前期の授業も中盤にさしかかり、新入生も大学生活に慣れてきたことだろう。そしてこの時期に新たにアルバイトを始めるという人も多いのではないだろうか。アルバイトとは本来、大学生活をより楽しむため、また時には学費を稼ぐために行うものである。しかし、アルバイト先からの要求をやみくもに飲み込み、学業とのバランスが取れなくなってしまう人も多く見受けられる。しかし、不当な働き方をさせられていると感じても、生活に欠かせないお金が関わっているからこそ、簡単には相談できないということもある。そんなときに相談できるのが今年2月に結成された関西アルバイトユニオン、略してかんユニである。かんユニは、学生がアルバイトにおける問題を気軽に相談でき、またその問題を自ら解決することを通して、なぜそのような問題が起こるのかを考えることを目的とする学生のための労働組合であり、構成員も大学生が中心となっている。今回はかんユニのメンバーである柊まりさん (理学研究科M1) に話を伺った。
―関西アルバイトユニオンを結成したきっかけはなんですか
以前アルバイトをしていた塾で「明日から来なくていいから」といきなり解雇されたんです。当日解雇は違法だということを知っていたので、労働組合に所属している友達に相談しました。もともとそのアルバイト先がいわゆる「ブラックバイト」で、残業も多かったので、それをきっかけに労働組合に入り、残業代を取り戻すために闘いました。その結果、23万円払ってもらえて、労働組合は便利なものなんだな、と感じました。特に学生の人は暇だし新しいバイト先を探せばいい、と違法な労働形態をさせられても泣き寝入りする方が多いと思います。それならば、学生に身近な労働組合を結成すればいいのではないかと考えていた際に、私と同じように考えていた仲間を見つけ、労働組合を立ち上げました。それが関西アルバイトユニオンです。
―どのような人から、どんな相談を多く受けますか
学生や、アルバイトをしている学生の親から多く受けます。内容は時間外勤務が多い、シフトを無理やり入れられる、というものが多いですね。「断ってもいいんですか」とか「働くってこういうことなんですかね」とかいう質問を受けます。このような質問を受けたときは、まず相談者本人に違法であることを伝え、契約と違うということを本人に会社側に伝えてもらいます。それでも改善されないようであれば、私たちかんユニが会社側に連絡するという方法をとることにしていますが、相談者から会社に働きかけて解決しなかった件は今のところあまりありません。「ブラックバイト」であっても会社側自体が違法なことをしているとわかっていないケースが非常に多いので、会社に違法であることを伝えることがとても大切です。
―アルバイトしている人、またこれからアルバイトを選ぶ人にアドバイスをお願いします
泣き寝入りはしないでほしいです。私たちは「さとり世代」と呼ばれ、これはおかしいんじゃないかと思っても「こんなものか」と無理をしてしまう人は多いです。でも、違法なものは違法だし、そんなところはさとらなくていいので (笑) 。学業に支障をきたさない程度にアルバイトはしてほしいなと思いますし、そのために、困ったことがあったときは私たちのような団体を頼ってほしいと思います。
From Editor
不当な働き方をさせられても「アルバイトだから仕方ない」と諦めて働き続けたり、新しいアルバイトを探してきた人も多いのではないかと思う。しかし、私たちの時間は有限である。無駄なことに時間を割いてしまうことのないよう、勤務に見合ったお金を請求するというまっとうな権利を主張し、賢くお金を稼いでほしい。
文責
田上結稀 (Hijicho)
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