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美味しいお茶でおもてなし 茶道部、秋季茶会開催


10月16日午前10時より、大阪城西の丸庭園内の茶室「豊松庵」にて、大阪市立大学茶道部利休会秋季茶会が開催された。この秋季茶会は20年以上にわたって毎年行われてきた、伝統あるお茶会だ。

茶道部最大のイベント

お茶会は、大阪城で催されることが多いが、他にも大阪美術倶楽部 (2010年度)、坐摩神社 (2008年度) など違う場所で開催されることもある。この秋季茶会は、茶道部としては年間を通して最も大きいイベントで、毎年外部から約90人ものお客さんが集まる。

お茶席には、本席と副席があり、二回お茶席を堪能することができる。当日は他大学の茶道部部員が勉強のために来ている姿が目立った。また一般の来場者も多く盛会の様子を見せていた。天候にも恵まれ、お茶席から大阪城を臨むことができ、来場者からは感嘆の声が上がっていた。


写真=茶室から臨む大阪城

お点前をした藤野共恵さん (法学部2回生) は、「今回の茶会中、お点前は4回しました。1回目は緊張しましたが、2回目からはだいぶ慣れてきて、最後にはお客様と半東さんの会話を聞いて楽しむ余裕もありました」と話す。

普段の稽古で気を付けている点を聞いてみたところ、「お道具を丁寧に扱うことです。日常生活で物を扱うときも意識できるようになりたいです」と語った。お茶の心構えは日常生活にまで昇華させられる。出来映えを尋ねると、「80点くらい。お稽古の成果が出せました。完璧とは言えませんが、大きなミスもなくこなせたと思います」。今後の目標は「個人的にはお点前の上達だけでなく、茶道についての色々な知識を身につけたいです。あと、茶道部全体で今の和やかな雰囲気を保ちつつ楽しく練習していきたいです」という。


写真=お点前をする藤野さん (右) と、半東を務める高田さくらさん (左) (文学部4回生)

お茶が好き。お菓子が好き。

また、今年茶道部に入部し、初めての秋季茶会に臨んだ山元里佳さん (文学部1回生) にも話を聞いた。
山元さんは、お客さんを茶室まで誘導する案内係を務めたり、水屋 (準備などをする裏の部屋) でお茶の点て出しをしてお茶やお菓子を来場者のもとに運ぶ役割を担ったりしていた。
「お茶会を開く立場になったのは今回が初めてです。当日までは不安だらけだったのですが、先輩や同回生の子に助けてもらい、ほどよい緊張で楽しくできました。また、多くのお客さんがきてくださったので嬉しかったです。来てくださった方が楽しめていただけたなら、なお良かったと思います」と当日の思いを語ってくれた。「練習は一週間あたり前から毎日のようにしていて、先輩や先生から指導してもらい、たくさん練習してきたと思っていましたが、実際はミスばかりしてしまいました。一年に一度の大きなお茶会だったので、もっと練習しておけばよかったと思います。また、部室はお茶室と形が全然ちがうので、部室の練習では気づかなかった点がわかったので今後に役立てたいと思います」と振り返る。
「次は先輩の追い出し茶会があるので、先輩たちに最後のお茶会で気持ちよく卒業してもらえるよう頑張ります!」と意気込みを新たにする。茶道は好きですか?との質問に対して「お茶も和菓子も大好きです。まだ始めたばかりで知らないことばかりなのですが、知識を深めて、きれいな作法を学びたいです。また、茶道では日本人ならではのマナーを学べるのも魅力です」と山元さんは語る。期待の若手部員である。

笑顔を絶やさず

前部長 (秋季茶会当時の部長) の石田春菜さん (文学部3回生) は、「準備期間中に苦労した点は、人数の調整ですね。上回生の人数が少なかったので、割と大きめな仕事を1回生に任せてしまうことになり、どうしようかと思ったのですが、みんな優秀だったので、当日はそこまで問題なく進みました。院生の方や4回生の方にも手伝って頂いて乗り切りました。あとは新入生の練習ですね。時間が合わず、なかなか揃わなかったのですが、自主練の回数を増やして対応していきました」と当日までの苦労を語った。
当日の様子について尋ねたところ、「一大イベントなので、もちろん緊張もしたのですが、やはり普段の練習では体験出来ないことをするので、色んなことを吸収しよう!と思って当日を迎えましたね。あと、出来るだけ笑顔を絶さないように心掛けていました。笑顔の伝染を目論んでいましたね」と笑顔で語る。
「お待たせする時間が長かった方もいらっしゃったのですが、その相手をしてくれる係の子がうまく立ち回ってくれて、点前やお菓子に関しても『良かった』と言って下さるお客さんがいらっしゃったと聞いています。当日は晴れたので、大阪城の景色やお庭に関して誉めて下さる方もいらっしゃいましたね。準備不足、また当日の人手不足などで100%満足がいったとは言えません。でも、全員がそれぞれの仕事を全うし、貴重な経験をすることで成長出来た点では良かったのではないかと思います。今年うまくいかなかったところは、来年に繋げていって欲しいですね」と後輩に期待を寄せる。

深淵なる、茶道の魅力

山元さんは、「茶道では日本人ならではのマナーを学べるのも魅力です」という。また石田さんは、「茶会は、日頃の練習の成果を発揮すると共に、自分を大きく成長させる場だと思っています。お点前ももちろんなのですが、学生のお点前は、全く完成されたものではないので、例えばお茶に精通された方から知識を授けて頂いたり、他大学で同じようにお茶を習っている方との会話から何か共通点を見つけたり、どうすればお客さんに楽しんでもらえる場を作れるか考えたり……そういう『お茶とお菓子を頂く』以外の部分を学ぶ、絶好の場だと思います」と、お茶会に対する思いを語ってくれた。

「茶道」と聞くとおしとやかなイメージがあるが、茶道部員は各々が茶道に対する熱い思い、学ぶ意欲を持って、週2回のお稽古やお茶会の準備に勤しんでいる。来年の10月半ばには、再び秋季茶会が催される予定だ。興味のある方は、是非行ってみてはいかがだろうか。

文責

長澤彩香 (Hijicho)


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