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吉田寮食堂問題から見る市大


今回の吉田寮食堂問題が、大阪市立大学や市大生にどのように関係しているか。自転車有料登録制保護者への成績通知制度で揺れる市大であるが、問題意識から声を上げている学生も少なくない。しかし一向に大学と学生との話し合いが開かれる気配はない。今回の吉田寮食堂問題とそれを巡る京大と自治会の交渉から、市大の諸問題を解決するヒントを探る。

吉田寮食堂問題の意味

今回の赤松副学長の交渉打切り宣言は、長く続いてきた確約団交体制を否定するものであった。民主主義を標榜する大学が、一方的に民主的な合意形成を踏みにじるような行為に及んだことは見逃してはならないだろう。また吉田寮は、全国でも数少ない学生自治寮として知られており、今回の交渉打切り宣言は学生自治を破壊するものではないかとの見方も広がっていた。

その上で大学側の決定を覆した結果は大きい。たとえ大学側の決定であっても、学生が真剣に取り組めば大学も理解してくれるという証左だ。

決定撤回の要因

今回の交渉は、自治会側の「完全勝利」と言っていいだろう。その要因は、自治会側の徹底的な準備にあった。予想される大学側の主張に対して有効な反論を用意しており、さらに、長い時間をかけて独自に調査した結果をもとに自らの補修案が可能であり、また双方にメリットがあるということを立証してみせた。交渉全体の構図としては、大学側の主張の矛盾点を自治会側が指摘していくという形であったが、勝利の決定的な要因は自ら建設的な有効策を用意できたことだろう。

市大の場合

これらを踏まえた上で市大の問題を見てみよう。自転車有料登録制度や保護者への成績通知制度の導入の際には、少なくない学生らが疑問の声を上げたが、全学的な流れにはなっていない。学生同士の連携も不十分であると感じた。また、例えば自転車問題に関しては、そもそも自転車整理をしなければならないような駐輪の仕方をしていた学生に非はなかったか。

一方大学側も、一方的な通知のみで済ませていたのではないか。密室での決定をただ通知しただけで学生が納得すると考えているのであれば、それは認識が甘すぎると言わざるをえない。学生に新たな負担を強いているのだから、少なくとも公の場で「説明会」程度は開催するべきであろう。

「学生の総意」の不在

大学と学生の交渉の場が持たれない最大の理由として考えられるのは、「学生の総意」がないことだ。個々に声を上げる学生がいたとしても、大学側としてはそれを「学生の声」として受け入れることは困難である。複数の学生がそれぞれ異なる意見を主張した場合に、どちらを「学生の声」として対応すればいいか分からないからだ。

かつては自治会が「学生の総意」を代弁する形で存在していたが、現在の市大には自治会はない。では、自治会を作らない限り学生の声を大学に届けることはできないのだろうか。

旧自治会の規約には「学生大会の成立には、全学生の四分の一以上の出席が必要である」旨が記載されていた。自治会消滅後、四者協 (応援団・体育会・文化系サークル連合・音楽系サークル協議会) はこの規約に準じて、BOXに関する問題で約1,500人の学生を集めて「学生大会」を成立させたこともある。このような形で多くの学生の同意を集め、団体交渉を要求すれば大学側も無視はできないだろう。学生が民主的な手続きを踏み、誠実な態度で交渉を要求すれば、大学側も何らかの対応は取るべきである。ある問題に対し大学と交渉の場を持ちたいなら、まずは賛同者を集めることから始めるのがいいだろう。その際には、Hijichoを利用するのも一つの手だ。

団体交渉はあくまでも手段の一つに過ぎない。他にも取れる手段は考えられるだろう。ただしその際には、問題に対して真剣に取り組まなければならない。どこがどのように問題なのか、予想される大学側の反論に対する再反論は、問題解決に向け学生から新たな提案はできないか。

これらを踏まえたからこそ、吉田寮自治会は「勝利」したと言える。Hijichoの創刊号に「単なるクレーマーにならないで」と述べた記事 (四者連絡協議会・大阪市立大学最大の学生団体, Hijicho創刊号 (2011.4.1) ) があるが、市大生は市大の問題に対し、もっと深く取り組んでいいと思う。市大をよりよい大学にするのは、市大生に他ならないのだから。

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学生自治の砦揺るがず 〜京都大学吉田寮食堂問題〜 (http://hijicho.com/?p=6724)

文責

近藤龍志 (Hijicho)


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