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我ら “国境なきナベ団”


我々には鍋を囲む権利がある—。10月5日、大阪府立大学中百舌鳥キャンパスにて「青空鍋」が決行された。

青空コタツ団

10月2日、筆者のTwitterアカウントがあるユーザーにフォローされた。アカウント名は「青空コタツ団with国境なきナベ団 (@kotatsudan) 」。プロフィールには「10月5日(水)16時〜、大阪府立大学中百舌鳥キャンパスで青空鍋をします」とあった。「何だこれは」と思いつつも、とりあえず行ってみることにした。17時に大阪府立大学中百舌鳥キャンパスに到着。そこにはすでに10人以上の若者が、屋外で鍋とコタツを囲んでいた。

遅ればせながら筆者も鍋の輪に加わることに。幸いまだ始まったばかりらしく、自己紹介もまだのようだった。筆者が鍋に加わって少ししてから、自己紹介が始まった。主催者は府大の院生で、府大で開催されていることから、ほとんどが府大生かと思っていたが、そこには実に多様な人々がいた。府大生は半分ほどしかおらず、阪大生、京大生、同志社大生が参加しており、なんと上智大生も参加していた。中には社会人の姿も。途中参加者も続々と現れ、府大の教授なども覗きに来るなど、最終的な参加者は、延べ30人以上となった。


写真=青空鍋の参加者 (近藤写す)

国境なきナベ団

一体どういう経緯で青空鍋を開催したのか、主催者に話を聞いた。今回の主催は「青空コタツ団」ということで、開催の理由は、全国各地の大学で進行するキャンパス利用規制強化 (例:集会規制、飲酒規制、BBQ規制、立て看規制など) の流れに対する危機意識からおこなったものだそうだ。開催には協力者がいたらしく、その協力者というのは「国境なきナベ団東京 (@nabedann) 」。主に関東で青空鍋などを行っている団体だ。前述した上智大生の方は実は「ナベ団」の一員で、今回は「ナベ団」の方が大阪に来るということで、「コタツ団」を名乗り、府大での青空鍋をしようと思ったということだ。

「国境なきナベ団」とはどういう団体なのか。「ナベ団」の結成は実に2010年の11月15日に遡る。きっかけは、自宅の近所に高層マンションが建設される時とのこと。建設反対を訴えたがなかなか聞き入られず、座り込みを行おうとしたらしい。しかし、「ただ座り込みをしても面白くないな」と思い「鍋でもするか」と近所の住人たちとともに、工事現場で青空鍋を決行した。この時の青空鍋が思いのほか楽しかったらしく、「青空鍋っていいんじゃない?」と感じ、それからは頻繁に青空鍋をするようになった。今年の9月11日には「同時多発ナベ」をしようと思ったが、夏ということもあり不発に終わった、ということもあったらしい。

青空鍋をする際には、何でも良いからテーマを決めているらしい。今回の府大鍋のテーマは「iPhone5発表記念!」。参加者の中にはiPhone5について語りに来たという方もおり、「なんでiPhone5発売せぇへんねん!」と初対面の筆者に熱く語ってくれた。ただ、時には真面目な (?) 話もした。格差社会、労働問題、ホームレス問題—。近年の学生デモについても話題が及んだ。「ナベ団」の1人は「『ちょっとカラオケ行く?』のノリで『ちょっとデモ行く?』というのが出来る世の中が良いよね」と話す。


写真=青空鍋の看板

鍋、それは究極の料理

今回はTwitterやFacebookで参加者を募っており、初対面同士という人が多く、さながらオフ会のようだった。最初は会話もぎこちなく進んだが、ひとたび鍋を食べ始めると様々な話題で会話が弾んだ。開始から2時間もすると、昔からの友達のような感覚で会話をするようになり、緊張が解けたのかいきなりピザを頼むような人も現れた。もしかしたら鍋というのは、日本人が編み出した究極のコミュニケーションツールではないのだろうか。

「青空コタツ団with国境なきナベ団」は現在「浪速青空コタツ団」と名称を変更している。今後も、規制強化への抵抗、学生文化の向上、学生間交流を理念に活動を続けるそうだ。今回の府大鍋では新たに団員が加入した。団員や協力者はいつでも歓迎している。

「同じ釜の飯」ならぬ「同じ鍋の飯」を食べた仲間というのは、もしかしたら一生の仲間になるかもしれない。「国境なきナベ団」の1人は「これからの季節、鍋を食べるなら室内に閉じこもらずに青空の下で鍋を囲んでみては」と話す。

文責

近藤龍志 (Hijicho)

連絡先

浪速青空コタツ団 (@kotatsudan) http://twitter.com/kotatsudan
国境なきナベ団東京 (@nabedann) http://twitter.com/nabedann


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