・ふるさと納税とは
ふるさと納税には「納税」という言葉がついている。しかし実際は、都道府県、市区町村への「寄付」である。
現在、多くの人が地方のふるさとで生まれ、その自治体から医療や教育等様々な住民サービスを受けて育つ。 その後、進学や就職を機に生活の場を都会に移し、納税を行っている。多くの人が都会に出てしまうため、都会の自治体は税収を得られるが、自分が生まれ育った故郷の自治体には税収が入らないという慢性的な問題が生じている。都会と地方の税収格差を少なくするため、また地方創生を実現するため、2008年に創設された。
ふるさと納税には4つの大きな特徴がある。
①税金が控除される
一般的に自治体に寄付をした場合には、確定申告を行うことで、その寄付金額の一部が所得税及び住民税から控除される。しかし、ふるさと納税では寄付金額から2000円を除いた全額が同様に控除の対象となる。(全額控除される寄付金額には、収入や家族構成等に応じて一定の上限あり。)
また2015年度税制改正によって、自己負担額の2000円を除いた全額が控除される限度額である「ふるさと納税枠」が約2倍に拡充された。
②特産品がもらえる
ふるさと納税の一番の特徴は、何といっても寄付した地域の特産品がもらえることである。自治体の多くがこの特産品に力を入れており、高価な果物や海産物がもらえる自治体もある。また、物だけでなく、宿泊券やいろいろな施設の招待券などもある。
ただし、特産品がもらえるのは1つの自治体で年に1回のみだ。 (北海道上士幌町は例外を設けている。)
③複数の自治体に寄付できる
ふるさと納税というと、自分の出身地に寄付しなければならないと思う方もいるかもしれないが、どの自治体に寄付しても良い。また、1つの自治体だけではなく、複数の自治体に寄付することもできる。
④使い道を選ぶことができる
ほとんどの自治体では、「世界遺産の保存・継承」「子育て支援・教育の充実」など、納税者が寄付金の使い道を選べる。
・活気づくふるさと納税
総務省は2015年10月23日、4月から9月に寄付された「ふるさと納税」の合計額が、453億5500万円に上り、前年同期の3.9倍であったと発表した。年間で過去最高だった2014年度の389億2300万円を半年で上回った。総務省が都道府県と市区町村を合わせた全1788自治体に2015年9月30日時点の寄付の受け入れ状況を聞き取ったものである。
受け入れ額が最も多かったのは特産の牛肉などを返礼品としている宮崎県都城市で13億3300万円。2位は山形県天童市の12億2200万円、3位は長野県飯山市の9億6400万円だった。
増えている要因について41%の自治体が「返礼品の充実」をあげた。多くの寄付を集めようと肉や魚介といった地元の特産品など返礼品を豪華にしている自治体が増えており、総務省が自粛を求める事態となっている。
また、9月の関東・東北豪雨で広範囲が浸水被害を受けた茨城県常総市には、ふるさと納税を利用した寄付の問い合わせが3000件あり、20日までに見舞金を含め約4億円が寄せられたという。
昨年、ふるさと納税寄付額がトップだったのは、長崎県平戸市。平戸市はふるさと納税がおよそ14億円に上り、市の税収の1つである市民税の10億円を上回った。さざえやエビなどの海産物が特産品として人気を集めたそうだ。
昨年のふるさと納税自治体ランキングトップ10は以下の通り。
2014年「ふるさと納税」自治体ランキング (出典:ふるさとチョイス)
※(集計は暫定のため、最終的な確定値は異なる可能性あり)
1位 |
長崎県 |
平戸市 |
約12億7884万円 |
2位 |
佐賀県 |
玄海町 |
約9億3206万円 |
3位 |
北海道 |
上士幌(かみしほろ)町 |
約9億1098万円 |
4位 |
宮崎県 |
綾町 |
約8億3248万円 |
5位 |
島根県 |
浜田市 |
約16億2170万円 |
6位 |
鳥取県 |
米子市 |
約4億9511万円 |
7位 |
山形県 |
天童市 |
約4億7538万円 |
8位 |
佐賀県 |
小城(おぎ)市 |
約4億2822万円 |
9位 |
宮崎県 |
都城市 |
約4億121万円 |
10位 |
大阪府 |
泉佐野市 |
約3億8977万円 |
また、政府は地方自治体に寄付をした企業の法人税などを軽減する、企業版の「ふるさと納税制度」の創設も検討しているという。来年はさらに寄付金額が増えるかもしれない。
市大にも納税できる
大阪市でもふるさと寄付金 (ふるさと納税と同じ制度) を受け付けており、22のメニューを用意してふるさと寄附金を募集している。
このメニューには、「区政の推進、芸術・文化団体支援関係、大阪城の魅力向上、花と緑のまちづくり、動物園の充実、・・・」などがあり、その中のメニューの「市立大学振興関係」で市大に寄付することが出来る。2015年4月より募集が開始されたため、現時点でどのぐらいのお金が寄付されたのかについては不明である。今後はこのお金がどのように使われるのか注意して見ていく必要があるだろう。
【From editor】
自治体間において 返礼品の競争となってしまっているという指摘もあるこの制度だが、税収の少ない地方自治体にお金が流れているという現状は歓迎すべきことであると思う。皆さんも、ふるさと納税制度を利用して地方創生に貢献し、すてきな特産品を受け取ってみてはいかがだろうか。
【参考文献】
総務省 ふるさと納税ポータルサイト (http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/080430_2_kojin.html)
日本経済新聞 10月23日(金)
(http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS23H0X_T21C15A0EAF000/)
読売新聞 10月23日(金)
(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151023-00050126-yom-pol)
産経新聞 2月26日(木)
(http://www.sankei.com/region/news/150226/rgn1502260025-n1.html)
大阪市 ふるさと寄付金の募集
(http://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000006520.html#10)
ふるさと納税ポータルサイト ふるさとチョイス
(http://www.furusato-tax.jp/)
【文責】
山原怜太朗 (Hijicho)
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