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ひーちゃん&とり男と考える。「ネット依存」編


 人間の成長で一番大事な時期を失ってしまう依存症がある。インターネット依存症(ネット依存)だ。近年、危険性が指摘される「ネット依存」について“ひーちゃん&とり男”と考えてみる。

ひーちゃん(ひ)・・・理学部2回生。高校の時、保健の授業でネット依存の特集番組を見て以来、ネット依存に関心を持っている。

とり男(と)  ・・・経済学部2回生。単位を落としそうな授業が三つ。スマホゲームが大好きで、いつも片手にはスマホを握っている。

 ひーちゃん、俺いま「Battleship Hijicho」っていうスマホゲームにハマってるんだ。

 知ってるわ、100万ダウンロードを達成したゲームでしょ。オンライン対戦でコインを集めるのよね?

 そうそう。対戦に熱中しすぎて、昨夜は寝るのが深夜1時になっちゃった。そのせいで、今日の1限の授業に遅刻したんだ。

 あらあら、熱中しすぎには気をつけなくっちゃね。最近よくいわれている “ネット依存” って聞いたことある?

 ネット依存? どんな依存なの?

 スマートフォンやオンラインゲーム、SNSに熱中して学校や会社に行けないなど社会生活に支障をきたした状態を指すのよ。

 社会生活に支障をきたすって、具体的には?

 学生の場合、「欠席が増える」「留年する」「退学する」ことだよ。

 ヤバい。俺、ネット依存の一歩手前かもしれない。

 そうね、朝起きられなくなるのはネット依存のサインの一つよ。また、思春期後の中3から高校生や大学生が陥りやすいと言われているの。ここにネット依存のチェックリストがあるわ。とり男もやってみようよ!ネット依存チェックリスト

 うわっ、俺、四つも当てはまってる。今後依存の恐れありかぁ~。ネット依存に陥らないためにはどうすれば良いの?

 うーん、インターネットを使わないことは難しいわね。大切なのは、自分の価値観・達成感をインターネットやゲーム以外から得ることじゃないかしら。

 そうか~、もっと部活を頑張ろうかな。

 周りの人にも気をつけてほしいことがあるの。一緒にゲームをやっている人は、ゲームをやめることが有効よ。そして友達は、心配してあげることね。その心配は、メールやSNSで「大丈夫?」って送るのではなく、直接会って声をかけてあげよう。

 家族はどう接すれば良いの?

 家族は子に過剰な期待をしないことが大切よ。父親はわが子に関心を持ってほしいわね。実は、ネット依存の背景には家族関係のゆがみがあると言われているの。

 家族関係のゆがみ?

 お父さんが家庭に無関心だと、お母さんが子育てに不安感を覚えるの。結局、お母さんは自分の価値観を押し付けて、子はいつも親の意見を鵜呑みにしてしまうの。AC (アダルトチルドレン)(注)がその典型よ。

 親がどこまで子に介入するかは難しい問題だね。ところで最近、スマホゲームのCMが増えている気がするけど、それもネット依存に関係するのかな?

 関係すると思うわ。お酒やタバコのCMが控えられる風潮にある中で、ゲームのCMだけが増えている状況はおかしいよね。ゲームのCMでも、依存症に陥る可能性があることを示すべきだと思うわ。

 ネット依存には個人だけじゃなくて、社会的な対策も必要になりそうだね。

 そうね。とにかく、みんながスマホやパソコンをいじる手を止めて、「ネット依存ではないか?」と自問することが大切ね。そして、少しでも「ネット依存かもしれない」と思ったら医療機関を受診してほしいわ。

※この文章は、大阪市立大学医学部医学研究科 片上素久講師 (神経精神医学) への取材に基づいて構成しています。なお、ひーちゃんならびにとり男は架空の人物です。

(注)AC (アダルトチルドレン) …… アルコール依存症の親の元で育ち、幼少期に甚大なストレスを受けたまま成人した人々のこと。それが、いわゆる機能不全家族で育ち大人になった人々全般を指すようになった。これは当人の自認であって、医学的診断名ではない 。

(参考:産経ニュース2015年12月13日  http://www.sankei.com/life/news/151213/lif1512130012-n3.html 2016年5月29日アクセス)

ネット依存には、どのような治療が行われているのだろうか?

 スマホとうまく付き合っていくために、「軽症者には害を説明することが有効だ」と片上先生は指摘する。一方、重症者は医療機関で治療をうけるほかないという。大阪市立大学医学部附属病院では、主に三つの方法で治療を行っている。

① 一対一の診療   

ネット依存の重症者には、ゲームの中で達成感を得るなど、現実逃避の傾向が強い。そこで、一対一の会話を通して自分が現実逃避に陥っていることを理解してもらう。具体的には、「スマホゲームとは別のものを見つけていかないといけないね」などと声をかける。この場合、医師の質問に答えがすぐに返ってくることは少ない。本人のペースに任せ、どうやって治せば良いか一緒に考える。診療は通院を続けてもらうため、短期スパンで行っている。

② グループワーク

ネット依存の者どうし、「こんなひどい目にあった」「こうやってやめたよ」といった体験談や気持ちを語り合う。これによって、「困っているのは自分だけではない」というふうに思わせる。

③ 認知行動療法

患者に、ネット依存の害を学んでもらう。

「ネット依存かな?」と思ったら

積極的に医療機関を受診してほしい。大阪市立大学医学部附属病院を紹介する。

大阪市立大学医学部付属病院 神経精神科

・診療(初診等)のポリシー

主に専門医療を中心とした診療を行っています。他院に通院中の場合は、原則、紹介状が必要です。

・受付場所・・神経精神科 (病院3階)

・診察受付・・9:00~10:30

・診療時間・・9:00~12:00

・ホームページ

http://www.hosp.med.osaka-cu.ac.jp/departments/11-shinkeiseishinka.shtml

・医局のホームページ

http://www.med.osaka-cu.ac.jp/neuropsy/

文責

丹下舜平 (Hijicho)


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