HijichoのLINE公式アカウント
友だち追加数

『住吉の人とまち』展 住吉区民センターで3月2日から6日まで


住吉区役所・住吉文化事業実行委員会は「『住吉の人とまち』展」を、住吉区民センターで、3月2日から6日まで開催する。区担当者は「豊かな歴史と文化をもつ住吉のまちを知ってほしい」と話す。

開催要領

開催日:2013年3月2日(土)~3月6日(水)
開催時間:午前10時~午後5時 (最終日は午後3時まで)
場所:大阪市立住吉区民センター 集会室
参考URL:住吉区役所ホームページ 「住吉の人とまち」展を開催します
(http://www.city.osaka.lg.jp/sumiyoshi/page/0000197847.html)

2月21日から24日まで、大阪くらしの今昔館で同様の企画が開催されていた。今回はその時の様子を紹介する。

住吉ゆかりの文化

ふくよかな身体と美しい黒髪の女性を描いた大きな日本画が壁に飾られていた。生前住吉区帝塚山に住まいを構えた中村貞似が描いた作品を、現在所蔵している個人から特別展示として提供を受けた貴重な作品だ。他にも、住吉にゆかりのある文豪や芸能人などの足跡が作品と共に展示されている。「家族や知人から図書館に寄贈されたゆかりの品々を借りてきました」と話すのは、案内スタッフで一級建築士の中村正樹氏。そんな品々の中にレコードを見つけた。歌手のレコードかと思いきや、漫才だという。「当時のレコードは音楽だけでなく、落語や漫才など芸能全般に使われていました」(中村氏) 。展示されていたのは大正・昭和期の漫才師・横山エンタツのしゃべくり漫才『早慶戦』のレコード。住吉大社の南にはニットー (日東) レコードというレコード会社があったのだという。

半世紀を経て変わるまち、変わらないまち

続いて2枚の航空写真が掲示されていた。住吉区役所 (沢ノ町) を中心とした現在の姿と、1948年 (昭和23年) の姿を見比べてみたところ、住吉大社周辺や遠里小野 (我孫子前駅西) 、寺岡 (長居駅北西) 、山之内 (杉本町駅周辺) の地域では、住宅の分布がそれほど変わっていないことに気がついた。細い路地が今でも残るこれらの地域は、古くからの住宅街であったことが分かる。写真には帝塚山のあたりも写っていた。「この丸い円形のもの、何か分かりますか?」と中村氏にクイズを出された。現・住吉中学校の場所に、円形の建物の影がいくつか見える。石油タンクだろうか、幼稚園のプールだろうか、と頭を巡らせたが、答えは「高射砲」。弾を命中させる大砲とは異なり、打ち上げた弾を爆発させ、衝撃を与える武器だという。

コントラストが美しい蔵の数々

昔の物置といえば蔵だ。バブル期にはスクラップ・アンド・ビルドの風潮にのみ込まれそうになったものの、やはりその土地に住んでいた人たちの原風景となっていた。重厚な壁に漆喰をまとった蔵は火事に強く、季節ものの家財や冠婚葬祭に使う品々を保管するために使われていたという。そんな蔵が住吉に現在でもいくつか現存している。「この蔵はフラメンコのスタジオとして活用されています。こっちは個人の書庫として—」と中村氏。27の蔵の写真を集めたパネルを前に「一つとして同じ蔵はない」と語る。

スクリーンショット 2013-02-28 17.28.45
写真=住吉の蔵

景観に見るまちの履歴書

一級建築士で住吉蔵部 (すみよしくらぶ) 副代表の阪田晴宏氏は「まちに建物の多様性を見ることができる」と指摘する。現在の天満橋 (大阪市中央区) から熊野三山に至る熊野街道のうち、帝塚山から住吉大社を経て大和川までの町並みを、建物の建築様式、階層、建てられた時期の3点に着目してカラーリングされた地図が掲示されている。「一つの古い建物だけでなく、建物『群』が残って景観と言える。これらの地図やフィールドワークで得たデータを基に、今後分析をしていきたい」(阪田氏) 。様々な時代に建てられたそれぞれの建物が、それぞれの時代を写している。

住吉大社周辺や遠里小野には、長屋や町屋といった古くからの建物が今でも残っており、これらの地域の歴史を偲ばせる。取材をする中で気になったのは、町屋などに「つし2階」と呼ばれる半2階建ての構造が見られることだ。「大名行列が町屋の前を通るときに、上から見下させないようにしていた、という説もある」(阪田氏) 。物置として活用していたのか、町屋の子供の遊び場になっていたのか—。かつての人々の生活を景観をたよりに思い巡らせてみた。

photo のコピー 2
写真=カラーリングされた地図(上記)

文責

加賀友基 (Hijicho 2012年卒)


関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

Hijicho on Twitter

ページ上部へ戻る