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放置自転車対策×ホームレス支援=HUBchari


社会起業家 川口加奈

取材を行っていく中で、記者の関心はHUBchariから彼女自身に移っていった。そもそも彼女はなぜこういった活動を始めるに至ったか。そのルーツはどこにあるのだろうか。

記者:川口さんは一般的に社会起業家と呼ばれるカテゴリーに属すると思うのですが、社会起業家を志すようになったのはいつごろからですか。

そもそも社会起業家になりたくて始めたわけじゃなくて、ホームレスの方を支援したいと思う内に自然とそうなっていました (笑)

記者:さきほども自転車問題ではなく、ホームレス問題が自身の中で最も関心のある問題とおっしゃっていたのですが、どのようないきさつでホームレス問題に興味を持つようになったのですか。これまでの活動と合わせて教えてください。

最初にホームレス問題に出会ったのは14歳のときです。大阪という大都市の脇でホームレスの方を目の当たりにし、なぜ豊かな日本において、住むところもなく食うものにも困る人がいるのかと疑問を持ち、炊き出しに参加したのがホームレス問題に興味を持ったきっかけですね。それから自分に何かできることはないかと思い、同世代にむけての講演活動をはじめました。当時、若者が襲撃するという事件があったので、特に若者がホームレス問題を正しく理解することが重要だと考えたためです。そうした講演活動の縁もあって高校時代には、ボランティアの親善大使としてアメリカにもわたる機会をえました。


写真=川口加奈さん
記者:高校までの経歴だけを見てもすごいですね。大学に入ってからも活躍されていますが、その前に気になるのは大阪市立大学を選んだ志望動機ですね。何か理由はありますか。

高校時代までは講演活動など、草の根の活動が主だったのですが、そのうちにホームレスの方の状態をよくするのではなく、ホームレスの方を生み出す日本の構造自体を変えたいという思いが強くなり、その結果、ホームレス研究が日本一進んだ大阪市立大学へ入学を決めました。

記者:市大はホームレス研究が日本一進んでいるというのは初耳で、少しびっくりです。それで、大学に入学したあとは理論面からも実践面からも継続してホームレス問題に取り組んでいるのですね。

うーん、どうでしょうか。大学に入ってからはやや紆余曲折あって、自分の能力を高めなければと思い、ビジネスコンテスト、中小企業合同説明会運営、企業インターンシップなどに取り組み、校内のサークルも2年までアイセックに所属して国際会議に参加したりと、いろいろなところに顔をだしました。与えられた機会、与えられそうな機会にはすべて飛び込んでいきました。

記者:なるほど、修行時代と言ったところでしょうか。その後「Homedoor」の立ち上げにいたるのですね。

そうですね。一緒にやってくれる熱いメンバーとの出会いが、団体の立ち上げへと踏み出した一番大きなきっかけでした。立ち上げに際して、NEC社会起業塾 (※)、ZAQユメコラボ、SIOネットワークさんなど、他団体からの支援も大きな励みになりました。最初のうちはホームレスの方などへのモーニングサービスの提供を主に行っていたのですが、団体の主眼をどこにおいたらいいのか、いろいろ仲間と考えた結果、たどりついたのが雇用で日本の構造を変えるということでした。そして目をつけたのが自転車だったのです。なぜならホームレスの方にとっては、自転車というものは大変なじみ深く、修理を得意とする方が多くいらっしゃるからです。
(※NEC社会起業塾とは社会企業家の登竜門的な存在で、川口さんはその塾での最年少合格者とのこと)

記者:ここでまたHUBchariにつながるわけですね。話が一巡しましたが、そうした活動を行っていく上で大切なことってなんですか。

いろいろあると思いますが、一つあげるならばうまく大人を活用することだと思います。やはりこうした活動を学生だけで行っていくのはなかなか難しいです。会計、資金調達、行政への書類申請、ビラのデザインなどなど事業を行う上で専門知識を必要とする場面がいっぱいあります。そうした時に、いかにしてプロの大人に助けてもらうかというのは重要な点じゃないかと思います。なので、そう意味で大人に気に入ってもらうスキルは必要じゃないですかね (笑) (次ページにつづく)

次ページ 市大の自転車問題に寄せて


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