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大学構内での自転車駐輪が有料に


7月5日(火)、快晴の下、突如現れた看板に学生は目が釘づけとなった。

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「市大構内駐輪有料化の議論を公開」
(http://hijicho.com/?p=923)(7月13日追加)

「平成23年10月1日から自転車の登録制(有料)を導入します。」


(実際に掲示された看板)

看板には上記の一文を含む文章が書かれていた。この看板は学情の駐輪場近辺を始め、構内で数か所にわたって確認されている。内容から察するに、どうやら後期から市大構内で自転車の乗り入れが有料かつ登録制になるらしい。しかし、自転車の乗り入れ規制をほのめかす以外、詳しい情報は看板には掲示していなかった。学生の関心事でもある自転車の乗り入れ・駐輪規制。詳しい事情を探りたいと思った記者は、早速この看板を掲示、管轄している大阪市立大学法人運営本部経営管理課の管財担当の方に詳細を伺った。

構内への自転車乗り入れ・駐輪規制の概要はこうだ。(暫定であるためまだ本決定ではない。)

【概要】

・市大構内に自転車で乗り入れ、また駐輪するには事前に所定の登録を行わなければならない。
・登録料は年間1000円。ただし、今年度に限って言えば後期から開始するため半額の500円を徴収。
・年度ごとに更新手続きを行う。
・学情センターに設置している証明書自動発行機を用いて、自転車用の在学証明書交付手続きを行う。
・登録シールを張っていない自転車に関しては、チェーンなどで一時係留し、登録が完了したら引き渡す。

不意を付く形でのこうした自転車乗り入れ規制に対する学生からの不満は必至であろう。看板の前に足をとめた学生は一様に表情を歪めた。しかし、こうした規制の背景には大学構内における深刻な放置自転車事情、そして駐輪マナー違反が見え隠れする。

構内に溢れかえる自転車

現在、市大の構内に乗り入れたり、駐輪したりする自転車は2900台ほどに上る。大量の自転車と度重なる駐輪マナー違反が合い重なって、道行く人の通行の邪魔になったり、車両通行の妨げとなったりしている。特に車椅子の方や目の不自由な人への影響が心配される。また避難場所であるはずのところに自転車があふれているそうで、今回の震災を受けて震災対策にも敏感になっているように感ぜられた。

「学生数は変わらないものの、近年、自転車数だけ増加している」と職員の方は話す。自転車通学者以外で構内移動のために利用する学生が自転車の総量を引き上げているようだ。2007年に学生向けに実施されたアンケートによると、自転車通学者は全体の23%。数にしておよそ1600名だそうだ。単純に計算すると、つまりは自転車総数から引いた1300台もの自転車は構内移動用のための自転車であるとの計算になる。(但し、中には近隣の方の不法駐輪も含まれる可能性がある。)担当職員の方としては、構内移動はなるべく自転車を控え、徒歩での移動を推奨している。徒歩推奨の背景には安全を確保するという点もあるが、加えてキャンパスがそう広くないため、現存の自転車総数を収容するキャパシティが足りないこともあげられる。

不法に放置される自転車の数も深刻だ。毎年、構内から撤去される自転車の数は6~800台前後に上るという※。卒業生が自転車を引き取らず構内に放置したまま、大学を離れるというケースが大半を占めるようだ。そうした撤去にかかる費用も大学財政を圧迫する一因となっているようだ。

(※余談ではあるが、今年は東日本での震災を受け、撤去された自転車の一部は外部のNPOによって修理され、被災地の方への支援物資として東北に送られている。)

膨らむ経費

現在そうしたマナー違反の自転車に対応するために、去年から自転車整理員2人を外部に委託して雇っている。駐輪区域外に留めてある自転車を、整理員の方が所定の駐輪スペースにまで移動させているのを見かけることがあるだろう。今回の自転車登録有料化によって学生から徴収したお金も、この自転車整理員を雇う経費に当てられるようだ。外部委託時の入札の関係上、ここでは実際の額は公表できないが、およそ学生から徴収する金額とのすり合わせから言って、合理的な金額といえるだろう。

制度に対する不安要素も

なおこうした自転車有料登録制度は東京大学も行われているらしく、一定の効果は上げているようだ。しかし、市大で制度化していくにあたっては依然課題も多い。まず、登録を強制するに当たって、自転車を利用する全学生にもれなく登録を行ってもらえるかどうかが問題であろう。一部の律儀な学生からのみ登録手数料をとって、一部の学生から登録漏れがあったりしては公平性を失することになる。他にも、この制度は学外者の不法駐輪を防ぐことから、自転車の総量を減らす点で有効性は認められるものの、駐輪マナー改善の抜本解決には足り得ないだろう。駐輪マナーの改善にはまた別の対策がもとめられる。また、自転車の登録有料にともなって大学構外の近隣地域への不法駐輪も危惧される。
その他にも、学外者による大学施設の一時利用のための駐輪、登録シールの盗難についての疑問も学生側の声として聞かれた。

大学・学生双方に努力を

「こういったことは本当はしたくはないが、自転車の駐輪マナーが改善されない限りはこの制度を導入せざるを得ない。」と話すように大学としても今回の自転車の総量規制は苦渋の判断である。「もっと良い案があればいいのだが・・」と担当者が悩むものの、現段階ではこれに代わる案は出されていないようだ。今年度はこの制度を施行し、今後も検証を重ね、より安全で快適なキャンパス環境を作りたいとしていている。

一方で、学生側も駐輪マナー改善をこころがけなければならない。自転車整理員を雇わざるを得なくさせている原因の大部分は、不当な駐輪を行っている学生が負っているのだから。無秩序な駐輪は他の人の通行の障害となり、構内の安全性を損なう。駐輪の際にはそうした他者への配慮が必要だ。

なお、構内の駐輪区域は大学側より指定されている。以下にその図を掲載する。これを参考にして、今後は指定区域に駐輪されることを願いたい。

今後、大学側は学内ホームページ、構内掲示板、全学ポータルサイトを通じて自転車登録制度の告知を行っていくとしている。ただ、正式に詳細が公表されるのは9月に入ってからになるそうだ。制度実施の1カ月前(しかも夏季休暇期間)からの告知であるため、学生に対して周知を徹底できるかも課題の一つである。

文責

徳永一雄

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「市大構内駐輪有料化の議論を公開」
http://hijicho.com/?p=923

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