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杉本キャンパス自転車問題 vol.2 ~「提言」から大学の方針を読む~


ご存知の通り今年4月より大学は、安全で快適なキャンパスにするために杉本キャンパス内では自転車を押して歩くよう推進し、走行を規制するという施策を施行した。また大学は来年度以降、通勤通学で利用する自転車以外の利用を認めない・休憩時間の延長といった施策の検討を発表した。
このキャンパス内自転車走行規制については、施行1週間前に突如として、ポータルサイト上で学生に告知されるなど多くの混乱をもたらし、またこれらの重要事項の決定に際して学生の意見が十分に取り入れられていないのではないか、などといった大きな波紋を呼んだ。
我々はこのキャンパス内自転車走行規制について関係各所に取材、調査を進めていく中で、大学の自転車問題等検討会という自転車問題について主導的に議論を進めている部署が作成し、これからの大学側の自転車・バイクの利用に関する基本方針についてまとめられた「安心・安全で快適なキャンパスづくりへの提言」なる文書 (以下「提言」と記す) を手に入れることに成功した。

多くの学生が内容はおろかその存在について知らないであろうこの「提言」。学生が事実上蚊帳の外に追いやられている中、今まさに大学が議論検討している自転車問題、そしてそれに伴い検討されている休憩時間延長等の施策について、学生にも知る権利があると我々は考えており、今回取り上げ広く学生にその内容を紹介する。
今回のこの記事で多くの学生にこの自転車問題について知ってもらい、考える一つのきっかけになれば幸いである。

以下は平成26年3月13日に大阪市立大学 自転車問題等検討委員会が作成した「安全・安心で快適なキャンパスづくりへの提言」-自転車・バイクの利用に関する基本方針について- の中身である。
「提言」の内容は、自転車に関する施策とそれに伴い検討されている施策に関する部分は全文載せている。

※この「提言」は今年3月に作成された基本方針である。この「提言」について、現在どこまで議論が進んでいるのか、詳細は目下のところ調査中であり、一部において変更・修正が加えられている可能性がある点にも留意してもらいたい。議論の詳細については、判明次第取り上げる予定だ。

はじめに

本提言は、自転車問題等検討委員会における議論の成果を取りまとめたものである。
本検討会は、平成25年12月12日に設置された。 検討事項は杉本キャンパスを念頭に、以下のとおりである。

・学生・教職員の自転車・バイクの利用についての基本的な考え方と駐輪場設置の考え方について
・学内の移動手段としての自転車の必要性について (休憩時間との関係)
・歩行者の安全確保の観点から自転車利用の規制をどのように行うか。
・バイクに対してどのような規制を行うか。

検討会では、議論の参考にするために、駐輪自転車等実態調査と学生教職員向けアンケート調査を実施した。 (調査結果については後述されている。)
検討会は計4回開催された。当然のことではあるが、事故が起きてからでは遅い。教職共働の成果である本提言を安心・安全で快適なキャンパス作りにぜひとも役立てて頂きたい。

新制度の立ち上げのカギは、「休憩時間の延長」と「駐輪場の整備」であるので、大学は条件整備に向けた作業を速やかに着手して頂きたい。

平成26年3月13日

1-1.学内自転車・バイクの状況
・通学用に利用されている自転車は約700台。学内に置いたままの自転車は約1500台 (このうち半数は利用されていないと推定) 。
・無登録自転車・無許可バイクが存在。授業期間中の自転車の約3割は無登録である。
・平成25年12月、本館地区正門横の小門で自転車同士の衝突事故が発生。自転車が大破。
・乱雑駐輪と景観上の問題がある。
・危険走行する自転車がある。
・スポーツ実習履修者は旧教養地区と本館地区との間の移動と更衣に時間を要するため、第2時限と第4時限で教育ロスが発生。
・地区間移動に自転車を利用しない学生の中にも、遅刻を気にしながらゆとりのない移動をしている学生がいる。
・学情センター周辺の駐輪場では、他の駐輪場と比べて無登録自転車の割合が高い。学外者による駐輪の可能性大。

まとめ:現状の放置はできない。他方で地区間移動に自転車を利用する一定の合理的根拠がある。

1-2.学生・教職員向けアンケート調査の結果
学生・教職員向けアンケートを平成26年1月に実施した。回答者は413人であり、学生が359人、教職員が54人であった。自転車利用者は294人、自転車非利用者は119人であった。

IMG_3276IMG_3277写真=1月に実施されたアンケート

アンケート結果まとめはこちらから自転車についてのアンケート まとめ

アンケート調査の結果の図表から読み取れることは以下の通り
・ひやりとした、ぶつかったとの回答は、利用者で31%、非利用者で40%。
・自転車が多いと感じている回答は、利用者で56%、非利用者で68%。
・事故の危険を感じている回答は、利用者で67%、非利用者で70%。
・通行の邪魔と感じている回答は、利用者で65%、非利用者で77%。
・走行マナーが悪いと感じている回答は、利用者で51%、非利用者で58%。
・駐輪マナーが悪いと感じている回答は、利用者で49%、非利用者で61%。
・景観への悪影響があると感じている回答は、利用者で41%、非利用者で55%。
・授業間の休憩時間の延長に賛成する回答は、利用者で42%、非利用者で53%。
・登録料に値上げに賛成の回答は、利用者で8%、非利用者で24%。
・自転車の利用ルートでは、旧教養地区と本館地区との間で利用される割合が62%。
・無登録の自転車利用者に対して、登録している自転車利用者との間で不公平感がある。

まとめ:自転車が多く、走行・駐輪マナーが悪い。歩行の邪魔とも感じている。事故の危険も感じている。自転車の利用ルートでは、旧教養地区と本館地区との間で利用される割合が一番高い。登録自転車の利用者は無登録自転車利用者に対して不公平感を持っている。
以上より、事故が起きてからでは遅いのであり、対応が必要だと考える。同時に不公平感をなくす必要がある。

2.自転車利用を考える価値軸の転換とあるべきキャンパス像

価値軸の転換
・自転車利用を考える価値軸として、「利便性」「安心・安全、快適」「景観」を設定した場合、これまでは「利便性」軸を大前提として、それに伴う措置が取られてきた。駐輪場についても、利便性を前提に配置してきた。しかし、今や自転車の増加により駐輪場が確保できないし、大事故がいつ起きてもおかしくない状況にある。よって、今後は、歩行者の「安心・安全、快適」を第1に、加えて大学の「景観」確保を優先した発想が求められる。
・他方で、自転車の学内移動を必要とする現実もあるので、これらに対しては必要な措置を講じなければならない。学生にゆとりある快適な学内移動を保証する必要がある。遅刻 (教育ロス) を気にすることなく、安心して移動し受講できる環境を用意する必要がある。

3.安心・安全で快適なキャンパスを実現するために具体的提言

安心・安全で快適なキャンパスを実現するための考え方を整理すると以下のとおりである。

(原則等)
・通学通勤自転車の未登録を認め、かつ駐輪場の利用を認める。
・登録希望者は、所定の書類に必要事項を記入し申請することとする。
・自転車利用者は登録料を支払う。
・キャンパス内の自転車走行は原則禁止とする。
・自転車の学内押し歩き利用は認める。
・以上の原則は学生・教職員に適用される。
・登録自転車の利用者が不公平感を抱かないよう、制度を厳正に運用する。
・通学通勤用以外であっても所属長が許可した場合は、自転車の登録を認める。
・教育業務・学内逓送・郵便配達・生協業務・緊急対応については、れ外として自転車の学内走行を認める。

(通勤・通学の定義)
・杉本町駅利用者の自転車通学・通勤は認めない。他の駅からの自転車通勤・通学は認めるが、当該駅駐輪場の利用証明を提示するものとする。
・通勤通学時間が徒歩15分以内の場合は自転車での通勤通学を認めない。

(休憩時間と授業開始時間の変更)
・上記の原則を適用するため休憩時間を10分から15分へ5分間延長する。
・第1時限目と第2時限目の間の休憩時間、第3時限目と第4時限目の間の休憩時間、第4時限目と第5時限目の間の休憩時間を15分とする。第5時限目の終了時間は午後6時となる。
・第1時限の授業開始時刻と第3時限目の授業開始時刻は従来通りとする。
・第2部の授業開始時刻を午後6時10分に変更する。

(周知と周知事項)
・駐輪場に止めてある無登録自転車の保管場所への即効移動、保管場所と保管期間。返却手続き、廃棄処分について内容を掲示で周知する。
・駐輪場以外に止めてある自転車 (登録自転車・無登録自転車) の保管場所への即刻移動と返却手続きについて周知する。

(登録できる自転車)
・原則通学通勤用であること。
・整備不良自転車は登録できない。
・防犯登録をしており、かつ対人対物賠償保険に加入している。

(学術情報総合センターの一般利用者)
・所定の手続きをしたうえで、指定の駐輪場に自転車を止めるものとする。

(自転車の共用制度)
・学生支援課に無料の自転車を学生支援課に無料の自転車を10台配置して必要に応じて貸し出す。
・貸出手続き、貸出時間等については学生支援課が定める。

(自転車利用者への安全教育とマナー教育)
・大学周辺での自転車の乱暴運転や迷惑駐輪に関して、市民から苦情、警察から指導要請が来ており、自転車利用者に対し啓発を行う。

(無登録自転車および決められた場所以外に駐輪する自転車への対応)
・ルールを守っている利用者に不公平感を抱かせないように厳正に対応する。
・発見しだい、即刻保管場所へ移動する。
・保管場所へ移動された後、ひと月間引き取り手がない自転車は廃棄処分とする。
・無登録自転車の引き渡し時には、条件を満たしていることを確認したうえで登録させる。
・2回所定の場所以外に駐輪した場合、自転車登録を取り消す (払い戻しはしない) 。その後3か月は再登録は認めない。

(自転車駐輪場の整備とロケーション)
・駐輪場のロケーションは、キャンパスに入ってすぐの場所とする。確保すべき台数を考慮すると以下の通り6か所となる。

IMG_3278写真=駐輪場エリアマップ

・駐輪スペースは全体で900台とする。上記6か所に配分する。

(登録料)
・登録料については、施設整備費と関連運営費を考慮し金額を決める。
・算定根拠を開示する。
・登録料の一部を使って、自転車保険 (団体保険) に加入することも考えられる。

4.実施プロセス

・実施に際しては、休憩時間の延長、駐輪場の整備という2つの関門を考慮して、以下の通り、2つの段階に区分して取り組む。
・平成26年度は現行制度の厳正な実行の1年であり、 かつ平成27年度の新制度の立ち上げに向けた条件整備と制度変更の予告期間として重要な1年である。
・重要な周知事項 (特に無登録自転車の即刻移動と保管場所) については、施行前に周知期間を定めて周知徹底する。
・重要な周知事項については、関係場所に常時掲示する。

4.1 第1段階:現状の条件下で (平成26年度)

(新制度発足に向けた条件整備)
・6か所の駐輪場のうち未整備の駐輪場について整備を完了する。
・平成27年度より1時限目と2時限目の間の休憩時間、3時限目と4時限目の休憩時間、4時限目と5時限目の休憩時間を15分に延長する。また、平成27年度より第2部の授業開始時刻を午後6時10分に変更する。これらの制度変更を平成26年度前期中に決定する。
・平成26年度の新規登録時に平成27年度からの制度変更について周知する。

(啓発活動)
・自転車の安全運転とマナーについて啓発を行う。
・入学式後の学生担当オリエンテーションおよび自転車登録時に啓発文書を配布する。
・掲示板やポータルサイトを用いて適宜啓発を行う。

4.2 第2段階

・登録できるのは、原則として通学通勤用自転車に限る。
・登録自転車は3地区の入り口わきに整備された自転車専用駐輪場に止めるものとする。
・キャンパス内の自転車走行は原則としてなくなる。
・キャンパス内の自転車の押し歩きは認める。
・ルール違反の自転車・バイクに厳正に対処し、不公平感が生じないようにする。
・学内共用自転車制度の運用が始まる。
・6か所以外の路上駐輪はすべては廃止とする。教育業務・学内逓送・郵便配達・生協業務・緊急対応対応の自転車利用者のために現在ある屋根付きの駐輪場は残す。
・自転車の安全運転とマナーについての啓発を続ける。

From Editor

上記の「提言」や1月に実施されたアンケートの内容・結果については、大学側の見解によると、学生に対して秘匿していたというわけではなく、学生側から問い合わせがなかったため内容について開示していなかったのであり、学生側からの要望があれば開示するつもりだったという。
もちろん学生側が主体的に動かなければならないという言い分は理解できるが、今回の一連の自転車押し歩き問題については、あまりにも学生に伝わる情報が少なく、だれが・何を・どうやって議論しているかが全く不透明である。学生生活にかかわる重大な問題が、学生に見えない形で大学側が議論を進めていくことに大きな違和感を感じざるを得ない。学生の自転車マナーも悪いが、大学側の議論の進め方も非常識でマナー違反である。
キャンパス内自転車走行規制が始まって4か月余りたつが、ほとんどの学生は守っていない。それは、多くの学生がなぜこのような施策がはじまったのかを理解できず、そしてその施策の必要性について納得できないからではないだろうか。
このように学生から見て施策決定の過程や議論の内容が全く見えない不十分な状態で、施策の実施だけを急ぐと、学生の賛同を得られず、問題の根本解決には全くつながらない。
広く学生に情報開示し、学生の意見を集め、お互いに徹底的に考え、議論し双方が納得のいくより良い形の施策を生み出さなければ、問題の根本解決にはつながらないであろう。

今回の自転車走行規制問題に限らず、このような一方的なやり方で議論を進めていくことを黙認してしまうと、我々の学生生活に大きな影響を与えかねない。先月開催されたBOX総会でも自転車走行規制について再検討・撤回を求める決議が可決され、大学側に提出された。また現在も署名を集めている学生もいる。このような学生側があげている声も尊重したうえで、よりよいキャンパスづくりを進めていくべきではないだろうか。
また、我々学生も思うことがあるならば、誰かが先陣を切って行動するのを待つのではなく、自らが率先して行動し、大学に自分たちの声を届けなければならない。さらに今回の問題の根本は我々にもあるので、このような施策作らなくてもいいようにマナーを向上を学生内で働きかけていく必要があるだろう。

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すでに施行されている・今後施行されうるさまざまな規制や施策について、学生・教職員がどのように感じているのかを広く集め、調査するためアンケートを実施しています。ぜひご協力ください。
回答はこちらから↓
杉本キャンパス内自転車利用についてのアンケート

文責

町田和紀 (Hijicho)


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