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市大存亡の危機~無関心ではいられない~ vol.6


「市大存亡の危機~無関心ではいられない~」は大阪府市大統合について様々な視点から切り込んでいき、学生の皆さんに問題意識を持ってもらうことを目的としたコーナーである。

今年4月25日(金)に、大阪市長より本法人理事長宛に大阪府立大学との統合にかかるスケジュールについて通知があった。この通知は平成28年度での大学統合が困難になった事を告げている。

<平成26年4月25日(金):通知内容>
大阪府、大阪市、並びに、大阪府立大学、及び大阪市立大学では、平成27年度に法人統合、平成28年度に大学統合をめざした取組みを推進してきたところですが、大学設置認可手続きにかかる審査スケジュールが前倒しされることとなり、平成28年に大学統合する場合、平成26年10月には正式な認可申請が必要となりました。
現状では、当初のスケジュールどおりに両大学の統合を進めることは、現実的に難しい状況であり、受験生への影響を勘案した結果、当初予定していた法人統合、大学統合にかかるスケジュールを延期することとしました。
今後は、この間の大学統合に関する議論の状況を踏まえ、両大学で、主体的に大阪における公立大学のあり方について検討していただき、そのうえで、今後の進め方やスケジュールについて、府市及び両大学の四者で、新大学構想会議からの意見もお聞きし、協議・検討していくこととしますので、ご協力のほどよろしくお願いします。

この通知の内容を踏まえ、両大学間で公立大学の在り方について検討がなされてきた。そして平成26年10月28日(火)に『「新・公立大学」大阪モデル (基本的な考え方) 』が取りまとめられ公開された。今回はこのモデルについて詳しく見ていく。

都市大阪の公立大学に求められるもの
これまでの大阪の公立大学のあゆみと、これからの、「グローバルな大学間競争」や「都市大阪の複層的課題」によって今後求められる「大阪のグローバルな発展を牽引する存在」としての像が描かれている。具体的には
・地域課題解決のためのイノベーション創出拠点としての公立大学
・大学間競争に打ち勝つための戦略性やスケールをもつ公立大学
・地域に根差し世界に羽ばたく人材を育成する公立大学
という3つのモデルが挙げられている。
大阪における複層的課題に対応する『知』の拠点として大阪を牽引していくには「統合により、両大学の有するリソースを最大限に活用」、「都市情報を集約分析し、地域課題の解決力を強化」していく等の必要があるとされている。

両大学のリソース
この部分では、両大学を統合した際の学生数や教員数、科研費等がおおよそであるが載せられており、この資源を用いる事で、教育力、研究力、地域貢献力の向上が図れると言われている。例えば、学生数は約16000人、教員数は約1400人に達し、数で見ると神戸大学に匹敵するとされている。

新大学がめざすもの
この項目では3つの目標が挙げられている。
○「大阪を牽引する、グローバル人材の育成」として、カリキュラムの多様性や総合性の拡大を図り、基幹教育 (全学共通教育) の充実、特に外国語教育を強化する。
○「先端研究、異分野融合研究に重点的に取り組む」ために、企業や、他大学、試験研究機関、自治体と連携し、イノベーション創出拠点の形成を目指す。
○「大阪の課題に積極的に取り組む」こととして、地域で活躍する人材育成の為の地域課題を解決する教育プログラムの実施や、行政への積極的な提言、生涯教育の「学びの場」の提供による社会人の専門力の強化を図る。

新大学のすがた
ここでは新大学での教育研究組織 (学士課程・大学院課程) と運営基盤についての目標が掲げられている。教育研究組織については学士課程での基幹教育や専門教育の効果的な実施、大学院課程での研究を通じての教育、グローバル化された社会で活躍するための人材育成組織の構築などが挙げられている。運営基盤については、統合された大学の統治の強化を目指す旨や、運営交付金の必要性について述べられている。

新大学の都心拠点
新大学の開学に合わせ、都心部に象徴となるグローバルキャンパスを設置する。グローバルキャンパスとは、国内外の大学との学術交流ネットワーク拠点、留学生交流・支援、社会人大学院のネットワーク拠点、地域貢献の研究ネットワーク拠点であることが描かれている。

新大学の貢献
団塊ジュニア世代が高齢期になるとされる30年後の大阪が抱えると予期される「労働力不足」や「社会保障の負担」等の問題を掲げ、その未来に求められる新・公立大学の使命について書かれている。そして、現在大阪が抱える地域課題等の解決に向けた各分野の取り組みの紹介を行っている。例えば、エネルギー部門では、人工光合成の研究センターにおける新エネルギーの研究・開発等が挙げられる。

新大学の実現に要する期間
ここでは新大学実現への大まかな手続きや期間の紹介が書かれている。
以下のような手続きで進行されるようだ。

新大学開学までのプロセス
図=新大学開学までのプロセス (クリックで拡大)

新大学へ向けた当面の連携強化
両大学は歴史や伝統に違いがあるものの、教育や研究、地域貢献においては志向性類似点があり、これまで様々な分野で連携事業を促進してきた。今後は「教育における教員の相互交流の拡大」「クォーター制の同時導入」「単位互換の拡充」「社会人大学院の連携」等、両大学の教育組織をベースに更なる連携を図る模様。

終わりに
今回、新大学モデルについて抜粋紹介してきたが、平成25年度10月に公開されていた「新大学案」から要点を抜き出しスライドを作ったのみで、具体的な政策などは新規に見られない。それどころか、前回取り上げられていた、理事長と学長を分離する「運営改革戦略」や新大学での「キャンパス」「学部・学域・研究科」等の項目については一切触れられていない。また今年4月の時点で統合におけるスケジュールの延期があったにも関わらず、統合に向けての新たなスケジュール案や、現時点での到達点などの報告もない。夢物語に終わらせず、統合に向けて前向きに検討していくのであれば、進展を通知していくのが妥当であろう。今後の取り組みでは具体的かつ建設的な報告が期待される。

参考URL
大阪府市新大学構想会議
http://www.pref.osaka.lg.jp/shigaku/kousoukaigi/index.html

「新公立大学」大阪モデル(基本的な考え方)
http://www.osaka-cu.ac.jp/ja/about/corporation/integration/index.html

文責

大司雄大 (Hijicho)


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