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教授が語る夢 都市研究プラザ・水内俊雄教授


 市大のさまざまな教授にインタビューを行い、夢や思想を聞くことで教授自身のことを追及していくこのコーナー。第11回目となる今回は、大阪市立大学都市研究プラザ兼任文学研究科の水内俊雄教授にお話を伺いました。水内教授は都市地理学を研究する一方で、国内外のホームレス支援施策にも積極的に取り組んでいます。水内教授のプロフィールはこちら (研究室HPより) http://www.lit.osaka-cu.ac.jp/geo/intro_mizuuchi.htm

2015y06m27d_005240247写真=水内俊雄教授

調査を通じて見えてきたホームレスの方々の現状

―先生の研究内容についてお聞かせください  フィールドワークをしたり、昔の文献を調べることによって、居住や都市計画の観点から都市の変遷や都市政策の変化を研究することです。学生時代は理学部だったのですが、大阪に点在する植木鉢の分布を調べることによって、地域の特徴を調査しました。そういった経験から、より都市地理学について学びたいと思い、大学院に進学しました。大学の助手になってからは、院生と共にさまざまなフィールドワークを行ったり、地域の高齢者にインタビューを行ったりすることによって、地域の声や記憶の語り手として活動したりもしました。そのフィールドワークの際には、エスニックマイノリティ (社会の中で従属的な立場におかれることの多い民族) やホームレスのコミュニティーにもインタビューを行い、彼らの生活環境の現実に強烈な衝撃を感じました。そうして後に、大阪市立大学に教員として採用されて、都市地理学に加えて、都市研究プラザでホームレス支援施策の研究をしています。  ホームレス支援施策として、NPO (民間非営利団体 利益の配当を目的としない、社会的な活動をする組織のこと。) であるホームレス支援全国ネットワークの理事として実際にホームレスの方々にヒアリング調査を行いそのデータをまとめて役所の方々と会議を開くことです。そこではホームレス支援施策の調整を議論しています。なぜなら、行政だけでは大阪在住のホームレスの方々の現状を明確に把握することは困難であるからです。また、そうしたNPOの活動が適切に行われているかも調査しています。

移民都市大阪と移民国トルコ

―今までの調査の中で印象に残っている国や街を教えてください  1つ目は大阪ですね。大阪は、シカゴがそうであったように全国、特に西日本から多数の人々が仕事を求めて移民してきた歴史があり、さまざまな背景のある人々がごっちゃに集まる開放感やそのダイナミズムに強く惹かれました。その中には、四国や沖縄、鹿児島、朝鮮半島等といった各々のコミュニティーがあることも移民都市である大阪らしくてとても興味があります。東京もまた移民都市ですが、大阪が経済的な理由で移住する人々、つまりブルーカラー層の人が比較的多いのに対して、東京は政治・教育的な目的で移住する人が目立ちます。そういった人々は労働移民とは言い難く、やはりそういった面からも東京よりも大阪のほうが強く惹かれました。  2つ目はトルコですね。海外は最近、韓国、台湾、香港の東アジアが中心ですが、市大の教員に着任する前の大学で、研究調査のためにトルコ等に何度もフィールドワークをした体験がとても強烈でした。トルコのアンカラで接したトルコ人とドイツで出会ったトルコ移民の人々は考え方が大きく異なっていたことが非常に興味深かったです。トルコ在住のトルコ人は、EU加盟準備国として、徹底した政教分離のもと、先進国的な様相も多くあります。それとは対照的に、ドイツ在住のトルコ人は当然ドイツ国内では少数派です。そのような中で宗教への厚い信仰があり、トルコ人同士のつながりが強い中、比較的保守的なコミュニティを形成しているように見えました。同時に、トルコの都市発展の早さに伴う不法占拠地区、いわゆるスクオッター地区の広がりの大きさは世界でも有数であり、その調査が結構大変だったことも記憶に残っています。 -先生の趣味は何ですか  仕事が趣味みたいなところもあり、その意味では無趣味人間かもしれません。しかしあえて言うなら、せめて移動中は楽しみたいというところで、ちょっとマニアックな鉄道ファンかもしれません。もともと生まれた家の隣に市電の車庫があったので、物心がつくころにはすでに鉄道に愛着があったように思います。特に地元の市電が廃線されたときは、この世の終わりのような落胆感に襲われました。市電がなくなると、バスにも関心を持たざるを得なくなり、トルコでは結構バスオタクになったりしました。鉄道沿線のそれぞれのカラーも含めて、細かいところでは、車内のインテリアや音、快適度、加速、減速などの違いなど、ホームに電車が入ってきてから何秒で止まるかを計測したり、国内外のトラム (路面電車) に徹底的に乗り尽くすなどしています。トラムに乗ると都市構造がよくわかり、これはいい勉強になります。ご多聞に漏れず、小さい頃は電車の運転手になりたい、と書いていました。

積極的に関わろう

-今の学生に求める能力を教えてください  ホームレス支援にしてもそうですが、普段なかなか自分から積極的に関与しづらいところに、自らの身を投じて、そうしたアシストを行うことが教育だと思っています。関わっている専門の授業や、コミュニティ再生副専攻の地域実践演習やアゴラセミナーはそういったことを積極的に行うことができるので、ぜひ受講してください。

連載コーナー 教授が語る夢

http://hijicho.com/?cat=86

文責

後藤遼 (Hijicho)


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