オンライン授業が導入されてから約1年半。みなさんはどのような感想を持っているだろうか。
友達との交流が減って寂しい? 議論ができなくて不便? それとも自分のペースで進められて効率的?
この記事では、学生と先生それぞれ3名に話を聞き、オンライン授業のメリット・デメリットについて考える。
今回も先生編。経済学部の中川満先生にお話を伺った。
中川満先生(経済学部)
取材日:6月4日
中川満先生 プロフィール
大阪市立大学経済学部教授。主な研究分野は統計解析、経済統計。
——先生が担当されている授業は、現在どのような形態で行っていますか。
ゼミはオンラインの双方向形式、講義は発展形式で行っています。私に限らず経済学部の先生はこのような形式での授業が多いのではないでしょうか。去年は学部の講義を資料を配布するだけの通常形式で行っていましたが、学生の方からの苦情の声が非常に多かったために発展形式となりました。
——オンライン授業になって生活リズムに変化はありましたか。
出勤をする必要がないので、やはり変化はありました。また1限の講義のために朝4時や5時に起きることはなくなりましたね。
——オンライン授業になって困ったことはありますか。
オンライン授業が始まってすぐの頃はPCに備え付けられているマイクを使用して講義を録音していたので音質に問題がありました。ただ今は機材を買い揃えたのでかなり満足できる状態です。他には、何をスライドに載せればいいか、テストや課題の作成も難しかったですね。一番困ったことは、聴衆となる学生がいない中で講義を録画しなければいけなかったことで、今でも苦痛に感じています。毎回異常に緊張してしまって、いつも以上に言い間違いが多くなったり早口になってしまいます。解決方法をインターネットで調べた結果、今はメトロノームの音を聴きながらそれに合わせて話すことで、なんとか克服してきています。
——では、オンライン授業になって良かったことはありますか。
これは対面授業ではできないな、と思うようなことでもオンライン授業ならできるようになったことですね。最近の例でいうと、統計の授業で講義動画と一緒にExcelファイルを配布することで、学生各々がモチベーションが高まったタイミングで動画を視聴してExcelを操作することができます。対面授業では全ての学生が講義にPCを持ってきているとは限らないので、これは以前では考えられないことでした。そういった意味では講義の自由度が広がったと感じています。
——対面と遠隔どちらの方が準備が大変ですか。
もちろん遠隔の方が大変ですね。対面授業の時は喋りながら簡単に板書を書くだけだったので、準備はどんなことを喋るか決めるだけでした。それが遠隔では板書を最初に作っておく必要があって、そのスライドの説明も考えておかなければいけないため、準備はとても大変になったと思います。
——オンライン授業で工夫していることはありますか。
まず、オンライン授業ならではの自由度を生かすようにしています。またこれはゼミで行っていることですが、去年1年間の経験を踏まえて、研究のためにやるべきことだけを追求していくとゼミ生同士の交流がなくなってしまうことが分かりました。そこで、あえて必要でないことを話すことによって相互の繋がりを育むことができるのではないかという考えから、講義の後に10分ほど雑談の時間を作っています。
——仮にコロナ禍が落ち着いて授業形式を選択できるとしたら、対面と遠隔どちらを選びますか。
対面を選択すると思いますが、講義動画や統計で用いるExcelファイルなどのコンテンツをオンラインで提供したうえで質問コーナーのような立ち位置になるんじゃないでしょうか。それ以前のように、黒板に板書をして喋って、という形式の授業はやらなくなると自分の中では思っています。学生の理解するスピードも一人一人違うので、その都度動画を停止して考えたり、手を動かしながら動画を視聴したりということができる点で現在の形式の方が学習の効率が良いですよね。オンライン授業の時にできていたことのレベルを、対面になったからといって落とすわけにはいかないなと思います。
——最後に学生にメッセージをお願いします。
そうですね、我々は今、コロナウィルスのおかげで宇宙時代の先駆けに立っていると思うんですよ。例えばこのインタビューはzoomで行われていますが、もし私が遠くの星にいたとしても同じ形態でお互い会話することができるわけですよね。つまり私たちは今、宇宙時代と同じコミュニケーション方法をし始めていると言えるんです。そうするとオンライン授業もまた、宇宙時代の教育ツールということができます。そういったつもりで私たち教員も様々な準備をして、従来とは違う次元での教育ができるようにと考えているので、それを受講する学生の皆さんも単位のためだけではなく、自分たちは宇宙時代の教育を受けているのだと自覚を持って講義に取り組んでもらえると、お互いにポジティブな気持ちでオンライン授業に立ち向かえるのではないかと思います。
文責
大川隆明(Hijicho)
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