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オッカムの剃刀


「飛辞書 〜文理を越えるその言葉〜」は、あなたの学科だけで使われているような特殊な言葉を取り上げ、分かりやすく説明していくコーナーである。「特定の学問分野だけで使われている言葉が、その分野を飛び越え、みなさんの知識になる」をコンセプトにしている。今回はその第一回目。「オッカムの剃刀」という哲学上の思考方法を意味する言葉を取り上げる。

オッカムの剃刀とは

オッカムの剃刀 (Ockham’s rasor) とは、分かりやすく言えば「物事をシンプルに捉えよう」という哲学上の思考方法のことで、ある事象を説明するのにaとbという二つの事柄で足りるのに、さらにcという事柄を導入した説明をするのは無駄であるとする。つまり、説明に最低限必要でない余計な存在がある、そうしたものは不必要なものなのだから切り落とすべきであるという考え方だ。イギリスの哲学者ウィリアム・オッカム (Willoam of Ockham) が、当時、スコラ学という理論に登場する様々な要素を次々に切り捨てたため、この考え方はオッカムの剃刀と呼ばれるようになった。

「オッカムの剃刀」の使用例

「オッカムの剃刀」の具体的な使い方を説明していきたい。例えば、雷に関する次のような説明があったとする。

雷は、神が上空と地面の間に電位差を生じさせた結果、放電されたものである。

この場合、「神が」という部分が説明に不要であるとして切り落としてしまうのが、「オッカムの剃刀」である。そうすると次のような説明が得られる。

雷は、上空と地面の間に電位差が生じた結果、放電されたものである。

ただし、説明に不要な要素として「神」が切り落とされているだけで、「神が存在しない」ということを意味するものではない。あくまで神の存在、不在は別の議題となる。

以上のように「剃刀」という言葉は、説明に不要な存在を切り落とすことを比喩している。

ただ、オッカムの剃刀の使用にあたっては、一見不要に見える要素でも、実は必要とされていることもあり、使用すべきでないことにまで使用してしまう危険性があるので、必要性は慎重に判断しなければならない。裏返して言えば、物事を慎重に見極め必要か不要かを判断する (つまり「オッカムの剃刀」を正しく使う) ならば、物事を見極める力がつくのではないだろうか。この「オッカムの剃刀」、ただ物事をシンプルに捉えるだけでなく、正しく使えば物事を見極める力もつくという優れものである。ぜひ日常生活で使ってみてはいかがだろうか。

文責

山中仁志 (Hijicho)


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