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大阪歴史探訪第六回 中之島-変化し続ける大阪の中枢-


古代には難波宮がおかれ、江戸の世には天下の台所として栄え、明治以降には近代都市として発展してきた歴史あるモダン都市大阪。ここではそんな大阪の歴史に焦点を当て、知られざる大阪の魅力を発掘すべく、大阪の歴史にまつわるいろいろなものを紹介していこう。
今回は、OSAKA光のルネサンス2014の舞台となる中之島のかつての姿を紹介しよう。

中之島中央公会堂
写真=中之島中央公会堂 (筆者写す)

現在の中之島は、大阪市役所や日銀の大阪支店などの公的な施設が建ち並ぶ地域であり、また中央公会堂をはじめとする近代都市大阪の象徴として、イベントの開催地として観光客を集める地域でもあるが、江戸時代にまで遡ってみると今とは全く違った役割を持っていた。

弘化2年の中之島

大正13年の中之島東側

地図 上=弘化2(1845)年の中之島 下=大正13(1924)年の中之島東側
(クリックで拡大)

江戸時代の中之島は現在とは違って難波橋の手前が東端であり、蔵屋敷と呼ばれる施設が多く建ち並んでいる場所であった。大坂の蔵屋敷は、各大名が豊臣政権期以降商業の中心となっていた大坂で年貢米や特産品を売りさばくことを主な目的として設置したもので、中之島周辺に集中した理由としては、船で川を遡って入ってくることが可能であり、かつ大坂市中に近かったことが考えられるだろう。実際、蔵屋敷には船入という部分が存在し、そこで船の荷の上げ下ろしを行っていた。中でも広島藩の蔵屋敷は特徴的で、内部まで水が引き込まれており、宮島の厳島神社も再現されていたという。蔵屋敷に運び込まれた年貢米は、堂島にある米市場にて取引されたのであるが、米市場では現物ではなく米切手という形で取引され、入手した者がそれを蔵屋敷に持参すれば米と引換えられるという仕組みであった。
ここで蔵屋敷の面白い特徴をいくつか紹介しておこう。まず、大坂の蔵屋敷は実際には藩の所有であっても、表向きは大坂の有力な町人を名義人 (=名代) としてそこから借り受けるという形をとっていたことである。これは江戸の藩邸のように武士に与えられた土地ではなく、元々が町人地であったことに起因していると思われるが、これによって蔵屋敷は大坂の町と深い関係を持つこととなったのである。もう一つは、蔵屋敷が年貢米・特産品の販売だけでなく、大坂町奉行所の司法及び行政機能とも関係が深かったことである。藩の窓口として犯罪捜査への協力であったり、民事的な訴訟において大坂と国元を取り次いだりもしていた。蔵屋敷は藩にとっても大坂市中にとっても重要な存在となっていたといえよう。
江戸時代の蔵屋敷の機能は、明治になってからも形を変化させながらではあるが引き継がれ、外国との貿易にも一役買っていた。しかし、明治四年の廃藩置県により藩が廃止されたことで蔵屋敷も廃止されることとなり、官有地化されるなどして徐々にその姿を消していったと思われる。

中之島公園東端
写真=中之島公園東端 (筆者写す)

その後明治24(1891)年になると、中之島東端部が大阪初の市営公園として整備され、大正10(1921)年の土砂の埋め立てにより天神橋を少し突き出た部分を東端とする現在の形状となった。
中之島公園は、当初は江戸時代の情景を残していたようだが、明治後期になると周囲に大阪府立中之島図書館などの洋風の建物が建てられていたこともあり、中之島中央公会堂や三代目大阪市庁舎が完成する大正後期には完全に西洋庭園へと様変わりした。そして、2009年に公園は再整備され現在の形となったのである。

最後に、冒頭にも少し触れたが、中之島では子として今年で12回目となるOSAKA光のルネサンス2014が今月開催される。夜の中之島を彩るイルミネーションに加えてカフェやマルシェ、コンサートといったイベントも同時に開催されるので、中之島の歴史と一緒に味わってみるのも面白いだろう。

中之島地図(現在)
地図=現在の中之島 (クリックで拡大)

アクセス
・大阪市営地下鉄堺筋線「北浜駅」下車、徒歩直ぐ
・大阪市営地下鉄御堂筋線・京阪本線「淀屋橋駅」下車、徒歩直ぐ
・大阪市営地下鉄四つ橋線「肥後橋駅」下車、徒歩直ぐ
・京阪中之島線「なにわ橋駅」下車、徒歩直ぐ

イベント
OSAKA光のルネサンス2014
 2014年12月14日(日)〜12月25日(木) 17:00〜22:00
 プレビュー点灯 2014/12/1(月)~12/13(土)
 クロージング点灯 2014/12/26(金)~2015/1/18(日)
  17:00~23:00 (12/1は18:00~点灯)
 ※みおつくしプロムナード点灯のみ

 雨天決行 (一部プログラムは中止)

 詳細はこちら
 http://www.hikari-kyoen.com/coreprogram/renaissance

文責・写真

古迫肇 (Hijicho)


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