住吉で数万年前のナウマンゾウの化石発見

大阪市住吉区の山之内遺跡と平野区の長原遺跡の発掘調査では、ナウマンゾウの足跡化石が発見されました。山之内遺跡の地下約7m、長原遺跡の約3mの深さの地層から、ナウマンゾウが大地を踏みしめた足跡がたくさん発見されています。足跡の長さは30~40㎝あり、状態のよいものは爪の痕跡まで残っています。

なお、ナウマンゾウは40,000~50,000年前に急激に減少し、絶滅したと考えられています。これとちょうど入れ替わるように、日本列島では旧石器時代の遺跡が増加し、大阪でもっとも古い旧石器が35,000年前の地層から発見されています。ひょっとすると、どこかにハンターの痕跡が残っているかもしれませんね。

生駒山地の西側から上町台地までの間に広がる現在の河内平野は、縄文時代には内海 (河内湾) が広がっていました。それ以前、約120,000年前の間氷期 (かんぴょうき・氷河時代のうち、氷期と氷期の間の気候が温暖な時期) には海水面がさらに広がっていて、上町台地も海 (上町海) の中でした。上町海が縮小して、のちの上町台地が陸化していくのは約110,000年前のことだといわれています。陸地が広がっていく過程で、何本もの川が丘陵地から低地部へ向かって流れ込んでいて、このような流れの周辺には、ナウマンゾウの群れが行き来きしていたことがうかがえます。山之内遺跡では、足跡の大きさから、大人のゾウだけでなく、ヤベオオツノジカやムカシニホンジカも確認されています。

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