9月10日から4日間、埼玉県の戸田ボートコースで開催された第93回全日本選手権大会で、本学ボート部が男子舵手つきフォアで準優勝した。チームのメンバーに話を伺い、数々のタイトルを連ねるボート部の強さの秘訣に迫った。
左から松井亮介さん (商・3) 、渡瀬翔太さん (商・3) 、渡辺啓志さん (商・3) 、大石将司さん (法・4) 、渡部兼三さん (経・4) 写真=ボート部提供
― まずは、全日本選手権準優勝の率直な感想を教えてください
渡部:表彰台に憧れていたのでうれしかったです。後輩が全日本新人選手権の大会で3位をとって先を越されてしまって悔しかったので、今回、表彰台に乗れてよかったです。
大石:インカレで負けてしまって、本来ならそこで引退なのですが、もう一度チャンスをもらえました。練習期間は3週間だったのですが、リベンジができたのでよかったです。
― チームの強みは何ですか
松井:才能もあるかもしれません (笑) 。部活の中でも上位だった5人が選ばれてできたチームなので。でも練習量は他に負けません。そこには自信を持っています。
渡部:毎回ボートに乗るメンバーは変わるんですが、このメンバーは去年から変わらず1年間一緒にやってきたので、コミュニケーションはとれています。仲がいいという言葉で片付けるのは違和感がありますが (笑) 、信頼はしていますね。
― ボート部のタイトル獲得が最近目立ちますが、結果を出し続ける秘訣は
大石:勝つためのノウハウが出来上がっていることですね。例えば、新入生を歓迎するところからノウハウがあるので毎年30人前後は部員が入るし、部員の育成方法や、周りに支援をしてもらう方法など、練習以外の部分にも大きな勝因があります。たまたまこの5人が試合に出て勝ちましたが、100人以上いる他のメンバーがそれぞれ役割を全うしているのが勝利につながっていると思います。
渡部:部が強くなったのはここ最近の話ですね。僕が入部したときだと、今回のような結果を出すのは夢のまた夢のまた夢ぐらいに思えるほどでした。僕らが強くなったきっかけに、OB会の方々の存在があります。ここ数年は、練習に関しての綿密なアドバイスや資金集めなど、今まで以上に積極的に関わっていただいています。その結果、外部からコーチをお願いしたり、足りなかったボートを購入したりして周りを固めることができるようになりました。そういった組織づくりは始まったばかりで今はまだ発展途上なので、これからも強くなっていくと思います。
― 組織づくりをする上で大変だったことは何ですか
渡部:くじけそうな部員に対し、話を聞いてあげることが大変でした。部員を集めることに成功しても、同じベクトルに合わせることが何よりも大切だと思うし、今後もそれが課題になってくると思います。前主将の原田 (正喜) 君はそういった点で頑張ってくれたので、彼の努力があって今の組織があるのだと思います。これからは3回生が中心になっていくので、頑張ってほしいですね。
― 3回生から見て、先輩の姿はどう映りましたか
松井:今まで、どの主将のときも「この先輩についていけば勝てるな」と思っていたので、先輩の敷いたレールに乗っかっている状態でした。今年からはそれを僕らが受け継いでいかないといけないので、まさに今、ノウハウを教えてもらっているところです。とりあえず継承しなければこれからの勝利は続かないので、最低限同じこと、それにプラスアルファのことをやっていきたいです。
― ボート部はマネージャーの力がすごいということをお聞きしました。皆さんにとってマネージャーはどういう存在ですか
渡辺:今回の遠征は、前主務 (注) についてきてもらい、管理や手配等、ほとんどのことをやってもらいました。そういった点で主務の方ありきの勝利だったと言えます。
渡部:日々の支えですね。自分がどういう風に漕いでいるかを客観的に見ることが重要なのですが、練習に行けば誰かマネージャーがいるという体制が整っているので、いつでも練習をビデオに撮ってもらえます。また、エッセンという漕手の体作りのために栄養バランスの考えられた料理も作ってもらっています。本当にありがたいですね。
松井:マネージャーがしてくれていることで僕らが知らないこともたくさんあると思います。僕らを漕ぐことに集中させてくれるので、マネージャーなしでは勝てなかったと思います。
― 最後に、今後の目標を教えてください
松井:一番は今年果たせなかったインカレでの決勝進出です。今回は5人で結果を出すことができましたが、9人乗りの種目では結果を出せていません。まだまだ足りないところがあると思うので、これからの練習で成果を出していきたいです。他の強いチームと比べるとまだまだ体が小さいので、まずは体作りなど基礎的なところから始めていきたいなと思います。
(注) ボート部ではマネージャー全体を統率しながら選手を運営面でサポートする役割を果たしている。
From editor
今回のインタビューで印象的だったのは、3回生から4回生への厚い信頼だった。その信頼の裏には、代が変わってもぶれない組織としてのノウハウがあった。強みをノウハウにし、そして継承していく重要性は、私だけでなく、団体に所属する多くの人にとって参考になるのではないだろうか。
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