、アプリケーションは区切り線の左側に、ファイル・フォルダ等は右側にのみ登録できる。
Launchpadとは
学情のMacにインストールされているアプリケーションは、Dockに登録されているものが全てではない。Launchpadを表示すると、使用可能な全てのアプリケーションをiPhoneのホーム画面のようなデザインで一覧することができる。アプリケーションを起動するには、アイコンを (シングル) クリックすればよい。 Launchpadを表示するには、Dockの中にあるLaunchpadのアイコンをクリックするか、F4 キーを押す。学情のMacには多くのアプリケーションがインストールされているため、Launchpadは複数のページに分かれて表示される。ページを切り替えるには、マウスのスクロールホイールを動かすか、アイコン以外の部分を左右にドラッグする。
Dockに標準で登録されているアプリケーション
学情のMacには、標準で以下のアプリケーションが登録されている。
アプリケーション名 | Windowsにおいて相当するプログラム・機能 | 概要・備考 |
---|---|---|
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Windowsエクスプローラー | フォルダの内容を閲覧する。 |
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スタート画面のアプリ ビュー・スタートメニューのすべてのプログラム | インストールされている、すべてのアプリケーションを一覧する。 |
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Internet Explorer | Webページを閲覧する (Webブラウザ)。 |
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フォト・リーダー・Windowsフォト ビューア・ペイント | 画像を開く。簡単な編集もできる。より高度な編集を行いたい場合は、Launchpadから『Adobe Photoshop Elements 12』が利用できる。 |
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People・アドレス帳フォルダ・Outlookの連絡先 | 連絡先を管理する。 |
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カレンダー・Outlookの予定表 | 予定を管理する。 |
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付箋 | メモを残すことができる。よく似たアプリケーションとして、Launchpadから『スティッキーズ』(『その他』フォルダ中にある) も利用できる。こちらは、それぞれのメモを画面上の好きな場所に表示しておくことができる。 |
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地図 | 地図を表示する。経路案内もできる。 |
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Windows PowerShell・コマンド プロンプト | シェルを投入する。よく似たアプリケーションとして、Launchpadから、アップル純正の『ターミナル』(『その他』フォルダ中にある) も利用できる。 |
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メモ帳 | 標準テキスト (.txt) 形式のファイルや、様々な種類のソースコードなどを編集する。書式を設定することはできないが、高度な編集機能を備える。よく似たアプリケーションとして、Launchpadから、アップル純正の『テキストエディット』(『その他』フォルダ中にある) やEmacsも利用できる。テキストエディットでは、簡易な書式を設定した書類も作成できる。 |
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PC設定・コントロール パネル | システムの設定を変更する。 |
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Microsoft Word | Mac版のMicrosoft Word 2011。WindowsのWord 2010とほぼ同じ機能が利用できる (画面のデザインは多少異なる)。 |
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Microsoft PowerPoint | Mac版のMicrosoft PowerPoint 2011。WindowsのPowerPoint 2010とほぼ同じ機能が利用できる (画面のデザインは多少異なる)。 |
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Microsoft Excel | Mac版のMicrosoft Excel 2011。WindowsのExcel 2010とほぼ同じ機能が利用できる (画面のデザインは多少異なる)。 |
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Virtual PC | ハードウェアを仮想化してOS Xと同時にWindowsなどを実行する。 |
項目をDockに追加する
Dockに項目を追加するには、アプリケーションや書類をDockへドラッグ&ドロップする。なお、アプリケーションを登録できるのは区切り線の左側のみ、書類を登録できるのは区切り線の右側のみである。登録したい項目がアプリケーションである場合、Launchpadを開いてアプリケーションのアイコンをドラッグ&ドロップすればよい。また、アプリケーションが既に起動されている場合は、アプリケーションのアイコンを右クリックし、
→ を選択してもよい。項目をDockから削除する
Dockから項目を削除するには、Dock中の削除したい項目のアイコンをゴミ箱へドラッグ&ドロップする (ゴミ箱の項目名が『Dockから削除』に変わる)。この操作で、登録されていたアプリケーションや書類が削除されることはない。ただし、Dockにフォルダを登録していて、そのフォルダ内の項目をゴミ箱へドラッグ&ドロップした場合はファイルが削除されるので注意が必要である。
Dockの大きさを変更する・自動的に隠す
Dockの区切り線の上にマウスポインタを乗せると、形が上下方向の矢印に変わる。その状態で区切り線を上下にドラッグすると、Dockの大きさを変更することができる。 また、Dockの区切り線を右クリックすると、オプションが表示される。『自動的に隠す』機能を入にすれば、マウスポインタを画面の一番下 (Dockを下に表示する設定の場合) に移動したときのみDockが表示されるので、画面を広く使うことができる。 なお、これらの設定は『システム環境設定』アプリケーションを開き、一番上の段にある『Dock』環境設定を開いて変更することもできる。
Macの基本操作 その2
ここからは、Macの基本的な操作のうち、第1回で紹介したものよりもう少し高度なものを紹介する。
ショートカットを使う
Windowsでは、ショートカットは ctrl キーが基軸になっているが、OS Xでは command キーが基軸になっている。例えば、コピーのショートカットはWindowsでは ctrl + C であるが、OS Xでは command + C である。 また、ショートカットは各メニューの右端に表示されているが、OS Xでは各キーが記号で示されるので、それらを知っておく必要がある。以下に代表的なものを示す。
: control
: option
: shift
: command
: return
: delete
: tab
: esc
例: N = shift + command + N OS Xの多くのアプリケーションで共通して使える、代表的なショートカットを以下に示した。Windowsのショートカットとは ctrl キーと command キーとの違いであるものが多いが、そうではないものもある。後者を太字で示した。
- アプリケーション名のメニュー
- アプリケーションを隠す:
H
- ほかのアプリケーションを隠す:
H
- アプリケーションを終了:
Q
- アプリケーションを隠す:
- 新規書類・新規ウインドウ:
N
- 新規タブ:
T
- 新規フォルダ:
N
- 保存:
S
- 別名で保存:
S
- プリント:
P
メニュー
- 新規書類・新規ウインドウ:
- 取り消す:
Z
- やり直す:
Z
- カット:
X
- コピー:
C
- ペースト:
V
- すべてを選択:
A
- 検索:
F
メニュー
- 取り消す:
- 再読み込み・更新:
R
- 実際のサイズ:
0
- 拡大:
+ (+ = shift + ; であることに注意)
- 縮小:
−
- フルスクリーンにする・フルスクリーンを解除:
F
メニュー
- 再読み込み・更新:
- その他
- ウインドウを閉じる:
W
- ウインドウをしまう:
M
- ウインドウを閉じる:
起動しているアプリケーションを切り替える
起動しているアプリケーションを切り替えるには、Dockから切り替えたいアプリケーションのアイコンを選択する。 また、ショートカット command + tab で直前に使用していたアプリケーションに切り替えることができる。このとき、command キーを押してから tab キーを押し、その後に tab キーのみ指を離すと、開いているアプリケーションの一覧が表示される。そのまま command キーから指を離さずに tab キーを何回か押し、切り替えたいアプリケーションが選択された状態で command キーから手を離すと、直前に使用していたアプリケーション以外にも切り替えることができる。
アプリケーションを終了するときにウインドウを閉じる
OS Xの初期設定では、アプリケーションの終了時に開いていた書類やウインドウの位置などの状態が保存される。そして、次回同じアプリケーションを起動したときには、前回の終了時と同じ状態から作業を開始できる。しかし、アプリケーションを終了するときにウインドウを全て閉じてほしいと考える人々にとってはこの機能は不要であろう。そのような場合は、『システム環境設定』アプリケーションを開き、一番上の段にある『一般』環境設定を開いて『アプリケーションを終了するときにウインドウを閉じる』にチェックを入れるとよい。なお、option キーを押しながら → → を選択すると (option キーを押している間のみメニューが変わる)、上記設定をしていなくても一度限りでウインドウを全て閉じてアプリケーションを終了できる。
USBメモリなどを利用する・取り外す
iMacのUSBなどのポートは本体の背面右側にあるが、USBポートの1つが延長されているので、そちらを利用するのが楽である。なお、1ポートで足りない場合、背面に空きポートがあるのでそちらを利用するとよい。 OS Xでは、USBメモリなどを接続すると、デスクトップにアイコンが表示される。なお、多くのUSBメモリは出荷時にMS-DOSファイルシステム (FAT) でフォーマットされており、Macでも書き込みを行うことができる。しかし、最近の大容量ハードディスクなどはWindows NTファイルシステム (NTFS) でフォーマットされているものもあり、その場合は読み込みのみ可能で書き込みはできない。 USBメモリを安全に取り外すには、デスクトップにあるUSBメモリのアイコンをゴミ箱にドラック&ドロップする (ドラッグを開始すると、ゴミ箱のアイコンが取り出しマークに変わる)。または、
→ → を選択する。ファイルを名前順で表示する
Finderで
→ → を選択すると、『表示オプション』ウインドウが表示される。『表示オプション』ウインドウでは、表示に関する様々な設定を変更することができるが、『表示順序』を に設定することで、ファイルが名前順で表示されるようになる。画面の明るさを変更する・音量を変更する
画面の明るさを変更したり、音量を変更するにはファンクションキー (キーボード上部のFから始まるキー) を使う。画面を暗くするには F1 キーを、明るくするには F2 キーを、音量を下げるには F11 キーを、音量を上げるには F12 キーを、消音にしたり、消音を解除したりするには F10 キーを押す。これらのキーは、機能がアイコンでも示されているので分かりやすい。 なお、音を出す際には、周りの人々への充分な配慮を忘れてはいけない。本体の背面右側にはヘッドフォンジャックがあるので、可能ならヘッドフォンやイヤホンを利用すべきだろう。
学情のMac上でWindowsを利用する
Windowsを起動する
Windowsを起動するには、Dockから『Parallels Desktop』を起動する。Parallels Desktopを起動すると、初級状態ではウインドウが表示され、その中でWindows 8.1が起動する。 Parallels Desktopは『仮想化ソフトウェア』(※) と呼ばれるソフトウェアで、WindowsはMac上の1つのアプリケーションとして動作する。なお、Windowsを使用しながらOS Xのアプリケーションを使用することも可能であるが、WindowsがCPUの処理能力やメモリを消費するため、動作は通常より遅くなることがある。 ※仮想化ソフトウェアとは: ハードウェア (機械) と同じように機能し、その代わりとなるソフトウェア。学情のMacに導入されているものは、パソコン本体の代わりをする。 学情に導入されているMacのモデルはiMacである。iMacの電源ボタンや各種ポートは背面にある。ただし、学情のiMacは電源ボタンを押す必要は無い。また、USB 3.0ポートが1つ延長されており、背面に手を回さなくても利用できる。
サインイン (ログオン) する
Windowsの起動が完了すると、画面中央に『ユーザー名』『パスワード』と表示されたテキストフィールドが表示される。Windowsにサインイン (ログオン) するには、『ユーザー名』の部分に学籍番号 (小文字) を、『パスワード』の部分にパスワードを入力する。そして、パスワードのテキストフィールドの右端に表示されている return キーを押す。サインインが完了すれば、後は一般的なWindowsと同様に利用できる。なお、アプリケーションはデスクトップの『教育用アプリケーション』フォルダにまとめられている。
ボタンを押すか、Windowsのショートカットについて
学情のMac上でも、Windowsのショートカットは control キーが基軸となる。ただし、Macのキーボードの control キーは、一般的なWindowsのキーボードの ctrl キーとは異なる場所にあるので注意が必要である。また、Windowsキーは command キーで代用するが、WindowsのショートカットがOS XまたはParallels Desktopのショートカットと衝突する場合、一部はOS XまたはParallels Desktopのショートカットが優先され、利用することができないWindowsのショートカットがある。
Windowsをフルスクリーンで使う
Windowsは、初期状態では1つのウインドウの中で実行される (ウインドウモード)。この状態は、OS XのアプリケーションとWindowsのアプリケーションを横断的に利用したい場合に便利である。一方、Windowsでの作業のみに集中したい場合、フルスクリーンにするとWindowsをより広い画面で使うことができる。第1回でも紹介したが、フルスクリーンにするには、ウインドウ右上のボタンをクリックする。
Windowsをシャットダウンする
Windowsの画面左下にあるスタートボタン (Windowsロゴ) をクリックすると、スタート画面が表示される。しかし、学情のMac上のWindowsでは、スタート画面は初期状態ではWindowsにインストールされているすべてのアプリが表示される『アプリ ビュー』で表示される。電源オプションを表示するには、アプリ ビューではない通常のスタート画面に移動する必要があるが、そのためには画面左下の
予告
次回は、知っていればMacをより快適に利用できる機能などを紹介する。お楽しみに。
おことわり
記事中では、2014年10月時点で学術情報総合センターに導入されているMac環境 (機種: iMac、OS Xのバージョン: 10.9 (Mavericks)) を前提に使い方を紹介しています。機種やOS Xのバージョンが異なると、使い方は異なる場合があります。 また、この記事に記載されている操作を行っても、通常の使用状態においてはいかなる障害も発生しないことを確認していますが、万一障害が発生して損害が発生したとしてもHijichoでは責任を負えませんのでご了承ください。 なお、詳細な操作方法は 5階情報処理PCルームの利用手引き — 大阪市立大学 情報処理教育システム
→ メニューからMacのヘルプを参照するか、以下のページから『5階情報処理PCルームの利用手引き』をご覧ください。
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