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年賀状で伝えられる「思い」とは


近年、日本人の年賀状離れが深刻になっている。年賀はがきの発行枚数は2004年正月向けの44億5900万枚をピークに年々減少を続け、ここ数年では毎年およそ1億枚のペースで減りつづけている。今年2013年向けに発行された年賀状は35億8700万枚であり、ピークに比べると約20%も減少したことになる。何がここまでの急速な年賀状離れを引き起こしたのだろうか。

原因は個人情報保護法

大きな原因のひとつに、個人情報保護法の施行があげられる。右肩上がりだった年賀はがきの発行枚数が減少に転じたのは同法が全面施行された2005年のことである。年賀状について調査した日経新聞の記事でも、年賀状離れの原因の一つに個人情報保護をあげている。そして、このような声が紹介されている。「さらに、昨今の社会情勢を映してか、○ここ数年、個人情報の取り扱いが厳しく、上司・同僚の住所を知らない。また、職業上の理由から、利害関係者への挨拶はおこなっていない(30代男性)というご指摘もありました。かつてのような社員名簿がない企業も増えていて、幸か不幸か、はがきを出しようがない実情もあるのです。」

私たちにとっての身近な変化といえば卒業アルバムの巻末の住所録であろう。私自身の例で言うと、幼稚園の卒業アルバムまでは、最後のページに全卒業生の住所録が載っていたが、小学校以降の卒業アルバムは寄せ書き用のフリースペースとなった。卒業アルバムの最後のページを開き、住所を書き込み、一通の便りを出すという連絡方法は2005年以降の卒業生には不可能となってしまった。

つまり、個人情報はそう簡単に入手できるものではなくなり、あまり手軽に便りを送ることができなくなってしまったということである。このような時代背景の結果、日本人の新年の挨拶の形も変わってきているのだ。

日本郵便の対策

日本郵便は日本人の年賀状離れに歯止めをかけようとさまざまな工夫を凝らしている。例えば、相手の住所を知らなくても、メールアドレスやSNSのアカウントがわかれば年賀はがきを送ることができるインターネット上のサービスを提供しているが、これは個人情報保護法により個人情報の入手が難しくなった現代には適した年賀状の送り方かもしれない。年賀状という形で新年の挨拶をすることに個人がどのような意味を込めているかにより、このようなサービスを利用するかどうかが決まってくるだろう。

年賀状の歴史

そもそも、年賀状というのはいつごろから始まったものなのだろうか。

「日本で最初の年賀状」はいつ誰によって出されたのかといえば、残念ながら史料は残っておらず、正確なことはわからない。しかし、平安後期に藤原明衡によってまとめられた往来物(おうらいもの・手紙文例集)「雲州消息」には、年始の挨拶を含む文例が数編収められており、この頃には、少なくとも貴族階級の中には、離れた所にいる人への「年賀の書状」が広まっていたと考えられている。さらに江戸期に入ると、街道の整備とともに「飛脚」という貨物などを輸送する職業が浸透していき、江戸中期には、町人文化の爆発的な隆盛とともに、遠隔地だけでなく、江戸市中を配達する「町飛脚」なども多く現れた。武士階級だけでなく、庶民も手紙を出すことが普通になってきたということである。その背景には、寺子屋など庶民教育の急速な普及があった。江戸後期には日本は世界一、就学率、識字率の高い国だったとも言われている。日本人は江戸時代、寺子屋で手紙の読み方・書き方を学び、その頃から「年賀の書状」が、身近な存在となった思われる。

年賀状を出す意味とは

郵便というサービスが始まってから浸透した文化である年賀状が、ネット社会という新たな文化に淘汰されるのは時代の流れからすると致し方ないのかもしれない。今まで簡単に知ることができた個人情報は、ある程度心を許さなければ教えることができない1つの個人のテリトリーに変わってしまった。だからこそ、新年を祝う言葉をもってあいさつし、旧年中の厚誼の感謝と新しい年に変わらぬ厚情を依願する気持ちを伝えるという意味を込めて年賀状を出すことは、ステータスではなく真意となっていくのではないだろうか。手軽に多数の人に挨拶ができる「あけおめメール」も悪くはないが、大切な人には気持ちのこもった年賀状を送ってみてほしい。

参考文献

主流の年賀状に吹き続ける逆風-日本経済新聞
年賀はがき:当選率アップにメールアドレスでも減少対策-毎日新聞
年賀状をめぐる文化を展示したWeb上の総合博物館「年賀状博物館」

文責

田上結稀 (Hijicho)


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