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「窓学展ー窓から見える世界ー」


 本学杉本キャンパス内の高原記念館学友ホールで「窓学展ー窓から見える世界ー」が5月12日から6月10日にかけて、YKK AP株式会社と本学工学部建築学科との共催で開催された。「窓学」とは、「窓は文明であり、文化である」というYKK AP株式会社の思想のもと、窓を学問として多角的に研究する活動のことである。2007年に開始以来、研究者、建築家、アーティストが分野の垣根を超えて参加している。現在、「窓学」10年の成果に焦点をあて、全国で巡回展を行っている。

展示の様子=高原記念館学友ホールで5月25日、谷口結梨果撮影

 

 窓学展について、市大でのプロジェクトの代表である工学研究科都市系専攻の川口昂史さんにお話を伺った。

 ——窓学について教えてください。

 窓の機能には、通風、採光、視線という三つの要素があります。風を通す、光を取り入れる、そして窓の外からの視線を制御するということです。窓学では、この三要素を初め、建築学的な視点や漫画、芸術など、様々な視点から窓を研究しています。

 ——どのような展示でしたか。

 人類の社会的進化や日本の伝統産業と窓の関連、「ドラえもん」「サザエさん」のような漫画の中における窓の位置付けに関する研究展示です。私たち建築学生は、専門的な視点からしか見たことがありませんが、どの研究も違う視点から見ているので面白いです。例えば、芸術の観点から窓に興味を抱く人は、窓を境界として、窓の外に見える風景や、窓の内にある生活感などを意識しているように感じました。

 また、見に来る方は建築学科や生活科学部居住環境学科など、建築を専門にしている方が多いです。さらに、技術や芸術が専門の方もおり、様々な話を聞くことができるので非常に興味深いです。

川口昂史さん

 —開催までの準備期間はどれくらいですか。

 10月に建築デザイン研究室で宮本佳明教授の指導の下、プロジェクトの代表をさせてもらいました。展示計画をしたのは1月なので、準備期間はおよそ4か月です。今までの展示会場では、什器(じゅうき)に配置された窓が一列に並べられていたのですが、市大ではホールにあるガラス面と平行になるようにデザインしました。この什器は巡回展のために建築家の西澤徹夫さんが設計してくれたそうです。次は九州大学で開催される予定です。

 ——川口さんは窓の研究をしているのですか。

 私は特に窓を研究しているわけではないです。研究室では、実在する都市をフィールドに調査・分析し、それを建築の意匠へ活かす設計手法の研究を行なっています。

 ——窓の魅力とは何ですか。

 窓は家の中と外をつなぐものです。何でつながるかいろいろあります。設計の中では、風や光の入り方といったような、空間的につながることを考える方が多いです。そういった建築学的な光や風ももちろんですが、例えば視線を窓でどう制御するのか、道からの見え方がどうか、といった視線のつながりにも面白さがあると思います。

入口の様子

――窓学展を終えた感想を教えてください。

 最終的に506人の方に来ていただき、大盛況でした。これまで、各大学を巡回する窓学展では、工学部を中心とするキャンパスだったので、理系の学生が多く訪れていたのですが、今回は高原記念館学友ホールで開催したので文系の方にもたくさん来ていただくことができました。普段、窓についてじっくり考えたことがない方に、窓を様々な視点から見てもらうことができました。またこのような機会があれば、展覧会を通して、様々な視点から物事を捉えることの面白さをアピールしていきたいと思います。

 

什器…展示する際に使う机

 

文責

谷口結梨果、伊藤美緒、加藤菜々子、福田夏実(いずれもHijicho)


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