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放置自転車対策×ホームレス支援=HUBchari


市大生の社会起業家が大阪の二大問題に挑戦

学情1階、ウィステリアでの昼下がり。記者が対面したその女性は、勝間和代のような志の高いバリバリのキャリアウーマン風であるよりかは、彼女自身が話す通りジブリとディズニーランドが大好きだという、うら若き乙女の風であった。彼女の名前は川口加奈。大阪市立大学経済学部3回生。彼女こそは放置自転車問題とホームレス問題とを一挙に解決するアプローチ、HUBchari (ハブチャリ) を立案し、現在、彼女が設立したホームレス支援団体「Homedoor」のもと、大阪市域への導入に向けて取り組む社会起業家である。

Hijicho Webにおいてもここ最近頻繁に取り上げる自転車問題。彼女の取り組みは果たしてそうした自転車問題への対策として有効な手立てになるだろうか。そして彼女がこの事業を精力的に行う背景には何があるのか、取材を通じて明らかにしていきたい。


写真中央=川口加奈さん

HUBchariとは

HUBchariの取り組みは8月の下旬には朝日新聞、毎日新聞にも大きく取り上げられ、また9月の中旬にはテレビ東京のニュース番組「ワールドビジネスサテライト」においても紹介された。大学生が起業を通じて社会問題に取り組むことが注目を引いたようだ。大手メディアも注目するHUBchariとは一体どういったアプローチなのだろうか。

記者:単刀直入に聞きますが、HUBchariはどのようなものですか。

簡単にいえばレンタサイクルの進化版です。コミュニティサイクルと呼ぶこともできます。いくつかの拠点となるポートと呼ばれるものを用意して、そのポートから利用者が自転車を借りて、自身の目的地の近くのポートに返すという仕組みです。コミュニティサイクルというのは、もともとはパリのベリブというところが発祥で、現在日本でも広がりつつあります。でも大阪ではまだ行っている事例がなかったので、ホームレス支援とも絡めて私が先陣を切ろうと思いました。

記者:なるほど、レンタルサイクルという考えは以前からあって川口さんはそれを大阪に広めようと活動しているのですね。

そうですね。ただ、HUBchariが他のコミュニティサイクル事業と違う点としては、放置自転車を元ホームレスの生活保護受給者の方が修復して、コミュニティサイクルとして運用する点にあります

記者:大阪という都市のなかでは土地も限られているとおもうのですが、ポートにはどういったところを利用しているのですか。

他の都市だと公道をポートとして利用しているのですが、大阪市だとそれが厳しいので、「ノキサキ貢献」という言葉をキーワードにLOFTさんだとか、あとはカフェだとかの軒先を利用させてもらっています。

記者:7月初旬に実証実験を行って、大手新聞社にも取り上げられたようですが、実証実験は上手くいきましたか。

実験前は15人くらいしか想定していなかったですが、いざやってみると40人もの方が利用してくれました。正直、思っていたよりも好反応で驚きました。


図表=HUBchariの事業概要
記者:HUBchariの仕組みはある程度わかったのですが、そもそもなぜ自転車問題に取り組もうと思ったのですか。

もとはと言えば、ホームレスの方への雇用創出をしたいと考えていたんですね。それならおっちゃんになじみがあって、得意な分野はなにかってところで、自転車の修理を思いつきました。それと同時に、大阪は放置自転車も多い。だったら、この大阪の抱える二大問題を一挙に解決出来る方法はないものかと考えた時に、自分なりの答えがHUBchariだったのです。

記者:HUBchariの中でホームレスの方々はどういった役割を果たすのですか。自転車の修理に関しては先ほどお聞きしましたが、他にもあれば教えてください。

自転車の修理だけでなく、HUBchariの運営もまかせていきたいと考えています。ポートの掃除、ポートごとに偏る自転車数の是正、利用者の登録の手続き、また何時何分に借りて、いつ返したとかという利用の管理などなど全般にわたって携わってもらいます。

記者:ホームレスの方の雇用を創出しているんですね。

はい。ただ、もう一歩進んで言うと、重要な点は生活保護の出口作りです。特にHUBchariに携わってもらうホームレスの対象としては、元ホームレスの生活保護受給者、50代前半の方を想定しています。そういう方たちのために出口をしっかり確保してあげることで、現在、生活保護を受けずに路上で生活しているホームレスの方も、じゃあ俺も生保受けて自立してみようという流れを創っていけたらと思っています。また将来的にはHUBchariが大阪市の公共交通機関になっていけばいいなと考えています。そうなることでいままで街から仲間はずれにされていたホームレスの方たちが、街の中で欠かせない存在になることを願っています。

記者:つまりホームレスの方の雇用という意味だけでなく、もう少し広い意味での社会参画を目指しているといったところでしょうか。具体的には上記のホームレスの方をどのようにサポートしていくつもりですか。

学生の伴走支援スタッフであるバンちゃん (※) がサポートにつきます。80〜200人の生活保護受給者に対し1人のケースワーカーが伴奏支援できてないところを、バンちゃんがHUBchariの自立のためのサポートメニューを適宜選択・実施しながら、生活保護脱出を目指します。ちなみに今、ホームレスのおっちゃんたちへの伴走スタッフ・バンちゃん募集しているので、もしこの記事を読んだ人の中に興味のある方があればぜひ声をかけてほしいです。
(※バンちゃんの由来は、伴走(ばんそう)支援のバンと万能のバンから取ったそう)

記者:この記事を読んだ人の中から問い合わせがあるといいですね。ところで他にもホームレス支援を行っている団体も複数あると思うのですが、そういったところとの違いはどこにあると考えますか。

HUBchariを利用したい人は、自分にとって便利だから利用するって方がほとんどだと思います。でも、今までのホームレス支援は、たとえば路上の雑誌販売をホームレスの方がやって、ホームレス問題に興味があるからその雑誌を買うという人が大半という形で、ホームレス支援というのが表だって事業の第一の目的になっていたと思います。そうではなくて利用者が自分にとって便利だからという入り口から始まって、ホームレス問題、自転車問題に興味を持ってもらうという点がHUBchariの特徴だと思います。

記者:当面の目標としてどの範囲にまで広げていきたいですか?

今のところ、3年のスパンでの計画を考えています。1年目はJR環状線内の地域に広げたいと考えています。そして2年目は中崎町、堀江など若者に人気のある街、自分では特例地区と呼んでいるんですが、そうしたところに広げ、3年目には大阪市と協力して大型のポートを設置して市内全域にまで普及させることを予定しています。将来的には大阪での取り組みがモデルとなって、全国にまで広がればいいなと願っています。

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