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住吉区長に聞く  区政の極意


2011年12月、大阪市が「住民や地域コミュニティーの声を行政に適切に反映した住民自治の実現に向け、高いマネジメント能力をもって、地域や組織の課題解決や新たなビジョンの実現に取り組める」区長を全国から公募すると発表した。

この取り組みによって決定した24人の新区長が2012年8月1日より就任し、新たな区政運営を進めている。大阪市立大学がある住吉区の区長である吉田康人氏もその1人だ。今回吉田区長にインタビューできる機会を得た。(聞き手:石原奈甫美 (Hijicho) )

写真=吉田区長 (谷口写す)

写真=吉田区長 (谷口写す)

—住吉区長に就任して約4ヵ月半ですが、手応えはいかがですか。
住吉区長としての私の1番の使命は「ビジョンを明確に示すこと」だと考えています。この点については着実に進めていくことができていると思います。平成24年度の予算は就任当初に既に決定していたので、平成25年度から30年度の住吉区のビジョンを構想することに重点を当てました。その構想をまとめたものが「住吉区将来ビジョンH30 (素案) 」です。

この素案は机上で作成するのではなく、区民の皆さんと接していく中で作成しました。例えば、毎朝区役所が始まる前に区内の駅や小中学校の前に立って、挨拶や「広報すみよし」のダイジェスト版を配布しながら町の雰囲気や皆さんの意見を感じていました。区民の皆さんに徹底して情報公開し、区政を見せることにも力を入れましたね。

—今後どのようにして区民の意見を取り入れようと考えていますか。
これまである課題に対して民意を聞くとき、フォーラムを開こうとすることが多かったのですが、これでは一部の方の声しか聞くことができません。フォーラムや従来のラウンドテーブルに参加する人は毎回その問題に強い関心のある特定のメンバーであることが多く、それ以外の方々 (サイレントマジョリティー) の意見を聞くことができないからです。橋下徹・大阪市長はそのようなサイレントマジョリティーの民意を聞くことこそ重要なのではないか、とおっしゃっています。区役所をこの発想に転換していくことが私の使命です。

サイレントマジョリティーの声を聞くために、青空ミーティングをH25年度より実施します。これは会場を用意するのではなく、行政から区民の方の意見を聞きに行くものです。例えば、我孫子の商店街で机を置いて、住吉区長や区役所職員が区の政策について話し始める。するともちろん全く関心の無い方々 (サイレントマジョリティー) がその前を通って行くわけですよね。ただ素通りするだけでも一言二言は耳に残る。その言葉で1人でも多くの人が区政に関心を持って頂けたり、1人でも多くの意見を聞いたりすることが区政の重要なファクターだと考えています。

—「住吉区将来ビジョンH30 (素案) 」のなかに「大阪市立大学の研究成果を行政運営に反映する仕組みづくり」とありますが、具体的にどのような形で連携していくことができると考えていますか。
まず現状として、住吉区と大阪市立大学は友好的な関係が続いています。区政会議には市大の教授に参画してもらっており、区役所としても市大のイベント (最近では防災フォーラム等) に参加しています。市大の学生さんにもボランティアという形で協力して頂いています。これらの関係性を継続していく上で、さらに大学で行われている基礎研究をもとに区政に対して専門的なアドバイスを頂きたいと考えています。

例えば、住吉区では「孤立死ゼロ」を掲げています。日本では、孤立死に関して福祉の分野から多くの学問的研究がなされているはずなのに、それらを生かした政策がほとんどありません。個別的な問題に対して付け焼刃の政策ではなく、本来どうあるべきか、福祉とはそもそも何か、という問いから根本的な政策を練る必要があります。その意味で産業・行政と大学の連携を強めていくべきです。つまり、研究成果の理論的な枠組みを大阪市立大学が提供し、研究のための実際の具体的データは区役所が提供する、というように相互補完の形を確立したいです。

From Editor

今回初めてゆっくり住吉区長の吉田氏と話すことができたが、どの質問に対しても、さまざまな構想をお持ちであり、そのパワーに圧倒された。大学と住吉区の連携の話は学長と区長の間でも話が進んでおり、今後市大では地域に密着した研究が増えそうだ。

吉田区長が大衆の政治的無関心に対する手立てに意匠惨憺 (いしょうさんたん) されている様子から、区民の方々に納得して頂きいという強い思いが伝わってくる。このような為政者の思いを無駄にしてはならない。そもそも政治は共同体の中で快適に過ごすための装置である。政策は私たちの生活に直結する。無関心では済まされない。

今一度、市大のある住吉区から関心を持つことの第一歩を踏み出してみようではないか。

文責

石原奈甫美 (Hijicho)


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