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市大中之島講座「いのち・すまい・まちを守るために」


大阪市立大学は9月12日、市大中之島講座を大阪市中央公会堂で開催した。今回のテーマは「いのち・すまい・まちを守るために」ー東日本大震災から教えられたことー。狩野徹氏 (岩手県立大学 社会福祉学部教授) の講演の後に、市大の教授を含む4名でパネルディスカッションを行った。

講座の冒頭では平松邦夫大阪市長が挨拶。挨拶で平松市長は「あの時『今までとは違う』と感じた。なんとか被災地を支えられないか、という想いが日本だけでなく世界中に広がった」と述べた。また、現在大阪市内の中学校で行っている防災フォーラムについても触れ、「『つながり』こそが自助・共助の要になる」と訴えた。

その後の狩野氏の基調講演では、震災当時や現在の被災地の写真などをもとに、防災についての課題について説明。一方、今回の震災では、阪神・淡路大震災、新潟県中越沖地震などの経験を生かした対策も実施できたと指摘した。

避難所と仮設住宅

狩野氏によると、今回の震災による岩手県内の死者・行方不明者の数は阪神・淡路大震災とほぼ同じであるが、死者・行方不明者の人口比や被害面積は、今回の震災が大きく上回っているという。その差には直下型地震と津波という違いがあると思われる。狩野氏は「被災時・避難時の課題」について「『異常な揺れ』という認識はみんな持っていたにもかかわらず、津波を見てから初めて避難する人もいた」と指摘。また、「避難所が津波の被害に遭うなど、避難所そのものが安全でなかった」とも述べた。今回の震災では避難所で亡くなる方もいたので、「避難所のあり方」も検討課題となりそうだ。

また、仮設住宅における課題についても報告。仮設住宅ごとに課題は異なるが、概して集会所などが不足しているのだという。仮設住宅とはいえ一定のコミュニティが形成された以上、住民同士が集まれる場所がなければ、いざという時の信頼関係が成り立たない。これは仮設住宅だけに限らず、日常の取り組みについても言えそうだ。

大阪市は迅速に対応

狩野氏は大阪市の対応についても言及。「すぐに大阪市の消防車が来た。地震の後火災が起こり、地元の消防隊はほぼ全滅していた中で、大阪市の消防車が活躍してくれた」と大阪市の迅速な対応を評価した。都市間の連携の重要さの証左と言えよう。

先人の警告

被災地の各地には「津波の碑」というものが存在している。過去の津波被害の追悼の意味が込められていると同時に、過去の津波が到達した地点を示し、その碑より下に行っては危険だということを警告する意味もある。実際、今回の津波被害でも、津波の碑の上下で被害の大きさが全く違っていた。これから何百年か先の未来のためにも、今度は我々が「先人」として警告を残さなければならない。そのためにも、今回の震災は決して風化させてはならない。

自分たちに出来ることを

狩野氏は最後に、復興に向けての住民たちの活動について報告した。被災地の各地に「支援ありがとう」や「ガンバレ」などのメッセージ、子どもたちと学生が一緒に描いた絵などがあった。流れてきた石材で彫刻を作るなどの活動をしている地域もあった。狩野氏によると、何か目に見えるものが欲しいのだという。子どもたちの遊び場を作るなど、「日常」を取り戻す活動も展開されている。復興に向けての住民たちの活動には、「希望と明るさに向かって『自分たちの出来ること』をする」という想いが込められている。行政や専門家のすることを自分たちがする必要は無い。自分たちに出来ること、自分たちにしか出来ないことを地道にこなしていくことが、復興の一番の近道だろう。

2ページ目
・パネルディスカッション
・大学は都市とともに
・震災は未だに継続中
・市大生は参加を


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