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発掘!市大アンダーグラウンド


2012年3月、大阪市立大学旧教養地区の一部が、「遺跡発掘中」という名の下に掘り起こされていた。大阪市立大学で一体何が行われていたのか。取材の結果、面白い事実を「発掘」した。

謎の「遺跡発掘中」…

掘り起こされていたのは、旧教養地区内の2号館と新体育館の間に位置する、かつて木々が茂っていた場所だ。そこに、人工光合成の研究施設を増設する予定だという。では、なぜ「遺跡発掘中」だったのか。それは、その地下に遺跡が埋まっているからだ。


写真=3月17日当時の遺跡発掘現場 (筆者写す)


図=校舎見取図 (黒い箇所が現場) (Hijicho作成)

地下に眠る山之内遺跡

埋まっている遺跡の正式名称は「山之内遺跡」。浅香や遠里小野、我孫子付近までがその範囲とされ、大阪市立大学杉本町キャンパスは全てその範囲内となる。下図の、ラインで囲まれている範囲が山之内遺跡の範囲だ。


図=山之内遺跡の範囲図 (クリックして拡大)
(大阪市立大学経営管理課提供)

この範囲内を地表から1.5~2mほど掘り下げると、縄文時代や弥生時代の地層が表出するとされ、実際に当時の土器の欠片や住居の跡が発見されている。


画像=共通教育棟 (8号館) 区域から発掘された出土品 (クリックして拡大)
(同大学同課提供)

付近にある遺跡は山之内遺跡だけではない。遠里小野遺跡や南住吉遺跡など、様々な遺跡が点在している。この大和川付近の地層は、程良い粘土層となっており、比較的発掘しやすい地質となっている。


画像=遺跡分布図 (クリックして拡大)
(同大学同課提供)

新しい施設を建設する際は、貴重な出土品の保護の為、その地下から何も発掘されないかどうかを調査することが義務付けられている。
今回の発掘調査の期間は2012年3月5日~3月31日。今回は特に何も見つからず、これから人工光合成の研究施設の増設工事を開始する予定だ。施設は2013年3月に完成予定とされている。

まだ「大発見」とされる出土品は発掘されていないが、私たちの足元に縄文時代の営みが眠っていると想像するだけで、赴き深いものを感じる。大阪は、なかなかに歴史との距離が近いのだ。普段何気なく見ているものが、実は意外と歴史の深いものかもしれない。そのような視点で街中を歩くと、ただの散歩もまた楽しいものになるだろう。これからの発掘にも期待したい。

文責

新舎洸司 (Hijicho)


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