今回より新たに寄稿していただくのは上山幸穂さん (法学部2009年入学)。
全5回にわたって、ご自身の経験を基に、就職活動について書いていただきます。
上山さんご自身が就職活動につまずき、長引いたという経験から、
頻繁に取り上げられるいわゆる「就活成功者」とは違った視点で就活を伝えていただきます。
3回生の1月まで公務員試験勉強をしていた私は、紆余曲折あって公務員試験を受けず、今年7月とある民間の中小企業に就職することを決めました。ちなみに、7月と言うのは市大においては結構遅い方です。正直、私は50社以上落ちました。全く自慢できることではありませんが。(笑)
後輩の皆さんには、真夏に真っ黒なスーツを着て、都会を歩く惨めさを味わってほしくない!大手企業にすんなり就職した先輩ではなく、辛酸をなめた私だからこそ気付いた就職活動の落とし穴・失敗談を伝えることで、反面教師として皆さんの就職活動に少しでもお役に立てればと思い、拙文ながら寄稿させて頂きます。
まず抑えるべきは就活の流れ
就職活動において私の一番の後悔は、情報収集を怠ったことです。ネットや本の情報は、大人が考えた一般論だったり、情報が錯綜していてどれを信用すればよいか分かりませんでした。私は就職活動を始めるのが遅く、情報不足なままとにかく動いたので要領が悪く、身近な先輩から就職活動の話をもっと聞いておけばよかったと後悔しました。就職活動が本格化する4回生の春ごろには、先輩方は卒業していますから、身近に先輩がいる人は今のうちに話を聞いておいた方がいいですよ。身近に先輩がいない人のためにも、第1回では一連の流れを伝えたいと思います。
まずは、近年の一般的な就職活動の流れ。
8月~ インターンシップの実施
10月~ 合同説明会などの開始
12月~ リクナビ等就職サイトの運営開始
本格的な個別会社説明会開催開始
2月〜 エントリーシート (ES) 提出ラッシュ
大手企業リクルーター面談
3月~ (第一次) 中堅・中小面接ラッシュ
4月~ 大手企業面接開始
★早ければ4月の1週目に内内定!
金融一般職は4月後半がピーク
5月~ (第二次) 中堅・中小面接ラッシュ
9月~ 秋採用開始
皆さんが名前を知っているような大手企業の春採用は、ほぼゴールデンウィーク (G.W.) までに選考を終えます。G.W.までに決めるのが、多くの国公立大学生の必勝パターン。私見ですが、この時期で5~6割の市大の友人が就職を決めていた気がします。G.W.で終わると聞けば「意外と早いやん!めっちゃ遊べるし!」と思いますか?10月から始めた人にとっては、G.W.は半年の節目。長期戦になるほど、選考に臨む就活生の表情にも焦りや不安が見られるようになります。
就活につまずく人、つまずかない人
「就職活動は営業活動だ」と例えられることがありますが、それは的を得た比喩だと感じます。スーツを着て1社1社、会社説明会に足を運んでは情報を仕入れ、ESや面接で自分をPRして、採用して頂く。営業マンが商品をPRするのと、何ら変わりはないですね。アポをとったり、スケジュール管理をしたりと、営業に必要な能力が問われます。売っている商品が「自分」であるからこそ、採用されなかったときの心の痛みは相当なものになるのですが…。就職活動で複数内定を取るような人は、社会人になってからもきっとバリバリと営業活動で実績を残すのだろうと思います。
4月に何社も内定を取る人がいる一方で、なかなか報われない人もいます。両者の違いは何でしょうか。長く就職活動を続ける人々にも、様々な事情があります。ここでは、夏頃に内定の無い就活生と話をしていて思った典型的な3つのパターンについて、紹介したいと思います。
パターンA:大手が良かったのに。
4月の段階で大手企業にたくさん落とされて、力尽きてしまったパターン。大手企業は倍率が高いことが多いので落とされている人も多いはずなのですが、そもそも大手ばかり受ける人は、自分に自信があったり、プライドが高い人が多い印象を受けます。特に大手のブランド力に魅力を感じていたような人は、G.W.後の中小企業の面接ではやる気をなくしてしまっています。
パターンAはかなり多いです。特に学歴の高い人に多い気がします。いくら優秀な人でも、やる気のない人は採用されませんよね。私も名の知れた大企業ばかり受ける「大手病」にかかっていたのですが、就職活動を続ける中で、積極的に中小企業で働く方からお話を伺って、少しずつ偏見をなくしていきました。大手病は早めに治療しておいた方が良いですよ。元患者が言うのだから、間違いありません。(笑)
パターンB:○○業界が良かったのに。
マスコミ等人気で狭き門の業界を受けて落ちまくった人が、別の業界を受けるパターン。たとえ狭き門と分かっていても受ける気概があるくらいですから、憧れの業界への気持ちも強いのでしょう。そのため未練があってか、他の業界の面接ではあまり気持ちが入らない。といっても、内定は欲しいから別の業界も受けている。
G.W.後の面接では「今までどんな就職活動をしてきましたか?」と必ず聞かれるので、その時に生き生きと憧れの業界への想いを語ってしまう恐れがあります。人柄も悪くなく、好きなことにはやる気があるので、興味がある業界を早くからもっと見つけられていれば、違った結果があったかもしれません。
パターンC:なんでも良かったのに。
とりあえず、何となく興味がある業界・会社を受けて、落とされてきたパターン。強い希望がある訳でもないので、受けてきた業界もバラバラ。
面接ではしばしば「あなたの会社選びの軸は?」と聞かれます。業界もバラバラになると共通項も少ないだろうし、面接官への説得力も弱くなるでしょう。就職活動が長引けば長引くほど、パターンCの学生に出会う確率が高くなりました。やはり、最初に広く浅く業界を見てからある程度は業界を絞って就職活動をするべきだと思います。初めから絞りすぎては、パターンBになりかねませんが。
決断するための自分の基準
結局、自分が働くのは1社だけ。だからこそ、視野は広く持ち、しっかり自分の基準を持って決めて行くことが大切だと思います。私の場合、この1年間で企業選びの軸は180度変わりました。なにせ国内で働く地方公務員になるつもりが、最終的には商社志望で就職活動をしたのです。もし公務員、弁護士、公認会計士等、資格試験系の仕事に就こうと思っている方がいらっしゃったら、そんな方こそぜひ民間の就職活動について、早めの検討をお勧めします。私は12月半ばまで公務員しか選択肢になかったので、民間の就職活動のスタートダッシュで苦労しました。資格だけでは食べていけないと言われる時代、難しい資格取得にこだわらなくてもそれまでの勉強が活かせる企業の法務部や経理部での活躍も視野に入れてみてください。大手メーカー等では、そうした部門ごとの職種別採用も広がっています。
次回は、どうして公務員から民間に転向したのか、私の企業選びの軸の変遷について紹介したいと思います。
バックナンバー
第2回 ルポ★就活体験記①―公務員志望から民間志望へ
第3回 ルポ★就活体験記②―知られざる人事面接までの道のり
第4回 ルポ★就活体験記③―怒涛の面接ラッシュから内々定へ~文責
上山幸穂 (法学部2009年入学)
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