Episode 1 「水道管破壊者・パイプクラッシャー」
Hjicho代表を務めております片山です。新企画ということでリレー小説を始めました。まったく、小説とは難しいものであり、非常に面白いものだなと感じました。拙い文章ではありますが、どうか温かい目で読んでいただけたら嬉しいです。また、ご感想、ご質問、ご助言等ありましたら、遠慮なくHijichoのTwitterアカウントもしくは私個人のTwitterアカウントまでご連絡お願いします。
※本作品は完全なるフィクションであり、実在の団体や組織、個人とは一切関係がありません。
Episode 1 水道管破壊者・パイプクラッシャー
イラスト=片山翔太
「いらっしゃいましぇー」
春子はおままごとセットのりんごをおもちゃのレジで打ちながら、そう言った。今年でもう4ヶ月になる。子供の成長というものは早いものだ。
「おとうしゃん、おとうしゃん」
私が感慨深げに見つめているうちに、レジ打ちは済んだようだ。
「1500円でしゅ!」
春子は満面の笑みで私におもちゃの貨幣を請求する。
「ははっ、りんごとばななだけで1500円も取るのかあ。」
まだ1人で買い物など当然したことない。見よう見まねで店員さんごっこをする姿は、限りなく愛おしかった。
「あ!ばあばとじいじだ!」
田舎で大豪邸を構えるお義父さんとお義母さんが夜の散歩から帰ってきた。私は、「怪盗アニマルズ」の一員として、日々窃盗や迷惑行為に精を出している。そんな自分が嫌いだった。娘の春子もそんな私のことを嫌いになるんじゃないかと心配だった。だが、そんなことはなかった。週に1度くらいは、春子が寝る前に帰宅することができる。春子は、私と遊ぶことができるその週に1度の日を楽しみにしてくれているのだ。
「お、もう21:00だ。明日も学校があるんだろう。寝ようか。」
春子は21:00には遊びをやめ、布団に入らなければならない。
「いやだ。もっとおとうしゃんと遊ぶ」
「わがまま言っちゃだめだ。また来週遊ぼうな。」
「いやだ。いやだ。おとうしゃんともっと遊びたい」
いつもならグズグズ言いながら布団に入るのに、今日はどうしてか素直に布団に入らない。
「お母さんが帰ってくる前に寝ないと、叱られちゃうよ。」
「うー」
春子は私から離れようとしない。仕方ないので、一緒に布団に入ることにした。
「そうだ、おとうしゃんが絵本を読んであげよう。」
「ほんとに!やったー!」
そう言って、春子は自分の本棚から今夜読んでもらう絵本を選び始めた。
***
「う~、あっつい!あっつい!あっつい!」
肘野ちよは、部室のソファーで暴れながらそう叫んだ。
「仕方ないね。電力量制限でエアコンが動かなくなったんだから。」
そう。市大新部室棟では、夏を快適に過ごすことができる必須アイテム、エアコンが運転停止となっているのだ。
「なんとかしてよ、とりえも〜ん」
「クーラーの効いた場所へ移動するしかないね。」
「外へ出るなんて考えられないよ、バカだね。」
僕はこれ以上何も言わない。不毛な時間を過ごすのは、耐えられない。鳥だけに。
「じゃ、記事のネタが転がってないか、調べてくる。」
「うん。よろしく。」
バサッバサッ、翼を広げ大空を舞う。こうして僕は、いつも市大新聞の記者として、空から調査する。
(ん…?運動系サークルの学生が何やら騒がしいぞ)
僕は、その学生たちが集まる運動場横の水飲み場へ降りた。
「どうしたんですか。」
「いやあ、水が全く出なくなってしまって、困っているんですよ。」
テニスラケットを持った学生がそう教えてくれた。
「ここだけじゃなくて、トイレの水も出なくなってました!学校全体的に水が止まったみたいですー!」
もう1人の学生が、走りながら戻ってきた。
「なるほど、校内全域が断水したのですね。」
僕は、断水の原因を考える。
「とりあえず、俺たちは学生課にこのこと報告して、解散します。」
テニス部の学生たちが、ぞろぞろと帰っていく。
「ええ。情報提供ありがとうございました。」
僕は、とりあえずこのことをHijicho公式Twitterでお知らせする。
《【大学ニュース】校内全域が断水中。トイレの使用時注意》
「さて、ちよにこのことを伝え…いや、やめておこう。市大探偵とか言って、めんどうなことになりそうだし…」
「誰がめんどうだって?」
ギクッ。
「ふん。とりさんだけで解決しようたって、そうはいかないわ。校内全域が断水なんて、面白いじゃない!これは、事件だわ!真犯人がいるわ!」
「ちよ!いつから居たの!」
「ツイート見て飛んできたのよ。」
「まだ事件と決まったわけじゃないし、こういうのはよくあることだよ…」
しまった。安易にツイートをしてしまった。だが、確かになんの連絡もなく断水するなんてありえない。
「とりあえず、パトロールに行きましょう。」
ちよがそう言って歩き始めた。
「そんなやみくもに歩き回っても、無駄だよ。ここは僕に任せなさい。」
僕は羽を齧り勢いよく地面に叩きつける。
「口〇せの術!!」
「ちょ、ちょっと待って!なにいきなり他作品パクってんの!!!???」
「ぱくり…?」
「なに自分は何も知りませんでしたみたいな反応してんの!ナ〇トじゃない!口で寄せちゃってるじゃない!鳥のあんたが何寄せようとしたの??」
「試験召喚〇召喚・試獣〇喚!!!」
「だからダメダメ!!ほんとに怒られちゃうよ。」
「まあ、この話作ってる奴がド陰キャオタク大学生だからね。面白くなくて当然だよ。仕方ない。」
「急なメタ発言!?身内からも怒られそうだよ…」
「大丈夫。ブログ投稿だし、そんなに読まれないでしょ。」
「私はなんにも知らないよ…」
僕は頭を抱えてしゃがむちよをよそ目に、ぴゅーっと口笛を吹く。すると、バサバサと小鳥たちがやってきた。
「校内の水道管を調べてきてくれ。どこかで断水しているはずだ。」
小鳥たちは、ちゅんちゅんと鳴きながら飛んでいく。
「よろしくね~。」
「とりさん、あんたそんな技持ってたの。」
ちよが口を開けて呆然としている。
「当たり前じゃあないか。僕は鳥だよ。」
1時間ほど校内をうろうろしていると、調査に行かせた一匹が戻ってきた。
「ちゅんちゅん」
「なるほど、そうですか。・・・ええ。わかりました。ありがとう。」
「ちょっと、なんて言ったのよ。私にも教えなさいよ。」
ちよが怒りながらそう言う。
「ああ。校内のいたるところで水道管が破損されていたようだ。しかも中から破裂したとか、そういうんじゃなくて外から、誰かが意図的に破壊したように見えるらしい。」
ちよは、少しの間天を仰ぎ、
「やっぱり私の言った通り犯人がいるわね!」
と、意気揚々と呟いた。
「うん。だから、今からその現場へ向かう。一番損傷が激しいところへね。」
しかし、なぜ水道管を破壊した?その動機は?一体なにが目的なんだ?わからない。誰がこんなことを……。いつの間にか、空はどんより曇り空となっていた。
現場に到着。そこは、僕たちが普段憩いの場として親しみ利用する1号館前に広がる芝生広場、前庭。その前庭が見るも無残な姿に荒らされていた。地面から突き出た水道管。それらは、ボロボロに破壊され、吹き出した水道水で辺りは水浸しとなっていた。
「なによ、これ…。」
ちよは、普段とはあまりにも違う光景に絶句した。
「ひどい有様ですね。とても人の仕業とは思えない。」
ドロドロになった芝生を避けるように、少し空を飛びながら検分する。錆びだらけの水道管が不自然なように地面から自生する。ぐしゃぐしゃになった水道管の周りは、吹き出した水のせいでドロドロになっており、そのおかげで犯人の足跡がくっきりと残っていた。
「なるほど。そういうことでしたか。まさか本当に人の仕業ではありませんでしたか。」
部室に戻り、休憩をとる。
「ふぅ。外は雨が降りそうな天気ですね。」
「そんなことはどうでもいのよ!なにがわかったか、早く教えなさいよ!」
ちよは、相変わらず怒っていた。むしろ、これは怒っておらずデフォルトなのかもしれない。
「少し静かにしてくれないか。空を飛びすぎて疲れた。君は、現場で何を見ていたんだ?悲惨な光景を見てただただ絶句していただけじゃないか。」
「あんな光景見たらそうなるに決まってるじゃない!で、なにがわかったのよ。」
「この事件を起こした犯人は、人間じゃない。しかも、ただの野生の動物じゃない。僕と同じ、知性を持った動物だ。」
「う、うそでしょ?!あんた以外の知性を持った動物は政府に回収されたんじゃ…。」
「たしかに、ほとんどの知性を持った動物は回収された。でも、僕みたいに運良く回収から逃れることができた動物も少なくない。そうした動物たちは、基本的に政府から追われる身になるね。1体1匹1頭では、僕たちは生きていけない。だから、徒党を組む。そうして徒党を組み、強奪行為をする組織の中でも最大の組織、『怪盗アニマルズ』。この事件を起こした犯人もおそらくそれに所属している。」
僕は、ゆっくりとちよに語る。
「どうして僕のような知性を持った動物が生まれたか、ちよは知っているよね。」
ちよは、非常に困惑しながら答えた。
「ええ。うちの大学の某実験室でヒトの脳を持った動物を生み出す実験をしてたんでしょ?」
「そう。秘密裏に行われたその実験で、約30種の動物が生み出され、事故によりそれら動物たちが流出。今から14年前の話だね。その実験で生み出された動物たちは極端に寿命が短いんだ。その代わりに繁殖能力が高い。そのせいで、一気に街中へ知性を持った動物たちが拡大することになった。この事態を重く見た政府は、知性動物保護法を成立させ、警察が知性を持った動物を回収し保護できるようにした。保護といっても、投薬により知性を奪われるんだ。僕たちにとって、知性を奪われることは死と同じだ。」
「え、じゃあとりさんはどうして回収されないの?」
ちよが不思議そうな顔をして聞いてくる。
「それは、このキャンパス内が知性動物保護区に指定されているから。市大は、事故の責任を取るため、流出した被験体である動物たちを可能な限り保護した。でも、その数も限りがある。キャンパスは実験動物のためのものじゃない。学生たちのためのものだからね。僕以外の動物も、学生たちにバレないようにひっそりと暮らしているんだよ。」
「ってことは、怪盗アニマルズっていうのは、このキャンパスに保護されなかった動物たちってこと?」
「そういうこと。普段は人里離れた山奥で暮らしているみたいだけど、食料などの物資を奪いに街へ降りてくるらしいね。代を重ねるごとに知性も進化して、学校なども作られているみたいだよ。」
「そんな、ひどいじゃない。私たち人間の失敗を彼らに押し付けちゃだめよ……。」
「でも、僕たちみたいな得体のしれない存在は、人間社会に受け入れられないんだよ。みんな、ちよみたいにバカで無邪気で純粋じゃないんだよ。」
ちよの顔は涙で溢れていた。
ドンッッ!!バキバキ!!!
部室内まで届く轟音。
「なに!?今の音!」
ちよが驚いて窓を開ける。8号館前の広場から土埃が舞い上がっている。
「敵はすぐ近くで暴れているようだね。」
僕は、紅茶を啜りながら羽を休める。
「行くわよ。こうしちゃいられないわ。いくら理不尽な目にあわされたとはいえ、キャンパスを破壊していい理由にはならないわ。」
ちよは、先ほどの涙はどこへやら、自身の正義を振りかざす。
「行って、何するんだよ。」
「説得しに行くのよ。もうこんなことはやめなさいって。」
そんなことできるわけないだろう。地中の水道管を掘り返してバキバキにするようなアニマルに言葉など通じるわけがない。だが、僕の制止を振り切りちよは部室を飛び出した。
「うおおおお!」
ドン!バキバキ!!
荒廃した8号館前の広場で暴れるゴリラのアニマル、水道管破壊者(パイプクラッシャー)。彼と今まさに対峙する。
「あなたね!キャンパスをぐちゃぐちゃにしているのは!」
ちよが声を張り上げる。だが、その足はガクガクと震えていた。パイプクラッシャーの破壊が止まる。
「・・・?誰だ。お前たちは。」
「私は市大探偵の肘野ちよ!こっちは助手のとりさんよ!」
「どうも、助手のとりです。」
「!?お前、知性動物か・・・?」
パイプクラッシャーは、驚いたように僕を睨む。当たり前だ。保護されてきた側と迫害されてきた側では、折り合うことができない。
「そうです。私は、ここのアニマルです。」
「ちくしょう!お前らと俺たちで、一体何が違うっていうんだよ・・・。」
ー
ーー
ーーー
パイプクラッシャーの脳裏では、帰りを待つ妻の顔、そして娘の春子の顔が浮かぶ。
「あなた、今日は早く帰ってきてね」
「おとうしゃん、今日も遊ぼうね」
ーーー
ーー
ー
「ぶっ殺してやる・・・。ぶっ殺してやるよ!!!!」
パイプクラッシャーが僕に襲い掛かる。彼の拳が眼前に迫りくる。
「待ちなさいっ!!!!」
その瞬間、誰かの声が広場に響く。パイプクラッシャーの拳が止まる。誰だ?どこかで聞いたことがあるような・・・。
僕は、ゆっくりと後ろを振り返る。そこには、本学学長が立っていた。学長は、ゆっくりと歩みを始め、パイプクラッシャーへ語りかける。
「パイプクラッシャー・・・、いえ左近寺治夫さん。あなたはもうそんなことしなくてもいいのです。今までご迷惑をおかけしました。学長として、謝らせていただきます。本当にごめんなさい。」
学長が深々と頭を下げる。
「が、学長!?どうしてここに?」
ちよが豆鉄砲を食った鳩のように目を丸くしている。
学長は、ちよの言葉を無視しパイプクラッシャー、本名左近寺治夫へ語り続ける。
「17年前の事件、全責任は私たち大学側にあるにもかかわらず、すべての知性動物の方を保護することができませんでした。私は、この問題をずっと解決しようと考えておりました。そして、やっと解決の糸口が見えてまいりました。」
左近寺治夫は、驚いた様子で、言った。
「本当か!?」
「ええ。本当です。我が大阪市立大学は来年度から大阪公立大学として生まれ変わります。そして、キャンパス整理の一環で、使わなくなるキャンパスがあります。また、学生数も減少するためキャンパスにも余裕がでてくるでしょう。段階的にではありますが、皆さんをキャンパス内で保護します!」
左近寺治夫は、その言葉を聞いて涙を流した。
「うぅっ、ありがとう、ありがとう。」
ちよが彼の肩に手を置く。
「よかったわね!これで解決だわ!」
「君は何もしてないけどネ。」
僕は、ちよの肩の上に座る。
あははは、と笑う学長。ちよがもそれにつられて笑い始める。そのとき、
バンッ!
「危ないっ!!」
左近寺治夫が危険を察知し、ちよたちを庇う。
「ぐはっ…」
ばたん。左近寺治夫が倒れた。その倒れた体からは血が流れ出ていた。
「くっくっく…。まさかお前が人間どもに篭絡されるとはな。」
そこには、銃を構えたアニマルがいた。
「お、お前は!怪盗アニマルズ団長!?」
怪盗アニマルズの団長。名前は獅子堂。ライオン型のアニマル。鋭い眼光と黒光する銃を武器に野生の知性動物の世界を支配する。
左近寺治夫が倒れながらも必死にちよたちを守ろうとする。
「ちょっと、やばいじゃない!?」
ちよは、驚きのあまり目がグルグルになっている。
「うん、早く手当てしないと…。」
僕は、この状況で最善の策を考える。考えられる最善策は、やはりこれしかない。
「学長・・・」
「あぁ、わかっているよ。」
彼の足元にはすでに魔法陣が描かれていた。
「え、なになに?学長はなにしてるの?救急車はやく呼ばなきゃ・・・」
ちよは倒れている左近寺治夫をなんとか立たせようとする。
「その必要はないよ。学長の医療魔法で応急処置をする。公に認められないアニマルに救急車を呼んでも無駄だよ。」
僕たちは、左近寺治夫を魔法陣のもとへ連れて行かなくてはならない。だが、少しでもスキを見せれば今度こそ急所をやつは狙ってくるだろう。くそっ!!僕がおとりになるしかないのか・・・。
ドンッ!
どこかから、獅子堂が攻撃される。
「な、なんだ!!」
パン!パン!獅子堂が威嚇射撃する。
「助けに来たぞ!左近寺!」
そこには、怪盗アニマルズの一員であるはずの左近寺治夫の仲間たちが大勢やってきた。
「俺たちがおとりになる!その間にはやく左近寺を助けてやってくれ!」
「よし。ちよ!すぐに左近寺さんを学長のもとへ運ぶよ!」
「う、うん。わかった!」
ちよと僕は、左近寺治夫を学長のもとへ引っ張る。
「す、すまねえ。もう体が動かねえ。」
左近寺治夫は、消え入りそうな声で呟く。
「弱気になっちゃだめよ!!あきらめないで!」
ちよが、必死に左近寺治夫を元気づける。
「あなたのお友達も必死に戦ってるじゃない!」
「おまえら!!これがどういう意味かわかってんだろうなあ!」
獅子堂は、激怒する。
「もうお前の恐怖政治にはうんざりだ!せっかく怯えずに生きられる安住の地を提案してもらっているのに、それでもなお人間と対立し続けたいのか!!」
左近寺派のアニマルズが団長である獅子堂に反抗する。獅子堂は、自分が劣勢であることを肌で感じ取った。
「ちっ、仕方ねえ。好きにしやがれ。だが、俺たちはまだまだ収まんねえからな…。市大の人間どもが滅びるその日まで…。」
そう言って、獅子堂はその場を去った。
「あとっ…。もう少し…。」
ちよと僕は必死に左近寺を魔法陣まで引っ張る。そしてついに、魔法陣にたどり着いた。
「学長!今です!」
僕は、学長に合図する。それに頷き、学長は魔法陣を起動する。地面に描かれた魔法陣が発光し、左近寺を包み込む。
「学長パワー!!!」
学長がそう叫ぶと、あたりは一気に白い光に包まれ、気が付くと魔法陣は消えていた。そして、左近寺治夫が倒れていた。
「だ、大丈夫なの!?」
ちよは心配そうに学長に尋ねる。
「ええ。今は少し気を失っているだけです。」
「そ、そっか。よかった~。」
ちよは安心して、気が抜けたように地面に座り込んだ。左近寺派のアニマルズが学長のもとへやってきた。
「先ほどのお話、本当にありがとうございます。」
深々と頭を下げるアニマルズ。
「いえいえ。さっそく、移住の準備を始めましょう。」
「ええ。ですが、われわれはすぐにはそちらへ行くことはできません。今までご迷惑をたくさんおかけしましたから・・・」
アニマルズは、そう言って踵を返す。
「まずは家族を優先して保護をお願いします。左近寺は俺たちが預かります。」
「そうですか。左近寺さんの身体には弾丸が残されています。よろしくお願いしますね。」
「わかりました。」
アニマルズたちは、その後、学長とこれからの動きについて話し合い、左近寺治夫を連れて山へ帰った。
「ふ~!なんとか解決してよかったわね~!」
ちよがなんともすっきりした顔で部室へ戻る。
「だから、ちよは何もしてないんだって。」
「ふん!私は市大探偵よ!!」
今回の件については、知性動物の保護という形で、落ち着いた。だが、怪盗アニマルズとの戦いはまだまだ続く。これからも、ちよと僕は怪盗アニマルズと戦い続ける。
※本作品は完全なるフィクションであり、実在の団体や組織、個人とは一切関係がありません。
最後まで読んでいただきありがとうございました。なかなか話がまとまらず、最後は投げやりな終わり方にしてしまいましたが、これはリレー小説です。後の方々がなんとか話を上手にまとめてくださるでしょう。次は、「副代表」大川センパイの出番です。いったいどんな物語を紡いでくださるのでしょうか、楽しみですね。
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