(記事は前のページから続きます)
被災地で聞いた声は「メンタルケアが必要」
中野「3月28日から1週間被災地入りした。全国の学生ボランティアが今後現地でどう支援していけるかを調査するため。現地でHomedoorという団体と出会ったが、代表者は市大生だった。僕はボランティア活動というよりも、被災者・行政の方々に話を聞く方が多かった。1日の大半が取材だった。メディアの映す被災地と、実際の被災地は違う。仮設住宅建設の様子が放映されるが、現地の避難民全員が享受できる環境ではない」
—現地ではどのような声が
中野「避難所の方の多くがメンタルケアが必要だと言っていた。お年寄りの方の話し相手になる看護師や、子供と遊んであげる保育士、そして、動ける者に対してもストレスケアが必要。物資もありがたいが、今後はメンタルケアが主なニーズになりそう。そしてお金が役立つのはこれからも同じ。募金活動を続けていきたい。東北の人は謙虚だ。『ありがとう』よりも、『すみません』とよく言われた」
脇川「3月は震災発生直後で気が引き締まっていたけど、4月になると学生は新歓でわいわい。風化させないことが大事。だから4月末で募金活動を一段落させて、活動の形態を見直したい」
中野「夏にもう1度行く。岩手県立大学のボランティアセンターが、夏までに学生ボランティアを受け入れられる体制作りを目指している」
—物資での支援も行うのか?
脇川「ふたば祭期間中の4月16日10〜17時に、学生支援課で受け付ける。大阪市が3月23日から役所で物資を受け付けていたので、3月30日に学生支援課長らと協議して決めた」
大阪で震災が起きたとき、大学は学生を守れるのか
脇川「大学役員による連絡会議は、最初の1週間以降は開かれていない。大学周辺で地震が発生した場合の、大学の行動指針が定まっているのか疑問だ。
中野「あるだろうが、周知できていないのは事実」
脇川「大学に災害時のセーフティマップや津波発生時の行動指針を問い合わせたところ、3月30日時点で『ない』と回答が。大阪市は南海大地震発生2時間後には津波が到達することや大和川の氾濫について掲示しているのに」
—大学は学生の安否確認以降何もしていないのか?
脇川「宮野道雄副学長 (居住安全人間工学専攻) が3月30日に被災地入りし、岩手県立大学長と面会している。彼は阪神・淡路大震災に関する防災著書を相当書いている」
中野「宮野副学長からは、僕が仙台で得た情報を4月以降学生らに報告する機会を設けたいと言ってもらった」
—市大は学生を守れるのか?
脇川「市大で、パニックにならずに被害を最小限に抑える方法を私たちは知らされていない」
中野「大学は『ポータルサイトを見ろ』と言うが、普段学生はポータルサイトを見ない」 脇川「大学は学生に受け身の情報収集を期待してはいけない。災害時の行動方針を明瞭に定めて、それを学生に届ける気持ちを大学は持つべき」
大学が学生を守る立場にありながら、守る仕組みも伝える方法も持っていない=伝わっていない
—今後のボランティアセンターの活動は?
脇川「3つの責務がある。 (1) 風化させない (2) 自分自身の身の守り方を共有 (3) 募金活動は継続的に地道に 特に(1)。一般の学生は防災意識の継続が難しい。そこにボランティアセンターが手助けを」
—日が経つにつれて募金は下火になるはずだが、対策は?
脇川「答えはない。だが3つの責務を融合的に果たしていく必要がある」
中野「被災者の状況を考え、自分の身をどう守るかを考えていくことで風化は防げる」
脇川「大学は4月末で募金活動を一段落させ、以降は大学行事ごとに行うつもりだ。募金以外の方法も考えて、学生らを巻き込んでいきたい。Hijichoの広報活動には期待している」
脇川「風化させたくないと思って立ち上がる学生が増えなければ、現状は解決しない」
お問い合わせ
大阪市立大学 ボランティアセンター 学生支援課1階学生担当
06-6605-2101
ocu-vc@sta.osaka-cu.ac.jp
(件名に「【東北地方太平洋沖地震】災害救援募金について」と記入)
http://www.osaka-cu.ac.jp/campus/student/volunteer.html
(加賀友基)
この記事へのコメントはありません。