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コロナ禍での映画製作 群馬大学映画部


 2020年はコロナウイルスの流行により、多くの学生が生活様式の変化を余儀なくされた。そんな中、「コロナ禍でもできる創作活動はある」という一つの思いから、120を超える全国の大学映画サークルによるオムニバス長編映画企画『突然失礼致します!』が2020年4月から始動した。本作品は2021年1月16日から、群馬県高崎市の高崎電気館にて第1回の上映が始まり、以降全国主要6都市の劇場で公開予定である。企画の発起人となった、群馬大学映画部【MEMENTO】の部長を務める熊谷宏彰さん(社会情報学部・4年)に、企画の概要やコロナ禍での作品制作についてお話を伺った。

『突然失礼致します!』の告知ポスター=熊谷さん提供

 ──合同映画企画『突然失礼いたします!』は今年の4月から始動したとお聞ききしました。その経緯について教えてください。

 この企画は、コロナ禍での現状に同じ不満と葛藤があった全国各地の大学映画サークルのみなさんとの交流から始まりました。

 私が部長を務める群馬大学映画部は、2019年の10月に設立された新しいサークルです。設立から半年間は、映画を作るノウハウなどを学ぶ準備期間を設け、今年度から本格的に活動を始める予定でした。しかし、今年はコロナウイルスが流行し、その感染拡大防止のため、4月当初は課外活動どころか学内に立ち入ることすらできませんでした。オンラインでの交流会を設けて新入部員を増やすことには成功しましたが、サークル活動は停止せざるを得ませんでした。そのとき、他の大学の映画関連サークルの皆さんが今どんなことをしているのか興味をもち、関東の大学を中心に様々な大学映画サークルの方へ連絡をとってみました。

 はじめに早稲田大学と高崎経済大学の映画サークルの方と連絡がとれたので、私たちを交えた3つのサークルでの合同交流会を行いました。そこで得た学びが2つありました。1つ目は、他の大学のみなさんもコロナ禍で満足な活動ができない葛藤があること、2つ目は、自分から声をかけて主体的に行動すれば、賛同してくれる人は必ずいるということです。まだ設立から間もない私たちからの連絡に早稲田大学や高崎経済大学の方たちが快く応じてくださり、意見交換ができたのなら、他の大学の映画サークルのSNSアカウントに対して片っ端からコンタクトをとろうと思いました。その結果、やはり他の多くの大学も同じ思いを抱えていることが分かりました。それから30ほどの映画サークル団体の皆様に参加していただいた意見交換会議にて、コロナ禍でもできる取り組みとして大学映画サークル全体の合同企画を提案しました。映画製作実績のない我々の提案だったにも関わらず、どのサークルも賛同してくださいました。その会議での手ごたえから、日本の東から西まであらゆる大学映画サークルへ合同企画の制作メンバーを募り、作品の企画書を制作しました。

企画の意見交換会の様子=熊谷さん提供

 ──本作の上映計画について教えてください。

 合同作品を上映するにあたって、クラウドファンディングにて制作予算を募りました。

上映は群馬や東京のミニシアターをお借りして行う予定だったのですが、クラウドファンディングで募った資金が必要予算を大幅に超えたため、先ほどの2か所に加えて京都・神戸・広島・福岡のミニシアターでも上映できることになりました。2021年の1月16日に群馬県の高崎電気館での上映を開始し、それから順次他の地域での上映を開始します。

 ──コロナ禍での合同作品の制作において、工夫したり意識したりしたことを教えてください。

 合同作品の制作にあたって、参加された各団体のみなさまには3つのルールに則った作品を提出していただきました。

 1つ目のルールは、「希望」をテーマにした作品を撮ってもらうことです。参加団体の皆様による様々な「希望」という言葉の解釈が、それぞれの作品に表れています。本作は複数の映像作品を順番にまとめたオムニバス形式の合同作品ですが、話の内容に共通のテーマによる一貫性を持たせようと考え、コロナ禍においてこの作品を観た方が希望を持てるようにという願いをこめて、テーマを「希望」に設定しました。

 2つ目のルールが、各作品の再生時間を1分間に収めることです。120を超える団体の方々が作った作品1つ1つの再生時間は短いですが、一つにまとめると5〜6時間を優に超える長さになってしまいます。劇場で上映できる長さにするためには、作品1つ1つの時間を短くする必要がありました。

 3つ目のルールが、いわゆる「3密」を避け、屋内で撮影した作品を制作してもらうことです。コロナ禍で行う作品制作だったので、感染対策を厳守した撮影を行うようお願いしました。我々群馬大学映画部では、室内かつ最少人数で撮影を行いました。基本的にカメラマンと演者合わせて2人だけが撮影現場にいるようにして制作しましたね。

 ──ネタバレにならない範囲で作品の魅力・見どころをお聞きしてもよろしいですか?

 先ほど述べた部分と少し重複しますが、参加団体の皆様が思い描いた、それぞれ全く別々の「希望」の解釈が作品に表れたところが本作の魅力だと思います。また、作品のジャンルも時代劇やSF、特撮やアニメーションなどあらゆる種類を網羅しております。多様な作風を楽しんでいただけたら幸いです。

 ──作品制作において、大変だったことはなんでしたか?

 特に大変だったことは2つありました。

 1つ目が企画に参加していただいたメンバーの方のモチベーション維持でした。合同企画の映像作品が集まった後、制作委員会がそれらを編集してまとめたり宣伝したりする工程があるのですが、その他の各参加団体の皆様は、作品制作が終わった後特にやることがありません。参加していただいた方々が企画に関心を持ち続けてくださるよう、制作に関わった方へ感想インタビューや、外部の映画祭イベントとのタイアップ企画を実施しました。

 2つ目が著作権処理に関する作業でした。本作は複数の団体による合同作品なので、共同著作物という形式をとっています。企画に参加するにあたっての規約書を参加団体の皆様に書いていただき、各作品の法的な著作権と上映後の取扱いについてトラブルが起きないよう事前に取り決めを行ったうえで制作していただくようにしました。

 ──作品を作る上で、熊谷さんの印象に残ったことはなんでしたか?

 企画を始める前は、全国の映画サークルが一丸となって合同作品をつくるという前代未聞の試みが本当に実現するとは思わなかったので、段々と作品が出来上がっていく過程が印象的でした。また、AbemaTVなどのメディアの方々に企画について取り上げていただいたり、第一線で映画制作を行う著名な監督や俳優の方々からコメントをいただいたことも印象的でした。自分たちの取り組みが評価されていく過程が楽しい経験だったと思います。

 ──群馬大学の映画サークルが設立された経緯についても教えてください。

 僕自身は元々映画を観るのが好きなタイプで、映画の制作を大学のサークル活動で行うという発想がそもそもありませんでした。しかし、僕が群馬大学に3年生から編入した際に、居候先の先輩から映画制作をサークル活動にする団体が他の大学に存在することを初めて教わりました。自分も大学生のうちに映画を撮ってみたいと思い、大学の秋学期(10月ごろ)から映画制作のメンバーを集めて群馬大学映画部を立ち上げました。

 ──思い立ったらすぐに動ける熊谷さんのフットワークの軽さが、本作の原動力になっているんだと思います。

 ありがとうございます。学生でいられる間はどんなことでもできるはずだ、何でも挑戦・実践してみようというのが僕のモットーです。前の大学にいたときも、友人とテニスサークルを立ち上げた経験があり、自分のやりたいことが見つかればそれに向けて何でも行動してみようという姿勢が自分の中で当たり前になっていたことも、今回の企画を始動する助けになっていたかもしれません。

 ──熊谷さんが大学を卒業された後も、群馬大学映画部の皆さんは映画制作を続けられるおつもりですか?

 今のところは特には考えておりません。自分がいなくなった後は、サークルが自然消滅する可能性もあります。

 大学生の4年間で、色んなサークルに所属して分かったことがあるのですが、サークル活動というものは消えかけの聖火リレーのようなものです。先輩から何代に渡って伝統的にサークル活動を続けていくことはもちろん尊いものですが、自分としては先輩からただルーティンとして引き継いだサークル活動を続けていくことに意味を感じません。自分の代でできる活動はやりきりましたし、今までの活動の残り火をさらに大きくするか、火を消して新たな活動に精を出してもらうかは、後進の方々に委ねるつもりです。

 ──最後に、熊谷さんからのコメントをお願い致します。

 この映画は一つの固定観念の破壊を狙ったものです。映画は人が集まって制作するような、3密が避けられない現場体制が取られると思われるかと思いますが、この企画は実際に人が現場に集まらなくても映画の制作が可能だと証明しました。コロナウイルスの感染拡大を抑制するため、自粛期間が続いておりますが、外出の自粛はしてもみなさんの活動が自粛を要請されているわけではありません。この企画が、映画を観た人1人1人が何らかの行動を起こす一歩を踏み出すきっかけになれたら幸いです。早くて来年の3月、遅くとも夏ごろには関西圏でもこの作品の上映が行えると思いますので、ぜひご覧ください。

企画『突然失礼致します!』の公式Twitterアカウントはこちら

群馬大学によるプレスリリース記事はこちら

文責

橋本崇俊、竹中涼、大川隆明(Hijicho)


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