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寄稿連載 ◇ 就職活動に「失敗」したからこそ、伝えたいこと (第4回) ~ルポ★就活体験記③―怒涛の面接ラッシュから内々定へ~


寄稿していただいているのは上山幸穂さん (法学部2009年入学)。
全5回にわたって、ご自身の経験を基に、就職活動について書いていただきます。
今回は就活体験記の第3回。長きにわたる選考から内々定にいたるまでの道のりを綴ります。

人事面接

2月、3月の間にエントリーシート (ES) やWeb試験等を通過すれば、4月1日から人事面接が始まります。4月1日というのは建前上のお話であって、実際はそれ以前に人事面接がある企業も沢山あります。しかし、経団連の倫理憲章を批准している企業は4月1日開始となるため、そこから怒涛の面接ラッシュになります。面接に合格すれば、その日のうちに電話で結果が来る企業もあり、4~5日で一気に内々定まで決まる企業もあります。

私が受けた印象では、面接の回数や内容は前年度の踏襲も多く、企業ごとには傾向があると感じました。なので、社員さんやその企業を受けた先輩に「面接の傾向と対策」を聞いておくと参考になる可能性が高いです。そういった情報は、就活生には有名な「みんなの就活」(通称:みんしゅう。楽天が運営する就職活動生の口コミサイト) にも載っています。例年通りとは限らないので過信してはいけませんが、調べておくと役立つこともあるかもしれません。

気になる面接の質問内容ですが、前回も述べたように予め提出してあるESの内容に沿って質問されることが多いです。就活本には『あなたを動物に例えると?』など膨大な質問集が載っていたりしますが、あらゆる質問を想定していてもキリがないので、まずはESの質問について掘り下げて説明できるようにしておくのが大切だと思います。

ちなみに、私が面接で一番苦労した質問は『今までに経験した挫折は何ですか?また、それをどう乗り越えましたか?』というものです。「面接ではどんな質問であれ、企業は経験談からその人の思考や行動力を測ろうとしている」と言われますが、これはその典型的な質問内容だと思います。とはいえ、ごく平凡な人生を送ってきた私には大きな挫折経験が思い当たらず、「どう乗り越えたか」というメイン部分も噛み合った返答ができませんでした。挫折経験については、私は話すほどの内容ではないので、就活生の方はぜひ先輩や友人に聞いてみてください。自分ではうまく答えられなかった質問も、色んな人の答えを聞くと参考になることが多かったです。

面接を最後まで突破すると無事「内々定」が言い渡され、内定承諾書を提出することになります。この就職難なので1社以上受ける人が大半ですし、複数社で内定を勝ち取る人もいます。面接に受かる人、落ちる人の違いは何か。よく議論されますが、50社以上落とされた身だから言わせて下さい。正直、落とされる理由は人それぞれだから一概には言えないと思うんです。採用人数が少ないところばかり受ければ落ちる確率も高くなるし、学歴・性別・思想など目には見えないフィルターでふるい落とされていたとしてもおかしくありません。

企業は落とした理由を教えてはくれません。ただ、面接に落ちた原因を自分なりに毎回分析するのは有益なことだと思います。私は面接後すぐに面接の内容をメモして、自己採点を付けていました。(ちなみにスマートフォンでEvernoteを活用。PCと同期できるし、単語で検索→単語を含むページ一覧出てくるし、かなり便利ですよ!)

私は決して面接のアドバイスをできる立場ではないのですが、参考までに先輩から聞いて一番実感した面接アドバイスを一つだけ話したいと思います。複数内定を取っていた先輩が仰っていたのは「喋りすぎない」というもの。「相手に興味を持って聞いてもらえる話し方を。面接官は膨大な数の学生の話を聞いているので、サークル・バイト等よくある話を長々としても印象に残らない。だから、自分が喋り足りないくらい手短に話して、面接官と会話をするスタンスで面接に臨もう」一見簡単そうですが、私は面接中、相手に伝わっているか不安で長々と話しがちになる傾向があり、意外と難しかったです。面接で答える内容も大事ですが、面接官に次々と質問をしてもらえるような話し方も研究してみてくださいね。

ゴールデンウィーク (G.W.) 後の就職活動

ミーハーな大手病だった私は「無い内定」(略称、NNT。文字通り内定が無い人のこと。) のままG.W.を迎えました。手帳を開けば面接の予定で真っ黒だった4月ページも、次のページはまっさらな白紙。友人が既に晴れやかな気持ちで遊んでいる様子を知ると、焦りと不安でいっぱい。一応、G.W.明けに1社の最終面接の結果が届く予定でしたが、「面接は落ちて当たり前」という免疫がついていたため、希望を持つことが恐ろしくてできませんでした。普段は割と前向きな私ですが、面接に落ちれば落ちるほど「自分は周囲より人間的な魅力の無い奴なんだ」と自分を卑下してしまい、軽い「就活鬱」になりました。

G.W.を過ぎると大手企業の総合職春採用の新規募集は激減します。5月に入って、またゼロからのスタート。各企業の採用枠が減少していく中、選考直結型の説明会 (筆記試験・ES提出等) も増えてくるため、どの企業の説明会に行くか悩みました。G.W.後の選考は、説明会・筆記試験・一次・二次・最終面接の各スパンが1週間ごとの企業が多かったです。内定までに1ヶ月はかかると考えると、気が遠くなります。

正直、不安すぎて1社でも内定がほしいという思いで、超過密スケジュールで受けまくる。その甘い思いを見抜くように、落とされる。その連続でした。6月後半には疲れ切ってしまって、新たな企業を受けるのも慎重になり、選考中の企業はごくわずかになりました。「今受けている企業が全滅でも仕方ない。地道に続けるしかない」と開き直って頻繁に息抜きはしていましたが、5月に行った説明会の会社が2次・最終面接ラッシュだったため、結果を待つ夜はなかなか眠れず…気がつけば、体重もこの就職活動で5キロ落ちていました。

内々定

7月初旬、小さな雑貨商社から内々定を頂き、無事に就職活動を終えました。説明会は100社以上回ったし、最終面接に4回連続で落とされて精神的にもボロボロだった私。最終面接で社長から「ぜひうちで一緒に働いて下さい」とその場で内々定を頂いた時には、自然と熱い涙がこぼれました。内定先の会社は、ずっと第一志望だったわけではありません。会社名も知らなかったし、出会いも全くの偶然。でも、事業内容に興味があり女性の活躍する企業、何より会社の創始者であるこの社長の下で働いてみたいなと思い、選考を進むことに決めました。就活当初「大企業に受からなかったら、公務員」と考えていた私が、中小企業に就職を決めるとは思いもよりませんでした。しかしながら、この数ヶ月で「仕事選びの軸」が変わっていたので、納得して就職活動を終えました。

就職支援課の支え

G.W.後、よく相談しに行ったのが大学の就職支援課です。楽しい時間を過ごしている友人と話をしていると、ふとみじめな気持ちになる。せっかく応援してくれる友人のアドバイスにも、なんだか「勝者の余裕」を感じてしまう。ナイーブな時期は、支援課の人に頻繁に相談にのってもらいました。

市大の就職支援課では様々な支援を受けられます。市大しか通っていないので他との比較はできませんが、市大の支援はかなり充実していると思います。市大就職課が提供している主なサービスは以下の通りです。

各種セミナー
高原記念館での合同説明会は授業の合間に設けられるので便利。のべ1,000社を超える学内セミナーは日本一!
就職相談員さんとの相談
ES添削もして下さります。サラリーマン経験のある個性的なおじさんが多く、指名もできます。
就職本の貸し出し
四季報・筆記対策・業界本など幅広い品ぞろえ。無料で2週間の貸し出し。
企業からの求人票
上場企業の求人票もあれば、学校・病院・法律事務所などからも求人あります。Webで見られるシステム (キャリアデザインシステム) も開設。

7月になっても、学内合同説明会を開いてくれる大学なんて滅多にないそうです。「これだけの企業がわざわざ市大生のために足を運んで下さるという事は、それだけ市大生が期待されている証拠だよ」と支援課の人に励まされながら、説明会に参加していました。ただ、時期が遅くなるほどこれを活用しない人が多くなるのも事実。12月には黒いスーツ姿でいっぱいだった高原記念館も、6月にはスーツ姿も減り、閑散とした様子になります。スーツで授業を受ければ目立つし、就職活動スタイルで登校するのは、周囲から憐憫の目を向けられている気がして居心地が悪いです。長引く就職活動で士気を無くして、フェードアウトしていく就活生もいます。

もちろん、新卒一括採用のこの時期に就職しなきゃいけないという訳ではないので、色んな方向性があって然りだと思います。就職留年・就職浪人という選択肢もあるし、いったん休んで秋採用から頑張るのも一案。ただ、意外と忘れられがちだと思ったのは支援課に来る企業からの求人票!大手の就職サイトから検索して自分で選考に進むよりも、支援課で求人票を探してもらう方が、競争率が低いのではないかと思います。

もし、この記事を読んでいる13年卒の方で今春4月入社を目指している方がいらっしゃったら、ぜひ支援課に足を運んでみてください。今でも支援課を訪れると、たくさんの求人票が13年卒の就活生を待っています。支援課の方に言われたのですが「卒業までに行先を決めたらええねん。卒業の2週間前に決まった先輩もおったから」そんな言葉が焦りを和らげ、一旦立ち止まって考える時間をくれました。

決して就職留年・浪人を否定している訳ではないのですが、13年卒や既卒の方向けの求人票に目を通していない方がいれば、足を運んでみてはいかがでしょうか。14年卒就活の盛り上がりで肩身は狭くなっている時期だと思いますが、頑張りを認めて背中を押してくれる人の存在は力強い味方だと思います。

なお、こうした就職支援の充実に貢献してきた就職担当課長の大島禎さんは契約期間の終了に伴い、今年度限りで市大を退職するそうです。一見近寄りがたい髭面のオジサンですが、私はとてもお世話になりました。市大生を愛する強力なサポーターだっただけに御退職は寂しい限りです。

写真=就職支援課

写真=就職支援課

自分のペースで就活を

就職活動に焦りは禁物。アクセル全開は長期戦になった時にしんどいです。就活期は何かと禁欲する人も多いと思いますが、無理しすぎず自分のペースで行えばよいと思います。私は精神的に辛い時期、友達関係やサークル等普段の生活は大事だと改めて実感しました。5月半ばには、サークルで就職が決まっていないのが私だけだったので、周りの晴れやかな雰囲気に気後れしてなんとなく行きづらかったのですが、就職活動中も適度な距離で参加しておけばよかったと思います。

このコラムの冒頭で「後輩に真夏まで就職活動を続けてほしくはない」と書きましたが、就職活動を長く続けることは決して悪いことではありません。私の場合は、社会の様々な側面を垣間見たり、改めて自分と向き合って精神面の課題を認めたり、本当に良い経験をしたと思っています。ただ新卒一括採用の今日、説明会やESの提出等の時期は一斉に行われており、乗り遅れると後悔することもあります。就活生の方はたくさん不安要素がある時期だと思いますが、たまには弱音を吐きつつ、自分にとって良いペースで進めてくださいね。

今回で全3回にわたる私の就職活動体験記の内容は終わりです。就活マニュアル的な事は話さず、失敗談や反省点について話すように心がけていたのですが、少しでも参考にして頂けたなら幸いです。アドバイス的なことも少し話してしまいましたが、絶対的なものではないので一つの情報として受け取って下さい。

最終回は、①中小企業への就職②女性と仕事をテーマに、第1回同様、個人的な見解を述べさせていただきます。

バックナンバー

第1回 就職活動が長引く人ってこんな人!?
第2回 ルポ★就活体験記①―公務員志望から民間志望へ
第3回 ルポ★就活体験記②―知られざる人事面接までの道のり

文責

上山幸穂 (法学部2009年入学)


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コメント

    • 市大卒
    • 2013年 3月 23日

    記事を読まして頂いて就職に大変ご苦労されたことよく分かりました。
    私は相当前に卒業した者で就職活動も現在は大分違っていると感じました。即ち;
    1)大学での成績は現在採用の際にどれほどの重要性を持っているのでしょうか。当時はこれはかなり重要だったと思います。
    2)私の頃は企業より大学に求人表が来て、それがない企業には原則として市大生は受験出来なかったのですが、現在はその様な制約はないのでしょうか。
    お手数をおかけしますが上記2点簡単にご説明頂けませんでしょうか。
    よろしくお願いいたします。

      • 鶴木貴詩
      • 2013年 3月 25日

      コメントありがとうございます。Hijichoの新代表の橋本啓佑です。
      上山さんに変わりまして、現在就職活動を行なっている私がお答え致します。

      あくまで私個人の見解ですので、ご了承頂ますようおねがいします。

      1)大学での成績がどの程度採用に関わるかですが、これは企業によると思われます。ただ少なくとも、投稿者様の就職活動当時ほどは重視されていないように思い ます。大学生活を通して何を成し遂げたかを総合的に判断されているように感じます。

      2)求人票の有無といった制約は無いと思います。

      私個人の見解ですが、参考になれば幸いです。

      今後ともHijichoをよろしくお願い致します。

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