「おもろい学生おりまっせ!」は、大阪市立大学で活動している個性あふれる大学生を取り上げ、紹介していくコーナーです。「市大に存在する興味深い学生の素顔に迫り、学生同士の興味・関心を誘発させること」をコンセプトにしています。
皆さんはボカロ部をご存じだろうか。音声合成システムVOCALOIDにより女声の歌声を合成することのできるソフトウェア音源「初音ミク」を愛する人たちによる団体であり、本年の銀杏祭では8号館ステージに初音ミクを出現させるライブを行った。今回の「おもがく!」ではボカロ部を立ち上げた部長の溝口大将(文・4年)さんを取り上げる。
溝口大将さん=本人提供
——「ボカロ」とはどういったものですか?
簡単に言うと歌唱合成ソフトです。メロディーと歌詞を入力すると初音ミクなどのバーチャルアイドルが歌って踊ってくれます。登場してから10年が経ちますが、サブカルチャーという枠組みを超えた「ボカロ」という一つのジャンルとして年齢、性差を問わず楽しまれています。
——初音ミクを好きになったきっかけは何ですか?
もともと電子音楽が好きだったので中学時代に発表されてから興味を持っていました。高校生になってソフトを購入してからは、音楽を打ち込んでカバー曲を歌わせたりしていました。でも、ボカロが好きだということを周りの人には話していませんでした。馬鹿にされたり変に思われたりするのかな、と思ってしまったり。
——今では初音ミクのTシャツやグッズを身につけていらっしゃいますよね。
そうです。大学に入って感じたのは、自分が自分であることを皆がすごく認めてくれるんだなということです。じゃあ隠さなくていいんだ、と思って日本橋でミクTシャツを買って大学に着て行ったらとてもウケがよくて。冬は寒いので服ではなくぬいぐるみを持ち歩いています。ミクセーターが発売されるのを待っています(笑)。
——ボカロ部をご自身で立ち上げて、今年の銀杏祭では教室展示、8号館ライブが大盛況でした。
1年の新歓期でサークルを回ったのですが、どれもしっくりきませんでした。なら自分でつくろうと思って友人を誘って創設しました。しかし今年まで団体として活動はあんまりできておらず、このままなら廃部になってしまう。それはダメだと思い新歓に力を入れました。するとまさかの新入生が9人も入部してくれました。
せっかく入ってくれたから何かしようと話し合い、「銀杏祭に初音ミクを降臨させよう!」と決めました。曲を作ったり、機材を集めたり、踊らせたり、1年生が熱意を持ってそれぞれの個性を発揮してくれました。本番では、部員の知らないガチの初音ミクファンがサイリウムを持って盛り上げてくれたりして(笑)。
教室展示ではモーションキャプチャーを使って初音ミクを動かした。=8号館で11月4日、中村伸二撮影
——個人として初音ミクとフランスを掛け合わせた活動をしている?
これまで初音ミクは日本語と英語しか話せませんでした。大学で専門で学んでいるフランス語を話してほしいと思い、言語学の他に音声学を独学で学びました。日本語と英語の発音を組み合わせ、メロディーでイントネーションをつけることによってフランス語っぽい言葉を話せるようになりました。「オー・シャンゼリゼ」を歌わせたりしています。
VOCALOIDの入力画面=本人提供
また、初音ミクが解説するフランス語とドイツ語の教科書の発行や、私のフランス旅行記を初音ミクが写った現地の写真とともに紹介する同人誌を作りました。フランスはボカロなど日本の文化への理解が深いので大好きです。また行きたいですね。
自作の教科書と旅行記=本人提供
——座右の銘は?
二つあります。一つは古代ローマの詩人ホラティウスの「今日の花を摘みなさい(Carpe diem.)」です。何気ない毎日を大切にしなければ、と気づかされた言葉です。
もう一つは20世紀のフランス作家コレットの「馬鹿はやっても構わない、でもどうせやるなら一生懸命やりなさい」です。他人の目を気にせずに自分がどうであるかが重要だと教えてくれました。
——20万円あったら使い道は?
めちゃくちゃ迷います、やりたいことだらけなので。初音ミクのライブ、ソフト、グッズはもちろんだし、フランスにも行きたい。小説や学術書も買いたいです。おいしいご飯も食べたい。20万を元手に宝くじを買って100万円ぐらいに増やします!
——もし1年生に戻れるなら何がしたいですか?
必修の授業を早めに履修します。他学部の授業をとりすぎて現在208単位なのですが、必修がまだなんです。
——市大生に一言
市大にはまだまだボカロが好きなことを隠しているむっつりボカロファンが大勢いると思っています。ボカロ部でお待ちしています!
文責
中村伸二(Hijicho)
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