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あなたの「食」は大丈夫? ミールカードから考える食育


 現金を持たずに食堂に乗り込み、小鉢でいっぱいのトレーを持ち、カード一枚でレジを通り抜ける……。彼らは本学生協が提供するミールカードの利用者、通称「ミーラー」。あらかじめ料金を支払うことで、決められた料金の分だけ一年間食堂で食事ができるという、いわば食堂の定期券であるミールカード。しかし、何を目的に作られたものか知らないまま使っている、あるいは使わずに敬遠している人も多いのではないだろうか。ミールカードについて詳しく知るべく、大学生活協同組合(生協)食堂部部長の岩佐進さんにお話を伺った。

ミールカードとは

 本学のミールカードには一日の使用限度額がそれぞれ500円、600円、1000円の三つのコースがある。それぞれの価格は食堂の営業日数と市大生が食堂で使う料金の平均値をもとに考えられたものだ。500円コースは1食、600円はしっかりめの1食か2食、というようにコースによって異なる使い方が推奨されている。

 利用者の学生と保護者を対象にしたアンケートをもとに毎年見直しが行われており、昨年度には新しく500円コースができた。これは春季・夏季休暇中は使用できないコースとなっており、ミールカードを持っていても休暇中に学校に行かない学生は損をするのではないか、という声を受けて生まれたという。どのコースも価格はここ数年微増しつつも大きな変化はない。

 また、来年度から1300円コースが新設される。これは食堂で3食食べられるコースとして考案された。価格は現時点では未定だが、19万円程度を予定しているという。

ミールカードの価格と食べ方の例(価格はすべて税込)=行田美希作成

 2018年度は約600人の学生がミールカードを利用しており、利用者数は年々増加している。そのうち下宿生と自宅生の割合はほぼ1:1だ。岩佐さんは「自分で食事を用意しなくてはならない下宿生の利用が多いイメージがあるかもしれませんが、自宅生の利用者も多くいます。子供が大学生になり、お弁当作りから解放されたいと考える保護者の方が申し込むためだと思います」と話す。  

 また、学年別に見ると利用者の半分は1回生だ。回生が上がるごとに利用者は減っていくが、わずかながら院生の利用者もいるという。

 申し込みは春期休暇中に行われ、年度初めの4月1日から翌年の3月31日まで利用することができる。生協の組合員しか使用できないため、新入生は4月の健康診断にて組合員証を受け取ってからの利用となる。

 途中解約も可能だ。自己都合の場合は違約金を払えば使った分を差し引いて残りを返金してもらえる。病気や留学の場合は違約金不要で、使った分を差し引いて同様に全額返金となる。

 

メリット・デメリット

 一番のメリットはなんといっても栄養バランスのよい食事を手軽に取れることだ。ミールカード利用者は、自分が何を食べたかという食歴をウェブ上で見ることができる。これは食堂で食事をしたときのレシートに記載されている、そのメニューのカロリーや栄養素などをまとめたものだ。普段の食生活ではなかなか栄養バランスについて細かく考えていられないが、食堂のレシートを見れば、自分が何時に何を食べ、どんな栄養を取っているかがすぐにわかる。ミールカード利用者はウェブを通してより手軽に見られる上、希望すれば管理栄養士からのコメントがもらえるのも利点の一つだ。

筆者も食堂で夕食を取ってみたところ、野菜不足が発覚した。=南食堂で11月14日、行田美希撮影

 また、何を食べたかの記録は利用者本人だけでなく保護者も見ることができる。「手元を離れた子供の食事管理を気にする保護者の方たちに、このシステムは大変喜ばれています。学生さんの中には食べたものまで保護者に監視されたくないという方もいますが」と岩佐さんは笑う。

 さらに、ミールカードを持つことで自然とバランスよく栄養を取れる傾向があるそうだ。現金を払って食堂で食べようとした場合、カレーのみ、ラーメンのみなど一品だけ注文する人がほとんど。一方、ミールカードがあると一日で使える値段ぎりぎりまで購入しようとするのだという。岩佐さんは「カレーだけだと使用限度額に届かずもったいないので野菜をもう一品買おう、牛乳を飲もう、というように、なんとなく追加で料理を選んでいるといつの間にかバランスよく栄養が取れているんです。不思議ですよね」と話す。

 一方、食堂がいつも混んでいる、という利用者の声が絶えない。現在本学には北食堂、南食堂、めたせこいあの三つの学生食堂がある。北食堂に400席、南食堂に200席、めたせこいあに100席と全部で700席が用意されているが、学生数に対し圧倒的に少ないといえる。

 利用者の声を受けて大学生協は大学側に設備拡張を訴えているが、大学の方針上、当面は厳しいそうだ。その代わりレジ数を増やすなど工夫し、特に混んでいる午後0時10分から午後0時40分の時間帯であっても15分以上は待たせないよう心掛けているという。

 岩佐さんは「家事を手伝うことが子供の仕事だった時代が終わり、お米の炊き方や魚のさばき方など何一つわからないまま下宿を始める学生が増えてきました。一から始めて自分の食事をきちんと管理できる下宿生はほとんどいません。買い物をする手間、食事を作る手間、片づける手間……。食堂で食事をすればそれらをすべて省くことができます。ミールカードのシステムをしっかり理解した上で1年生のうちだけでも利用し、健康的な食生活を送ってもらえたらと思いますね」と語った。

 

文責

行田美希(Hijicho)


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