HijichoのLINE公式アカウント
友だち追加数

大学で地震に遭ったら 三田村教授に聞く


 6月18日7時58分頃、大阪府北部の深さ13kmを震源とする地震が発生した。マグニチュードは6.1、最大震度は6弱を観測した。津波の発生はなかったものの、大阪府内の多くの市区町村で震度4以上の強い揺れを観測し、7月6日0時時点までに44回の余震が発生した。大阪市北区、高槻市、枚方市、茨木市、箕面市で震度6弱を、本学キャンパスがある阿倍野区と住吉区は震度4を観測した。

 大阪府防災・危機管理司令部の資料によると、8月8日時点でのこの地震による人的被害は、死者5人負傷者361人、住家被害は、全壊・半壊・一部損壊を合わせ約44500棟であった。交通の被害は、地震発生直後ほぼ全路線で鉄道の運転が休止され、道路は一部区間で通行止めが発生した。

JR阪和線でも大きな遅れが発生した = JR阪和線我孫子町駅で6月18日、土屋拓海撮影

 また、本学では14名の学生が負傷(いずれも軽傷)し、18日の講義は全て休講となった。大学内の建物・設備の一部に軽微な被害が出たものの、大きな支障となるものはなかった。

 

 今回の地震に関して、地質学を専門分野とする都市防災教育研究センター所長の三田村宗樹教授(理学研究科)にお話を伺った。

本学大学院理学研究科の三田村宗樹教授=8月21日、濵田翼撮影

 ――今回のように多くの人が通勤通学中に地震が発生した場合、どのように対処すべきだったのでしょうか。

 今回の地震に関して学生にアンケートを行い、600人の学生から回答が得られました。鉄道のほとんどが運休になったため、講義は中止になりました。その時点で多くの学生が何らかの手段で帰宅しようとしました。最寄駅近くの駐輪場に止めていた自転車で帰宅した学生や、保護者と連絡を取って自家用車で迎えに来てもらって帰宅しようとした学生、中には10時間かけて徒歩で帰宅した学生もいました。

 アンケート結果からどの帰宅方法を選んだとしても帰宅にかかった時間はあまり差がないということがわかりました。つまり、今回のように大阪の街中で大規模な被害がなかった場合ならば、各自が足止めを受けた場所で時間をやり過ごすのも一つの手段だと思います。私が防災教育に行ったネパールのカトマンズでは計画停電や水道管の老朽化など、インフラが完璧に整っていないところでも現地の人は時間を有効に活用していました。今回のように交通機関が一日使えない程度であるならば、被害に遭った直後に無理に帰宅しようとせず、交通機関が使えなくなった場合の時間を過ごす手段や心の準備が必要だと思います。焦らずに落ち着いて状況を分析することが大切です。

 

 ――大学にいるときに地震が発生した場合はどのように対応すべきですか。

 建物に関しては耐震補強がされているので倒壊等の心配はありません。地震が発生した場合は、災害時の避難訓練の時と同様に、室内であれば、落下物等への対処や身の安全を確保した上で、まずは屋外への退避をするようにしてください。大学から送られる安否確認システムで自身の身の安全が確保できたことを知らせるようにしてください。

 また、今回の地震で通学経路で災害にあった場合の対処についても見直すきっかけになったと思うので、通学路で気を付けなければいけないところなどをもう一度確認してください。

 ――南海トラフ地震のような大規模な地震による津波の発生が危惧されていますが、本学キャンパスで津波の被害を受ける可能性はあるのでしょうか。

 杉本キャンパスは、上町台地の上にあるので津波の心配はありません。阿倍野キャンパスに関しても杉本キャンパスとほぼ同等の標高にありますので、津波による直接的な被害はありません。

 ――今回の地震を受けて、個人でできること、すべきことはありますか。

 まずは自宅を含めた自分の身の回りの点検をしてください。例えば、自宅の中で揺れたときに倒れそうなものや落下しそうなものがないか、もしあった場合はそれらが固定できているかなどがあげられます。また、通学路での安全な場所や、逆に危険な場所がないかを確認してください。今回の地震ではブロック塀について問題になり、公共施設関係では国も改善に向けて予算を出すなどしています。しかし、私有地のブロック塀は、まだまだ危険なものが残置されるでしょう。自宅や通学路等の身の回りの環境についてもう一度点検してみてください。

学生の大地震の経験の有無 = 三田村宗樹教授提供

 本学の生徒の多くは、1995年に発生し大きな被害をもたらした阪神・淡路大震災を経験していないということが三田村教授が行ったアンケートからも窺える。震度5を超える地震を初めて経験したという学生も多いだろう。地震を含めた災害に備えるにおいて身を守るために重要なことは災害を恐れ、忘れずにいるということである。今回の地震での経験を南海トラフ地震などの今後起こるであろう大震災から身を守るために活かすことが大切なのである。

 

学生へ向けた大阪府北部地震後の行動アンケート結果はこちら

住吉区のハザードマップはこちら

文責

土屋拓海、濵田翼(いずれもHijicho)


関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

Hijicho on Twitter

ページ上部へ戻る