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寄稿連載 ◇ 就職活動に「失敗」したからこそ、伝えたいこと (第5回) 中小企業への就職は「失敗」なの?


5月も過ぎ、就職が決まった方も多い時期と思います。就職活動を終えても、会社でやっていけるか不安があると思います。全三回にわたり赤裸々に就職活動体験記を綴ってきた私ですが、最終回は個人的な意見として ①中小企業への就職 ②女性と仕事について述べたいと思います。

寄稿していただいているのは上山幸穂さん (法学部2009年入学、13年卒) 。
全5回にわたって、ご自身の経験を基に、就職活動について書いていただきます。
今回が連載最終回。「中小企業」「女性」をキーワードに自身の就活を締めくくる。 (計3ページ)
1ページ目 「失敗」と言われた内定先
2ページ目 女性と仕事
3ページ目 大学生と就職活動


 

「失敗」と言われた内定先

『就職活動に「失敗」したからこそ伝えたいこと』このタイトルをつけた由来は、内定を報告した時に言われた父親の言葉にあります。

説明会は100社以上、エントリーは50社以上。諦めずに就職活動を続け、7月初旬に今の会社に内々定を頂きました。父に祝ってもらえることを楽しみにしていましたが、父の第一声は「妥協で就職活動を終えてええんか?就職活動に『失敗』したんやから、もう一年がんばったらどうや。」という一言。大手企業に勤めていた父にとって、中小企業に就職することが「失敗」に映ったようです。

父は以前から「娘には公務員になって、地元で結婚も出産もして、自分の面倒を看てほしい。」という願望を持っていました。父の意に反した結果を告げる事に不安を覚えていましたが、一緒にご飯へ行くような仲良し父娘だっただけに、自分の意思を尊重してくれない対応にはひどく落胆しました。結局父には理解してもらえず、卒業直前まで揉めてしまいました。進路を決めるのは自分自身、と割り切って今の会社に就職し家を出ましたが、父に自分自身の決断を応援されない事は正直寂しかったです。

父親が反対している大きな理由の一つが給与や待遇面です。確かに、大企業と中小企業で差はあるでしょう。正直に言うと、新卒の給与は大手とさほど変わらないので心配していないのですが、安定性や昇給面など将来の不安はあります。ただ、私の場合、ブラック企業ではないし、贅沢な生活よりも仕事に励みたいので、きちんと人事評価をしてくれそうな現状に満足しています。

また、推測ですが父の反対する一番の理由は「会社の知名度がないことによる不安」だと考えます。内定を報告した時に言われて印象的だったのは「何のためにいい高校入って、いい大学入るために努力してきたんや。そんな会社に入るために、頑張ってきたわけじゃないだろう。」というセリフ。「いい就職」をするために「いい高校、いい大学」へ行く。父のいう「いい就職」とは「安定企業」だそうですが、例示を聞く限り名の知れた企業のことだと感じます。父は団塊の少し下の世代だからか、「安定企業」志向が強く、実際に昔は有名企業に入ることで安定した生活が保証されたのだと思います。また娘の勤める会社が有名企業だったら、父も世間体的に幾分の満足感を得られたことでしょう。

ところが、私の会社は、社名を言っても「へぇー、どんな会社?」と聞き返されるだけで、名前で「すごい」と言われる事はありません。実際、その点では大企業の友達を羨ましく思ったことはあります。でも、今世間が良いと言っている企業が30年後も好調とは限らない。会社の規模よりも、私のように自分に合った風土・環境を重視する人もいます。だから、私は中小企業が一律に失敗だとは思いません。

今思うと、就職活動を始めた当初の私の考え方、安定志向、公務員願望、中小企業蔑視などは父の影響が大きかったと思います。きっと仕事選びとは自分の意思で選ぶように見せかけて、実際は身近な人の影響を多いに受けているものです。しかし、大事なのは「自分」が重視する判断基準。私は最初「大手か、安定か」といった世間一般の基準で決めてきました。でも、最後には「会社の雰囲気や上司、自分のキャリアアップの可能性」など、自分に近い基準で会社を選びました。私はたくさんの社会人の方のお話を聞くなかで「どこ」 (大企業or中小企業) で働くかよりも、「どんな立場で」 (総合職or一般職) 「誰と」 (どんな先輩社員?) 働くかの方が自分に与える影響は大きいと思うようになりました。世間や父の意見より、実際に自分の目で見て聞いて考えたことを信じた方が、将来振り返った時、自分の決断に後悔しないのではないかと考えたのです。

「仕事選びの基準は何か」というのは、面接でよく聞かれる質問です。「日本のモノづくりを支えたい」等とビジョンを掲げるのも大切ですが、一度原点に立ち返って「まったり働きたい」とか「激務でも高給がいい」とか、なるべく自分に近い基準をしっかり持つことが大切だ、と私は思います。

次ページ 女性と仕事


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コメント

    • 上山幸穂
    • 2013年 6月 10日

    上山本人です。
    最後まで読んで頂きありがとうございました。予想以上に多くの方に読んで頂き、嬉しく思っております。

    ただ大学の友人にも内緒で記事を書いてたため、いまいち読者の反応が伝わってこないまま卒業を迎えてしまいました。今さらですが読者の方の感想が気になっています。

    もしご意見、感想あれば、一言メール下さい。批判でも構いませんし、就活生であれば、お悩み相談でも大丈夫です!

    以下が専用メールアドレスです。
    ueyama.hijicho@live.jp

    厚かましくて、すいません。
    他の寄稿者のようにTwitterの公開、ブログ等はしておりませんので、こういう形でご依頼させて頂きました。では、失礼致します。

    上山幸穂

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