学情前ですれ違った人が中国語で会話していた、食堂でヨーロッパ人が集まっている、なんて場面に遭遇すると、迷惑とわかっていてもその人たちを凝視してしまう。ついそんな人たちに興味が湧いてしまうのだ。かといって用もないのに「はじめまして」と声をかけるわけにもいかず、やっぱりガン見、おっといけない……。これは私だけではないのではないか。
かくなる仮説に基づいて、市大で見かける外国人留学生はどんな人々なのかを知ろうと取材を試みた。こうすれば失礼にガン見する必要もない。
相手はディアナ・ヴィッテンベルクさん。ドイツのハンブルク大学からの交換留学生で、日本語学習の一環として9月末から市大に半年間在籍する。
「将来は翻訳家になりたい。訳すのが楽しいから」と話すディアナさん=Global Villageで10月13日(木)、竹内勇気撮影
竹内 日頃大学ではどんなことをしているんですか。
ディアナ まだ日本に来て2週間くらいしか経っていないんですが(10月13日現在)、いろんな授業を受けたり、文学部ドイツ語コースのゼミの学生どうしで日本語とドイツ語を教え合ったりしています。昼休みや空きコマは、食堂で留学生どうし集まっていることが多いです。
竹内 どうして市大文学部に留学を決めたのですか。
ディアナ ハンブルク大学にいるときに日本人の交換留学生が何人もいたのですが、多くの人たちが関西弁をしゃべっていて、関西弁って面白いなと思ったんです。そうすると関西で交換留学できるのは桃山学院大学と市大だけだったので、いろんな学部やコースの授業がたくさん取れるし、私は都会に近いほうが好きなので市大にしました。でも関西弁は全然しゃべれないです。
竹内 関西弁って、柔らかい言葉遣いになって、言いにくいこともマイルドに伝えられるコミュニケーションがとりやすい言葉ですよね。でもいざ関西弁を口にすると、関西人って愛知県出身の私には厳しくて……。
ディアナ わかります(笑)。
そもそも、日本語ってきれいな言葉だと思います。ドイツ語だと「シュ」とか「イッ」とかいう強い発音が多いんですが、私は日本語の滑らかに発音するところがきれいで好きです。そういうドイツ人周りにけっこういますよ。
竹内 日本語はきれいだから好きだっていう外国人に何人か会ったことがありますが、そういう人って多いんですね。確かに日本語はきれいだと思うけど、そう言われるとなんか嬉しいです(笑)。ディアナさんはほかには何語ができるんですか。
ディアナ ドイツ語と日本語のほかには英語とロシア語ができます。あと、ラテン語も勉強していました。私は両親がウズベキスタンとカザフスタン出身なんですよ。だから家では私と弟はドイツ語をしゃべり、両親はロシア語をしゃべるっていう会話をしてます。
竹内 ええっ! すごく不思議な家族ですね。
ディアナ 確かにそんな家庭はあんまりないかもしれないけど、ドイツは外国人がたくさんいるからすごい変わっている訳じゃないんですよ。日本だと、座っていると周りからの視線をよく感じますが、ドイツじゃそんなことありません。最近は道で見知らぬおじさんから「姉ちゃんアメリカ人か?」って声かけられたんですよ(笑)。
竹内 僕が今回インタビューしている理由もそんなところにあるので、確かにそうだなと思います。日本ってほとんど日本人ですもんね。最後に、日本人のここが変!と思ったところは何かありますか。
ディアナ 荷物や特にスマホで席を取る人がたくさんいることですね。ドイツじゃ盗られるかもしれないから絶対しません。あと、女の子たちが人前で鼻水をかまないことです。トイレで鼻水をかむ人もいるみたいで。ドイツじゃ鼻をかむときはさすがに人のいない方を向くけどトイレまではいきません。
竹内 女の子たちってそんなことしているのか(笑)! 確かにちょっと変わってますね。
今日はありがとうございました。
今、ディアナさんは日本語の勉強のために電子辞書が欲しいそう。しかし、一番欲しいものはと聞いたら、電子辞書ではなく「ドイツのパンが欲しい。日本のパンは柔らかくて甘いだけで……」とのこと。私も米がなかったらそう思うんだろうなあ。
文責
竹内勇気(Hijicho)
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