大阪市立大学と、櫻井翔や広瀬すずなどが出演する映画『ラプラスの魔女』がコラボしたポスターを見たことがあるだろうか。
19世紀、物理学者のラプラスが「原子の運動法則がすべてわかり、それを解くことができれば、未来を完全に予測できるのではないか」という仮説を立て、これは「ラプラスの悪魔」と呼ばれた。『ラプラスの魔女』で起こる事件と原子の運動「乱流」は深く関係しており、この物語のキーワードと言えるだろう。では本学と『ラプラスの魔女』はどのようなつながりがあるのだろうか。本学広報室の片山室長によると、様々な偶然が重なってできたポスターであるそうだ。
ポスターができた経緯
映画公開前の今年3月に、本学大学院理学研究科数物系専攻の坪田誠教授が自身の研究についてプレスリリースを行った。その後、映画の公開にあたり、大阪市から映画の後援の話がたまたま本学に持ちかけられた。『ラプラスの魔女』の原作を読んだことのある本学広報室の長谷川さんが、坪田教授の研究発表と『ラプラスの魔女』のキーワードとも言える「乱流」が関係していることに気付き、このようなコラボポスターが誕生した。
『ラプラスの魔女』と研究内容の関係
プレスリリースが行われた研究とはどのようなものなのだろうか。坪田教授に、乱流と自身の研究内容についてお話を伺った。
—— 『ラプラスの魔女』のキーワードとなる乱流とはどういったものなのですか。
この世界はすべて原子からできており、原子の運動法則は現時点で原理的にすべてわかっています。つまりこの運動法則に関する方程式を解くことができれば、未来に起こり得るパターンが解読できます。すなわち、未来のことが完全に予測できるというわけです。しかし、様々な要因が複雑に絡み合っているので、現時点で解くことは不可能です。最も複雑だと言われているのが、『ラプラスの魔女』にたびたび登場する乱流です。
この世界の気体や液体の流れはほとんどすべてが乱流と言われます。下の写真からわかるように、とんぼが羽を羽ばたかせると、とんぼの後ろの空気の流れは乱れています。この乱流の動きは、空気の粘性やその時の気温など様々な要因に影響されるので、乱流の動きを完全に予測することは不可能です。
とんぼの背後の乱流=本学理学部棟で5月18日、加藤菜々子撮影
——教授はどのような研究を行われたのですか。
約500年前、レオナルド・ダ・ヴィンチは排水口から流れる水の流れ(乱流)は大きな渦と小さな渦から構成されていることを見い出し、スケッチを残していました。しかし渦はすぐに消えてしまう不安定なものであり、これまでは本当に乱流は渦で構成されているのかはっきりとはわかっていませんでした。私たちは今回の研究で、絶対零度に近い極低温の量子流体では渦は明確な形で存在しており、渦が乱流を構成していることを証明しました。この研究により渦の存在意義が見出され、乱流の動きの予測が従来より簡単になるかもしれません。
坪田教授=本学理学部棟で5月18日、加藤菜々子撮影
コラボポスターは、御堂筋線のすべての駅に貼られている。坪田教授の研究者要覧はこちら。
用語解説
プレスリリース 研究成果を報道機関に発表すること
文責
加藤菜々子(Hijicho)
こんにちわ(^-^)/
坪田教授の研究者要覧はこちら(http://www.sci.osaka-cu.ac.jp/phys/eep/top-j.html)。
☝️ここを開こうとしても開かないのですが、
なぜでしょうか?
最後の[○] のせいでしょうか?
よろしくお願いしますm(_ _)m
坪田様
大阪市立大学新聞 Hijicho編集長の行田です。
リンクを修正いたしました。ご指摘いただきありがとうございました。
今後ともHijichoをよろしくお願いいたします。