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デートDVから考える新しい恋愛のカタチ


もうすぐクリスマスの時期だ。恋人がいる人はデートプランを考える頃だろうか。ここでは、一般的に恋人と過ごす時間が増えるこの時期に、パートナー同士がより良い関係を築くための恋愛のあり方を「デートDV」を切り口に考えていく。

デートDVとは

まずDVの定義を確認しておこう。DVとはドメスティック・バイオレンスの略で、「同居している夫婦や内縁関係の間での暴力」のことだ。それに対してデートDVは、同棲していない恋人同士での暴力を意味する。どこまでをデートDVに含めるかは定義の仕方によって異なるが、程度が明確にひどいものは1~2割、程度が軽いものも含めると4~5割の男女が経験していると言われている。

主に見られるデートDVの形態
①殴る、蹴るなどの「身体的暴力」
②自信を奪う、脅すなどの「精神的暴力」
③相手の自由を奪う「束縛」
④無理やり体をさわるなどの「性的暴力」
⑤デート代を払わせるなどの「経済的暴力」
※精神的暴力は、単独というよりも他のDV形態と共存する。

例えばみなさんの中にも、携帯電話のメール・着信履歴をチェックされるなど、携帯電話が絡む被害を経験したという人が少なくないのではないだろうか。2007年に内閣府が行った調査では、男性の53.1%、女性の44.6%がその経験をしたことがあるという結果が出ている。さらに、程度が極めてひどい場合では、監禁や殺人を起こすという事例もある。このようにデートDVは、比較的私たちの身近に存在し得る上に、社会的な問題にもなっている。

カップル単位の恋愛観の危険性

では、どうして社会的にデートDVが蔓延しているのだろうか。そのひとつの要因として、「カップル単位の恋愛観」が背景にあると考えられている。カップル単位の恋愛観とは、2人でひとつ (共同体) という見方に基づく恋愛のことを指す。これは特別変わった恋愛観ではなく、むしろ一般的に多くの人が持っている観念だろう。これがデートDVにどのようにつながっていくのか。

この恋愛観では、恋人を他者として見るのではなく、両者の間で支配関係が生じ、一方がもう一方を同化する (自分の思う通りになるのが当たり前と思うなど) ということが起こる。そして、このような構造を無自覚に形成してしまう (周りが見えなくなる) ことが、デートDVにつながる大きな要因となる。

新しい恋愛観―シングル単位の恋愛観

ここでデートDVを起こさないための新しい恋愛のあり方の一例を紹介する。それは、「シングル単位の恋愛観」と呼ばれる考え方だ。各自が希望の関係のあり方を出し合った上で、二人で調整し、双方の自由ができるだけ守られるような関係を築く。ここで大切なのは、踏み込み過ぎてはいけないお互いの境界線を尊重することだ。もし、境界線を踏み越えることがあっても、相手が嫌がっていたらそこでただちに侵入をやめる感性を持てるかどうか。一見冷めた恋愛のように見えるが、お互いが心地良い関係を築く上では必要な考え方だろう。

恋愛を楽しむ

ここまで2つの対照的な恋愛のあり方を紹介してきたが、必ずしもカップル単位の恋愛観が悪くて、シングル単位の恋愛観が良いと言いたいわけではない。現実的なのは、2つの恋愛観をバランスよく組み合わせることだろう。いずれにせよ、そのバランスをパートナーと話し合って、互いを尊重できるような関係性を築くことがデートDVを起こさない上で最も重要だと私は考える。このコラムが読者のみなさんそれぞれの恋愛のあり方を再考するきっかけになれば幸いだ。そして、自信と余裕を持って恋愛を「楽しんで」いこう。

参考文献

伊田 広行著, 2011年, 『ストップ!デートDV―防止のための恋愛基礎レッスン』,解放出版社

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文責

島田隼人 (Hijicho)


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