それはある日の編集会議のこと。
「かき氷のシロップって、色を変えているだけで全部同じ味らしいですよ」
ひとりの部員の言葉にHijicho部員は騒然となった。
私たちが「イチゴ味」だと思い込んでいるシロップはただの赤い砂糖水にすぎないのか? 「レモン味」など存在しないのか? かき氷というものの本質を揺るがす大問題である。
迫りくる夏本番、納得したうえでおいしくかき氷を食べたいという思いから検証実験を行った。
今回の実験の主な内容は、何味のシロップをかけたかき氷なのかを判別してもらうというものだ。被験者として名乗り出たのはHijicho部員5名。「絶対当ててみせる!」「わからないわけがない!」と意気込んでいた。
用意したものは家庭用かき氷器と氷、かき氷用シロップ(イチゴ、レモン、ブルーハワイ)、そしてガムシロップに食紅で色をつけた偽物のイチゴシロップである。
被験者(A、B、C、D、Eさんとする)は3種類の味が用意されていることは知っているが、この偽物のイチゴシロップの存在については聞かされていない。彼らがどんな反応を見せるか楽しみである。
なんちゃってイチゴシロップはプラスチック容器に入っている=6月14日、行田美希撮影
実験方法
①被験者は次のシロップがかかったかき氷を目をつぶらずに食べる。
1回目:偽物のイチゴシロップ
2回目:レモンシロップ
3回目:ブルーハワイシロップ
ここでは偽物のイチゴシロップを本物のイチゴシロップだと称し、被験者がどのような反応をするのかを観察する。
②被験者は次のシロップがかかったかき氷を目をつぶって食べた後、自分が食べたと思う味を一斉に言う。
1回目:本物のイチゴシロップ
2回目:レモンシロップ
3回目:A、Dさんはガムシロップ(偽物のイチゴシロップと同じ味)、B、C、Eさんはブルーハワイシロップ
特に3回目にA、Dさんにガムシロップを与えると、どのような反応をするか観察する。
目隠しをしてかき氷を食べる被験者たち=6月14日、行田美希撮影
結果
①偽物のイチゴシロップのかき氷について
ガムシロップのため味は薄いという声が多く聞かれたが、イチゴシロップではないということを疑う人はいなかった。
②被験者の解答
1回目:本物のイチゴシロップ
→Dさんのみブルーハワイシロップと誤答し、ほかの4人はイチゴシロップと解答した。
2回目:レモンシロップ
→Aさんのみブルーハワイシロップと誤答し、ほかの4人はレモンシロップと解答した。
3回目: A、Dさんはガムシロップ(偽物のイチゴシロップと同じ味)
→Aさんはみぞれのような味だと解答する一方、Dさんはイチゴシロップと解答した。
B、C、Eさんはブルーハワイシロップ
→Cさんのみイチゴシロップと誤答し、ほかの2人はブルーハワイシロップと解答した。
かき氷の味は、見た目に左右されている!?
①の1回目
被験者たちは薄味と言っていたが、赤色のシロップはイチゴ味だと無意識に思い込んでいるようだ。
②の1回目
①で食べたのは偽物のイチゴシロップであったため、Dさんは消去法で答えたと考えられる。また、他の4人は①で偽物を食べたにも関わらずイチゴと答えた。
②の2回目
Aさんは消去法で答えたそうだ。目隠しで酸味が感じにくかったのかもしれない、とのこと。
②の3回目
まずAさんについてだが、①では偽物のイチゴシロップをイチゴ味だと思ったが、②の3回目ではほとんど風味を感じなかったと言っている。次にDさんについてだが、①の(偽物の)イチゴシロップと②の3回目のシロップが同じ味だと認識したためにイチゴと答えたのだろう。最後にCさんについてだが、この実験で提供されるイチゴシロップはあまり甘くなく、ブルーハワイは甘いという印象だったそうだ。②の1回目はイチゴの味と似ていると思った、②の3回目では甘さが弱かったと言っていた。
今回の実験で分かったことは、かき氷のシロップは目隠しをしていても全て味が違うように感じるということである。シロップは香料、酸味料、着色料がそれぞれ違っているそうだ。実際、5人中2人が全て正しく答えることができた。皆さんも、目をつぶった状態でかき氷を食べてみてはいかがだろうか。
文責
犬田美穂、谷口結梨果、行田美希(Hijicho)
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